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土生神社・森からの手紙・平成二十五年新年号
地域の神社は
地域の根っこを守っている。
宮司 阪井健二
新年明けましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりありがとうございました。
今年もよろしくお願い申し上げます。
皆様の平安とご多幸をお祈り申し上げます。
この通信を書き始めたのは年始の仕事も少し落ち着いた一月八日です。三が日には多くの氏子の皆様に初詣参拝して戴き、地元の人しか参拝には来ない地域の神社にもお正月は何となく晴れやかさが感じられていいものですが、初詣して戴いた一人一人に今年はどんなドラマが待っていることでしょうか?皆様がお参りをして神様にお願い事をされた時その願い事に神様は光を与えたはずであり、今年も一年どんなことがあろうとも神様に見守られ神様に導かれていることを忘れずに過ごしたいものです。
元日の歳旦祭は例年通り町会長をはじめ氏子総代 宮座々老 氏子世話人 町会や祭礼関係団体の長など参列して行われましたが、祭典の締めの言葉で「今年は伊勢神宮の式年遷宮が行われる年です。この国家的行事を国民こぞってお祝いすると共に地域の神社である土生神社も一層興隆するように努力していきたいと思いますので皆様の一層のご協力をお願い申し上げます。」と申し上げました。
地域の神社というのは言ってみれば地域の根っこを守っているものです。地域とそこに住む人々を目に見えない神様の世界、そして先人が連綿とつないできた地域の歴史につないでいる場所です。どんなに時代が変わり地域が姿を変えてもその根っこがある限りその根っこを守ることで私達は自分を見失うことなく生きていくことが出来るはずです。
昨年宮城県亘理郡山元町の八重垣神社さまとご縁を戴きました。八重垣神社さまは一昨年三月十一日の大津波で社殿を流失 氏子も三百戸あるうち二戸を残して流失するという壊滅的な被害を受けられました。そのような中で藤波祥子宮司さまはたとえ災害はあっても自然の恵みを戴いて自然に感謝し自然と共に生きてきた地域の神社を残さなくてはいけないと奮闘されておられます。私は宮司さまのお考えに共鳴し、祈願絵馬の奉賛活動をさせて戴くことにしました。土生神社の氏子さんをはじめ全国から奉賛金を戴いて八重垣神社さまに絵馬掛けを奉納し、仮設住宅などにおられる氏子さんに宮司さまより無料で絵馬を配って戴きました。それはささやかな活動に過ぎませんが、宮司さまのご努力があってこのお正月三が日には震災前に比べるとずいぶん減少しているとはいえ他の被災神社ではあまり見られないような参拝者数があったようです。絵馬を持って初詣に来られた氏子さんもたくさんおられたようで、絵馬掛けに掛けられた絵馬が風でみんなの心の音のように音を奏でていると宮司さまから携帯写メールを戴きました。私はそのメールを読んで社殿も地域も津波で消えてもみんなの心に神社も地域も生きている 震災前と変わらないで海から吹いてくる風がそれを教えてくれていると感じました。幾たび災害に襲われ津波で流されても流されても復興してきた歴史は決して消えることなく地域に息づいているのです。
翻って私達の地域に目を向けるとある意味では津波以上に大きな波が押し寄せているのではないでしょうか?それは新しい時代の波という波です。目には見えないこの波によって地域は瞬く間に姿を変えていっているのではないでしょうか?先人が積み重ねてきた歴史もあっという間に流され忘れ去られる感さえあります。
地域の神社は地域の歴史や伝統を守る最後の砦だと考えています。地域の神社を守ることでどんな時代の流れからも地域の根っこを守っていかなくてはいけないと思います。
前号にも書きましたが昨年末も恒例の宅神祭で氏子地域を回らせて戴き昨年は二百十三軒の氏子さんのお宅の宅神祭をさせて戴きました。時代の流れで昼間留守勝ちの家も多くお年寄りがデイサービスから戻る夕方に訪ねていって宅神祭をさせて戴いたお宅もあります。新しいマンションに移り住んで来られた新住民の方から希望されていく宅神祭もあります。地域には実にさまざまな人が住んでいるものです。生活も多様化していますが、多様化しているからばらばらになるのではなく、多様化しているからこそそれぞれの個性を生かして助け合っていく地域にしていかなくてはいけないと宅神祭で地域を歩きながら感じました。
高層マンションのそばを地域をお祓いして回るために神主さんが歩いている姿など今の若い人から見たら時代錯誤にも思えるかもしれませんが、その光景にはきっとこの地域が大切にあたため伝えてきたふるさとのぬくもりが残っているはずです。隣に誰が住んでいるかもわからないような世知辛い世の中で地域の神社の神主さんがお祓いに訪ねてくる宅神祭によって氏神様が氏子の一人一人を抱きしめてくれているようにも感じます。宅神祭によって氏神様の胸のぬくもり ふるさとのぬくもりに触れて戴くことをいつまでも大切に守っていきたいです。
年末にはまた恒例によって宮座の座老さん十六人によって迎春準備が行われ注連縄と門松が手作りされました。その材料の調達から座老さん達自らが行います。それが十二月二十三日に行われ竹伐りと呼ばれています。そして迎春準備の本番は十二月二十五日です。
この迎春準備について材料の調達その他継承が時代的に難しくなっている面があることは事実で一部に業者に依頼して購入すればいいのではないかという意見もあります。
しかし伝統文化というものはその継承が難しくなる時代にこそその価値は高まるものであり、また大切になってくるものだと思います。そういう時代のために先人が守り伝えてきてくれたとさえ感じます。難しくなっているからと言って簡単に辞めてしまうのではなく、守り伝えてきた先人への感謝とそれを継承する誇りの気持ちを持って取り組んでいくべきでしょう。
中越地震の被災地山古志の松井治二さんが教えて戴いた「伝統文化を私達が守ったのでなく伝統文化が私達を守ってくれた」ということを今年もかみ締めながら地域の神社を守る日々のご奉仕に氏子さんと共に取り組んでいきたいと思います。
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