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土生神社・森からの手紙・平成三十年仲秋号
台風二十一号お見舞い申し上げます。
台風と鎮守の森について
宮司 阪井健二
平成三十年九月四日 関西地方を中心に全国に大きな被害を齎しました台風二十一号により亡くなられた方々の御霊の平安をお祈り申し上げます。また被害を受けられた方々に対して心よりお見舞い申し上げます。
氏子の皆様にも家の屋根の損傷など被害を受けられた方 停電による不自由な生活を数日間にわたり続けられた方 多数おられることと思います。停電はほぼ解消したかと思いますが、今後家の修復など速やかに復旧が進みますようにお祈り申し上げます。
復旧作業に当られる際には十分に体調管理や怪我に注意して事故などないようにして戴きたいと思います。
それにしても昭和三十六年の第二室戸台風以来という強烈な台風は私自身初めての経験で、神社にいてその時の風には恐怖感を覚えましたが、多くの人がそうだったのではないかと思います。ただただ早く風が鎮まってくれと祈る思いでした。
神社の森に襲いかかる台風の風を私は垣間見ましたが、ほんと風に激しく揺さぶられる木々の枝の有様は凄いものでした。その時私が見ていた所からは見えませんでしたが、本殿の周囲の森では次々と大木が風になぎ倒されていたのでした。後で考えるとそれは風の神様と産土神様の戦いのようにも感じました。産土神様の鎮まる鎮守の森に風の神様が襲いかかり、耐えに耐えながらついに大木は何本も倒れてはいきましたが、そうやって産土神様は風の神様から地域の氏子の皆様を守って戴いたのだと思いました。
残念ながら森の奥にあるクスノキとクロガネモチの木が絡み合っているような神木も上部が折れてしまいました。しかしこれだけの倒木がありながら本殿に倒れた木はなく、屋根の千木が少し傾いただけでした。あと建物の被害としては倒木による拝殿の屋根の一部損傷、稲荷神社の社殿がずれ屋根一部損傷、社務所の屋根瓦数枚はずれたのみでした。
台風の風が鎮まると氏子さんらが神社のことを心配して多数駆けつけて戴いて道路に落下して車の通行を塞いでいる枝などたちまち片づけて戴きました。更に翌日には各自の家にも被害がある中町会役員をはじめ氏子総代 座老 氏子世話人 曳行責任者はじめ祭礼団体 有志と氏子が三十名ほど集まって参道を塞いでいる倒木の撤去など神前にお参り出来るようにかたづけのご奉仕をして戴きました。土生町の底力を感じさせて戴く思いがしました。ご奉仕戴いた皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
台風から一週間ほどして私が紅葉川沿いの道に出ている枝を切っていると川沿いの家の人が出てこられましたので少し話をさせて戴きましたが、その方の家の屋根も被害があったそうです。そんな中で神社の森が防風林になって被害が少なかったと感謝されました。神社の森が地域を守ってくれた面もあったということ、それは神様と先人の知恵によるものだということを台風によって実感された人がいたということです。
ところがその二日前の出来事でしたが、塔原線に面している境内の木から突然大枝が道路に落下しました。台風で折れて落下寸前の状態でとまっていることは見えていましたが、業者に早く撤去することを依頼して待つ以外に手はありませんでした。業者もすでに見に来ていましたが、枝は業者の作業を待たずに落下してしまいました。幸いなことに通行量の多い道路にもかかわらず偶然車も通行人もない時に枝は落下しました。もしも車や人の上に落ちていたら大惨事になりかねなかったと思うとぞっとします。神様にただただ感謝のみです。そしてその時偶然青年団が安全祈願で神社に来ており、枝によって一瞬にして塞がれた道路のかたづけを交通整理にも当って戴いた警察官や偶然通りかかった植木屋さんと共に速やかに行なって戴きました。ほんとに助かりました。九月九日のこの出来事を決して忘れません。今後の教訓としたいと思います。
今回の台風の倒木では近隣のマンションの敷地に倒れこんでいるものもあり、一日も早く撤去するように要請を受けていますが、これだけ広範囲に被害があってどこも急いでほしいという要請を受けても限られた業者では急には応じて戴けないようです。とりあえず車だけ停められるように台風の翌日に垂れ下がっている枝を水利組合から借用したチェーンソーで座老さんに伐って戴きました。
マンションの方が前から言ってるでしょと厳しい言い方で私に言いましたが、お気持ちはわかります。私に神社を管理する責任があり、要望は受けますが、日々一人で神社を守っている私の力には限界があります。近隣の家の方でも溝の掃除を私にするように言う方がおられますが、マンションにしても近隣の家にしてももちろん神社と対立するものではなく、本来一つのものであるはずです。
千年以上の歴史が神社にはあり、マンションや近隣の家がそこに建つずっと昔からこの地域を守ってきて戴いた神様であり、神社であり、鎮守の森なのです。そのことに感謝して日々休みなく宮司である私は氏子に代わって祭祀を勤めさせて戴いています。その神様のそばに現在住ませて戴いている皆様にもし感謝の気持ちがあったら神社に対して宮司に対してお願いをすることはあってもそんな苦情や非難めいた言い方はしないと思うのですがどうでしょうか?
私は宮司としても人間としてもいたらないので批判を受けても仕方ないかもしれませんが、皆様は氏子の中でも特に氏神様のそばで氏神様と一緒に暮らしていると言っても過言でないので、自分の庭と思って感謝して掃除して戴けることを願っています。もし日本人がそういう心を失ってしまったら未来の子供たちは思いやりも感謝もない自分勝手な不幸な社会に生きることになってしまいます。
昔は神社をみんなが必要としたからここにあったわけですが、現在は必要と思わない人もたくさん周りにいます。現在はそれが地域にとって必要なものだと気づかせるためにここにあるという気もしてきます。災害が続いていますが、台風の猛威にさらされた森が自然の力で再生していく姿を地域みんなで見守りながら、地域の再生にも新旧住民心を一つにして取り組んでいきたいと思います。
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