千野の文字のもつ意味は、自然の広い平らな土地ということであろうが、もともと「千」は大きい数を表しているし、「野」は山裾の広がった土地のことであるともいわれている。『近江輿地志略』には、「千野村は坂本の北にあり。本千野、今千野の二あり惣名の千野村といふ。千野或は乳母(ちも)に作る。」とあるし、現在は近くの神社に移されたが、数年前までは坂本々町郵便局の東角に、「左乳野(ちの)道」と刻み付けられた石の道標があった。比叡山延暦寺の第18世の座主良源大僧正が比叡山横川で修業されるのを励ますため、その母妙見尼が横川にいちばん近い今の千野町に一宇を造営して住まわれた。良源は天台座主になっても、こっそり母に会いに来られたのを誰いうとなく「あれは座主が母の乳を吸いに来られるのである。」といったことから、千野の里を垂乳野(たらちねの)と呼びこれを略して「乳野」の字を「千野」の地名に当てたり、千野を「ちちの」とも呼んだりするようになったのであろう。
『わが郷土 雄琴の歴史を探る』
昭和47年3月1日発行 大津市雄琴学区自治連合会
千野の小字名
本千野:菜生(なばさま)・永谷・濁々(そぶそぶ)・篝田(かがた)・池之尻・深田
・宮後谷・奥・猿喰(さるばみ)・小田山田・一度前・内畑・奥之谷・赤坂
・江間濱(えがまた)・高座・糯之切
今千野:山口・平(ひら)・下山・小平・彼岸田・切通(きりとおし)・蛇喰
「千野」地名の所在地
岩手県遠野市 千野沢(せんのさわ)
石川県七尾市 千野町(ちのまち)
山梨県山梨市 千野々宮(ちののみや)
山梨県甲州市 塩山 千野(ちの)
塩山千野 千野上(ちのうえ)千野千野下(ちのした)
愛知県稲沢市 北島町 千野地(せんのじ)
滋賀県大津市 千野(ちの)
広島県東広島市 千野丸(せんのまる)
愛媛県西条市 千野々(ちのの)
宮崎県串間市 下千野(しもちの)上千野(かみちの)中千野(なかちの)
千野川(ちのかわ)
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