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無一物無尽蔵

昨年の西日本豪雨から一年
あらためて亡くなられた方々の御霊の平安をお祈りしますと共に未だ復興途上の被災地の再生をお祈りさせて戴きます。

昨年の七月六日はまた麻原彰晃らオウム真理教事件の主たる人達が死刑になった日です。
この事件はまだ完全に解決されたとは言えませんし、私達も忘れてはいけない事件だと思います。
地下鉄サリン事件と同じ年に起きた阪神淡路大震災は私達の一つの原点として令和の時代も忘れることなく見つめ続けていきたいです。

昨日は若い頃より私を導いて戴いた石川洋先生のご命日でしたが、先生が亡くなってもう四年ですね。
ご命日に先生の最晩年の著書『生きる覚悟』を開いていたら、ちょうど前回の亥年に書かれた文章がありましたので、一部を書き写しておきます。ちなみに前々回の亥年は阪神淡路大震災・地下鉄サリン事件の平成七年でしたね。

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『今年(二〇〇七年)の干支の「亥」はイノシンでありますが、この「亥」は、分かりやすく絵にすると「根」という字になります。つまり、根っこの年であり、循環の終わりです。
この循環の終わりの「根の年」が何を意味するのかということが、きょうの勉強の中心だと思っております。
冬枯れです。外は何もない。けれども、終わりは失われたことを意味するものではない。大地の中は、来年の春、もっというなら、これから始まる十二支の循環のエネルギーに満ちているのです。このエネルギーに満ちていることを漢字で書くと「無」。これが中国思想でいわれる「無一物中無尽蔵」です。大地の中はエネルギーに満ちている。今年はそういう年なのです。これからの十二支の循環を生み出す力に満ちているのです。
ないということは、何もないということではない。エネルギーに満ちているだけです。それを形にしていく大きな時なのです。
鈴木大拙先生が天皇陛下に「無」と「空」とはどう違うのかとお尋ねになられ、お返事に困られたという文章を読ませていただいたことがございます。私に分かるはずもございませんけれども、私が自分自身の中で思っておりますことは、「空」というのは、どちらかというとインド思想です。大きな空、大地、とらわれないこと、偏らないことです。大きな世界です。
中国思想は無の思想でして、働きを生み出す力です。老荘思想がなぜ活力を持っているか。それは生み出す力があるからです。「無一物無尽蔵」です。』

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