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今年も始まりました、広島市立商業高校(略して市商)とのコラボレーション授業です。 商業高校というのは、経済学部と学ぶ内容が重複する部分が多いわけですが、それを大学で教えるような高い専門性を維持しながら、高校生にも分かるように教えてみようという試みです。 この早いもので、もう6年目です。 今年も、市商の2年生の皆さんに、ほぼ月一回のペースで講義をしていきます。 今年の最初のネタは、例のもみじ饅頭のマーケティングです。 市商でも何度も実施したネタですし、他の高校でも実施したネタです。 実は今年は大学一年生対象にもこのネタを使っていまして、使い倒しているネタなんですが、しかしね、やればやるほど発見があって、実に面白いネタなんですよ。 まず、売り上げナンバーワンの「にしき堂」のもみじ饅頭と、あまり知られていないけれども実は老舗の「岩村もみじ屋」のもみじ饅頭を食べ比べてもらいます。 この食べ比べは、ブランド名を隠したブラインドテストで行います。 すると今日はほぼ全員が「岩村もみじ屋」がおいしいと答えました。 これによって、にしき堂が売り上げナンバーワンなのは「おいしいからではない」ということをまず実感してもらうわけです。(もちろん、比較するとという話で、にしき堂も十分おいしいです。念のため。) となると、にしき堂の圧倒的な強さは一体どこから来るのか? それがマーケティング力の差だ!ということで、マーケティングとは何かを解説していきます。 極端な話、製品そのものに手を加えなくても、売り方一つで、売り上げは変わるはずだというわけですね。 この辺を理解してもらったうえで、岩村のもみじ饅頭の売り上げを伸ばすためのポスターを考えてもらいます。 その際、いくつか条件があります。 ・製品には手を加えないこと。 ・これまでもみじまんじゅうを食べていなかったであろう「新ターゲット」を設定すること。 ・新ターゲットがもみじ饅頭に対してどんなイメージを持っているかを説明し、それを好意的なものに変えていくためにはどんな工夫が必要かを説明すること。 ・そして、その工夫がポスターにどう活かされているかを説明すること。 などなどです。 そして、出来上がってきたポスターの中から、いくつかご紹介いたしましょう。 まずは、このポスター、見た目の派手さはありませんが、よく考えてあります。 岩村もみじ屋には、こしあん、つぶあんという二種類のもみじ饅頭しかないことに注目。他社がいろんな味のもみじ饅頭を出して売り上げを伸ばす中、弱点ともいえるこの特徴を「あんこ一筋」という好意的なイメージに転換しようというわけです。 また、もみじ饅頭の初期のころ、こしあんしかなかった時代に、岩村が初めて粒あん入りの紅葉を開発したという事実にも基づいています。 そして、知名度の低さを「秘めたうまさ」というコピーで、好意的なイメージに転換しようという試みも面白い。 電話番号が大書されているのは、宮島島内にしかお店がなく、広島市内ではほとんど買うことができないという弱点を補うため、このポスターで需要を喚起したら通信販売で商品を届けようという工夫です。 高校生が、わずか30分足らずの作業時間で、これだけ練られたアイディアを出してくるとは驚きました。 お次は、もみじ饅頭を給食に取り入れようというアイディアです。 もみじ饅頭というと、あまり若々しいイメージがない。 しかし、子供だって、食べさせたら喜ぶのは間違いない。 そこで、子供に食べさせよう。 それならば給食だ。 給食でいつももみじまんじゅうを食べていれば、子供たちが大人になってももみじ饅頭を食べ続けてくれる。 しかもそれが岩村のもみじ饅頭だということになれば、将来の成功はまちがいない! これもなかなか面白いアイディアでした。 ちなみに、今日一番、私が気に入った(というかウケた)のは、このアイディア。 「もみじ饅頭をオタクに食べさせよう」というアイディアです。 こんなおたくっぽいキャラクターを考えて、パッケージを飾り、インターネット通販でもすれば、きっとオタクが飛びつくだろうというわけです。 まぁ確かに秋葉原あたりで売れそうな気がします。 このアイディア、細部が練れていないのですが、そこは30分という短い作業時間なので、大目に見ることにしました。 むしろ、高校生らしい(?)面白いアイディアで楽しませてもらいました。 というわけで、今回は、コラボレーション授業初日とは思えない、面白いアイディアがたくさん出てきました。 なぜかなと考えてみると、このコラボ授業も6年目ともなってくると、完全に高校のカリキュラムの中に溶け込んでいて、高校の授業自体が変わってきているようなんですね。 この高校の授業では『1からの流通論』を教材に使って、大学レベルの知識を伝える一方、教科書の専門用語を丸暗記するなんていう退屈な授業はなくなってきているんですね。 今日のように、もみじまんじゅうの食べ比べをするなんて言うのはめったにないとしても、この授業でよく使うポストイットを使ったブレーンストーミングとか、今回のポスター制作のようなじっさいに何かを考えてみるとか、じっくり自分で考えて納得するという学び方が定着しつつあるようです。 また、ここで学んだ知識を本格的に生かす場として、市商ピース・デパートという、生徒を株主とした株式会社としてデパートを運営するという、面白い試みが実施されています。もちろん、この手の試みは全国の商業高校で始まりつつありますが、この市商はそうした試みのパイオニアの一つです。 商業高校というのは、どんどん進化してますねえ。 というわけで、ことしもコラボレーション授業が始まりました。 市商の皆さん、今年もまた一年間頑張りましょう!! ※よろしければこちらもご覧ください。
この講義の仕込みのためのもみじ饅頭に関するリサーチの記事 http://blogs.yahoo.co.jp/kn_hosoi_hue/21767791.html もみじ饅頭のマーケティング http://blogs.yahoo.co.jp/kn_hosoi_hue/21816434.html |
高校生向け講義
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なかなか面白いお話で(^^
リサーチの記事・マーケティングの記事・ウプサラさんの記事等
一気に読みました。
商売するってほんと奥が深いんですね。
飲食業でも美味しいだけでは繁盛しないのが
なんとなく分かったような気が・・・(ほんとか?)
また色々と教えて下さい。
2010/6/25(金) 午後 11:44 [ ICHIRO ]
ICHIROさん
いやいや、こちらこそいろいろ教えてください。
日本以外でお寿司屋さんをやる場合、日本の寿司屋でベストだと思う方法が通じないことって、よくあると思うんです。
例えば、日本人なら絶対に「これは旨い!」とうなるようなものが、あまり喜んでもらえなかったりなんてことがあるんじゃないでしょうか。
あるいはその逆に、こんなものが?というようなものが、海外では「うまい」と喜ばれたり。
そういう事例をぜひ色々教えてほしいのです!!
2010/6/26(土) 午前 0:55
完成品を売る現場にいる人間としては、勇気付けられる記事です。
まさに『百策アリ』ですね。
2010/6/26(土) 午前 5:23
今年も楽しそうですね♪
2010/6/26(土) 午前 5:53
いろいろ勉強になりました。うん、うん、そうだ、と勝手に
相槌を打ちながら読みましたよ(笑)確かににしき堂は、宣伝力も、
商品展開もすごいです。でも、新しい商品を開発すればするほど、
私は元祖のもみじまんじゅうを食べたくなるんです。
地元にいながら、ほとんど食べることのないもみじ饅頭ですが、
広島駅に立ち寄ったら、買おうかな、と思いました。
岩村さんのも、宮島へ行くことがあったら、是非食したいものです。給食に出たら、うれしいなあ〜(今、食べてるので)
2010/6/26(土) 午後 1:40
過古記事と合わせて拝見させて頂きました
勉強になります。
高校の授業でこんな事を考えられるなんて楽しいですね♪
うちの会社ちゃんと考えてるのかしらと心配になります(笑)
2010/6/26(土) 午後 8:53
今年もはじまりましたね^^
生徒さんと一緒に私も学んで生きたいです。
技術があって おしゃれな花屋さん
でも売り上げが伸びず 消えてしまう。
一方 おしゃれではないけど 残ってる花屋さん
というのは 私が勤めてる花屋なんですけど。
その差は何か いつも考えています。
ぽちん
2010/6/26(土) 午後 11:37
何よりも、先生のブログのネタになることが最高のプロモーションになってたりして・・・
と言う、私も先生のブログで見て、食べたくなり宮島まで食べに行きましたから(笑)
以前、父親が宮島を訪れる機会に岩村もみじ饅頭を頼んだら、宮島口の岩村屋?さんのもみじ饅頭を買って帰ってくれました・・・確かに、分かりにくいロケーションンだけど。。。
2010/6/28(月) 午前 0:23
こんばんは
面白いお話ですね。勉強になります。
ポチ
2010/6/28(月) 午前 1:37
かわしりさん
もちろん、百策アリといっても、高校生にそれを実現するための具体策がわかっているわけではありません。
その具体策を考える上には、さらにいろんな知識が必要になります。
それを先に教えるか、興味や関心を伸ばしたのちに教えるか。
日本の教育はたいてい前者ですが、高校生対象のビジネス教育は後者であるべきだと思うのです。
2010/6/28(月) 午前 9:56
にゃーごさん
そうですね。
今年も充実したものにしていきたいと思います♪
2010/6/28(月) 午前 9:56
ももじさん
そうかそうか、給食召し上がられているんですよね。
給食作戦、行けそうですか?
「給食でもみじ饅頭を食べた」なんていう子が大きくなって県外の大学に行ったり、県外の企業に就職したりして、その話をすると「さすが広島!」と人気者になる気がします。
そういえば、愛媛出身の学生が、給食にポンジュースがよく出ていたと言っていました(笑)
2010/6/28(月) 午前 9:58
りんちゃんさん
大人はどうしても常識に縛られる部分がありますね。
もっとも、その分、大人は「やるべきこと」がよくわかっているということもありますし、一長一短ですね。
高校生に教えるというのは、大人としての常識と、若者の柔軟な発想を融合するような仕事で、とても楽しいです♪
2010/6/28(月) 午前 10:00
のゆかさん
いいコメントですね!
そのコメントを拝見しただけで、この記事の趣旨はしっかり理解していただけているなと分かります。
というわけで、頑張ってくださいね(笑)
2010/6/28(月) 午前 10:02
GIPSYさん
そうそう、岩村さんというのは、宮島にはよくある名字でね。
宮島口もご親戚だと聞きますが、商品ラインナップも、味も、やはり違いがありますね。
宮島に行くと、ほんと、いろんなもみじ饅頭があって、楽しいです。
2010/6/28(月) 午前 10:04
くまさん
ぽちありがとうございます。
私もこのネタを考えるために、だいぶ勉強しました(^^ゞ
2010/6/28(月) 午前 10:04
以前 もみじまんじゅうのマーケッテイングの記事を読んでから
もみじまんじゅうへの関心が大になりました。
新宿の南サザンテラス口(?)に
広島と宮崎の郷土ステーションがあります
そこにくと必ずもみじまんじゅうを買うようになりました
数か月まえですが、日本酒に浸したもみじまんじゅうを冷やしていただくという製品を見つけました、普通のよりお高いのですが
おいしかったです。
2010/7/1(木) 午後 3:53
ガビィさん
もみじ饅頭お買い上げ、ありがとうございます(笑)
そして日本酒に浸したもみじ饅頭・・・それは私も知りませんでした。
ワインに浸したものは、前回の調査時に確認済みですが、日本酒ですか。
そうですよね、広島は酒どころでもありますから、そういう意味でも面白い商品ですね。
こんど探してみます♪
2010/7/3(土) 午後 1:50