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 物事の本質がよくわかっている人の書いた入門書というのは面白い。
 環境経済学だけでなく、応用経済学全般に言えることですが、なんらかの問題に経済学を応用しようとした時に、何ができて何ができないのかということがすっきりわかる本というのは、そうでない本よりも二倍参考になります。何が二倍かというと、この本で言うなら、(1)応用先の環境問題が経済学的にみてどういう問題なのかということと、(2)応用元の経済学そのものがどういう性質を持っている学問なのかということ、この二つがいっぺんに分かるということです。
 しかも、物事の本質がわかっている人というのは、この二つのことを、一つのシンプルな問題として、明快に描き出すことができる、この本でいえば、それは市場メカニズムの働きということです。
 そんなお得な本ですから、ゼミ生のみなさん、環境問題に興味のある人はぜひ一度読んでみるといいでしょう。


P.S. ちなみに今年の本学の公開講座のテーマは「環境問題」。コーディネーターは、例年どおり、私です。
http://www.hue.ac.jp/lecture/extension/index.html


P.S.2 ところで、あまりほめすぎもどうかと思いますので、一応、この本の難点も挙げておきましょう。この本、数式を全く使わない点が、かえってわかりにくくなっているように思えます。数学嫌いの文系学生には取っ付きやすい面もあるかもしれませんが、数式で表せば一目瞭然なことでも、すべて文章で表すとなると回りくどくなります。それと、翻訳はそこそこうまいのですが、それにしても日本語と英語の基本的な発想の違いがあるから、いくらうまく翻訳しても初めから日本語で書かれた本よりはだいぶ読みにくいです。それと、環境経済学そのものを解説した本というよりも、環境経済学の「心」を説いたような本ですから、きちんと勉強したい人は他の本も併せて読む必要がるでしょう。ただ、それらの点をすべて考慮しても、「はじめての環境経済学」というタイトル通り、ゼミ生がはじめて読むにはちょうどいい本でしょう。

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