|
すごい本ができました。 もちろん、「まちづくり」と題した本はこれまでもいろいろあったわけです。 しかし、一口に「まちづくり」といっても、実に多様な問題があります。その全てを論じられる人などどこにもいないわけで、どこか特定の側面のみを取り上げた本しかありませんでした。 これに対して、本書では、都市計画、地域経済、流通、地方財政、景観、安全学など、多様な分野を盛り込んで、それぞれの専門家が寄稿しています。 ただ、残念ながら、全体を体系化するフレームワークがほんとにあるかというと、それはちょっとわかりにくいです。むしろ寄せ集め的で、全体としての統一感に欠ける点は否めません。 でも、「まちづくり」に関わるおよそ全ての問題をカバーした初めての試みですから、その試みを実現できたことだけで、欠点を補って有り余る意義があるでしょう。 それにしても、本書の記述には、考えさせられる個所がたくさんあります。 そもそも、「まちづくり」が都市計画、地域経済、流通、地方財政、景観、安全学など多様な分野に及ぶということは、それは私たちの社会生活の全体と同じくらいの大きな広がりを持つわけです。 それをことさら「まちづくり」などと特別な名前で呼ぶ必要が出てきたのは、高度経済成長期以降あらゆるものが市場化するという流れの中で、三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)という基本ルールが、二方よし(売り手よし、買い手よし)になり、世間よしという対外的視線が失われたのが大きな契機ではないかというのです(pp.32-33)。確かに、公害問題にしても、景観問題にしても、こういうところから出てくる気はしますね。 まちが危機的な状況になってくると、「環境の客観視(p.38)」が生じます。要するに、気にしていなかったものが気になってくるということで、病気になって初めて健康のことを意識するようなものですね。 そこで、何とかしよう!と思うわけですが、「まちづくり」という活動は、「テーマ型コミュニティ活動(p.48)」でしかないわけです。つまり、「ここが問題だから、なんとかしよう」というテーマがなければ始まらないわけですから、テーマに沿った問題しか見ないことにもなるわけですね。 そして「まちづくり」に関する問題のほとんどは、「トレードオフと非可逆性(p.15)」を持っている。あちらを立てればこちらが立たずという両立しがたい問題ばかり(トレードオフ)。なのにどちらかに決めないとい前に進めないし、一旦前に進んだら元に戻れない(非可逆性)。 さて、どうしたものかと、立ち止まってしまうような問題ばかりですが、それでも前に進まないといけない。テーマ型コミュニティ活動というのは、それに賛同する個人が自由意思で集まり、自由に議論するというプロセスをとるので、「まちづくりはテーマ型活動であることによって近代的個の成立に寄与することになる(p.48)」という側面もあるのだそうです。本書には、そのためのワークショップの設計の問題やファシリテーターの役割まで盛り込まれています(第5章)。 そして、本書には、これらの「まちづくり」の様々な問題について、多様なデータや事例がふんだんに盛り込まれています。 この本、まだまだ寄せ集め的で読みにくい面もあるのですが、それでも「まちづくり」の問題の全体像と考えるべき問題がおぼろげながら見えてきます。 全体像をとらえようという、初めての試みだけに、今後、「まちづくり」を論じる際には、欠かせない一冊となるでしょう。 石原武正・西村幸夫編著(2010) 『街づくりを学ぶ−地域再生の見取り図』 有斐閣 ※この本、編者のおひとり、石原武政先生から御献本いただきました。
石原先生に関しては、以前、『商業組織の内部編成』という本を記事にさせていただいています。『1からの流通論』の編者でもいらっしゃって、いろいろとお世話になっております。 石原先生、ありがとうございました。 |
Book Review
[ リスト ]




町づくりとコミュニティ心理学は似ていますね。
人にとって「場」を作ることは同時に 地域の中で 社会の中で
国の中での場につながっているわけで・・・・・
町づくりは
個人の場づくり
大事ですね(*^_^*)
2010/10/1(金) 午後 11:01
おはようございます。
こちら東京では、お隣さんの顔すらしらないという状況もあるので、身近な街の活性化が必要かと思っております。
幸いにもわが町は下町ゆえ、ご近所付き合いが頻繁でよいのですが。。。
小さいことからコツコツと活動しております。
2010/10/2(土) 午前 9:50
アンジェラさん
そうですね。人のつながりって、とても大事なポイントですね!
まちづくりを考える視点って、上にもあげたようにいろいろあるわけですけど、どんな視点から考えるにしても、人のつながりという要素は忘れてはいけない大事なポイントですね!
2010/10/2(土) 午後 5:26
かめさん
お隣さんの顔すら知らないという状況、田舎町でもやはりそういう状況なんだと思いますね。マンション暮らしで、隣人を知らないというパターンもあるし、いわゆるシャッター通りになったところなどは、隣人がいないとか、他所から新しく越してきた人や会社が入るとか。
小さいことでも、なにか動きのある街は、希望が持てますね!
2010/10/2(土) 午後 5:30
とても興味深いお話です。
ひとくちに「まちづくり」と言っても様々な面がありますものね。
読書の秋に( ..)φメモメモ
2010/10/3(日) 午後 7:13
りんちゃんさん
お好きですか、こういうテーマ?
石原先生は、関学に移られましたが、大阪市立大学の看板教授としてご定年まで実際にいろんなまちづくりに参画された方。
お近くですから、お声をかけて見られたら良いかもしれませんよ♪
2010/10/3(日) 午後 9:00
西村先生の論文はよく読みましたね、学生時代。
なんで地理学でこういう論文がないんだと思いながら。
そろそろ、読み直さねば・・・
2010/10/4(月) 午前 7:05
にゃーごさん
ぜひ、読んでみてください♪
※よんだら、内容教えてね・・・いや、私が楽をしようというわけじゃないんですけど・・・ははは(^^ゞ
2010/10/4(月) 午後 9:30
勉強しよっと
2010/10/5(火) 午後 0:59
じゃあ、仙台まで本を持ってきてくださいな♪
2010/10/5(火) 午後 1:37
かわしりさん
勉強会を開催される場合は、呼んでください。
こころのトレーニング(著作権、ヒロシ!さん)を積んでおきます(笑)
2010/10/5(火) 午後 10:00
にゃーごさん
持っていくのはいいですが、ぜひ勉強会&反省会をしましょうね。
こころのトレーニング(著作権、ヒロシ!さん)を積んでおきますから(笑)
2010/10/5(火) 午後 10:01