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今日は久しぶりに音楽の話題です。
クラウス・テンシュテット指揮、北ドイツ放送交響楽団による、マーラーの交響曲第二番「復活」です。いわゆる海賊版でして、マーラー・ファン、あるいはテンシュテット・ファンにとっては、伝説の一枚。グーグルでちょっと検索でもかけようものなら、このCDを熱く語っているファンがいくらでも出てくるというシロモノです。
とはいえ、実は、マーラーの「復活」、それほど好きではありません。
とにかく長いのです。いや、マーラーの交響曲はどれも長いのですが、もっと長くてもいいと思うくらい納得のいく長さと、全く無駄としか思えない長さがあります。もちろん、あくまで個人的な主観ですが、「復活」は無駄に長く感じられて、好きになれない曲でした。何枚かCDを持っているけれども、だいたい曲の途中で別のことをしていて、聴いていないことが多いです。
そんなわけで、このCDもiPodに入れたきり、一度も再生しないまま、2年近く放置されていました。
それが一昨日、シャッフルで偶然再生されて・・・。
なぜか、突然、はまってしまいました。
すでにこの二日間で5回聴いています。
テンシュテットという指揮者は、マーラーの狂気を描き出すことにかけては、おそらく右に出る者はいないでしょう。オケを発狂させる特殊な能力を持った指揮者だと思います。この演奏も、冒頭から、発狂しています。
もっとも、演奏の完成度を考えれば、この発狂は完璧な技術と集中力によって、見事に演じられた発狂であることがわかります。集中が途切れて弛緩したところや、ミスがない。細部まで完全に神経が行き届いていた素晴らしい演奏です。
しかし、そんなことを冷静に分析できるのは、このCDを三回目に聞いた時から。一回目も二回目も、最初から最後まで、荒れ狂う音の洪水に、徹底的に翻弄されます。
徹底的に狂気の限りを尽くしたそのあとには、まるで悟りでも開いたかのような静けさが訪れます。
第5楽章20分過ぎ、合唱が歌いだしたときには、動けなくなる、思考が停止する、鳥肌が立つ、涙が出る・・・音楽を聴いて感動した時に経験するあらゆることが起きます。
静寂の淵から立ち上る、静かで、清らかで、それでいて力強い合唱の響きが、やがて勇壮な響きとなって輝きを増していく「復活」のさまは、見事というほかに言いようがない。復活を遂げた巨人の力強さは、もはや狂気ではなく、真実の力。
「復活」というと、交響曲第1番「巨人」で描かれた巨人の死から復活へという、わかりやすいストーリーを外形的に追いかけるだけで底が浅いイメージがありました。
しかし、このテンシュテットの「復活」、巨人の狂気と魂の復活という、復活劇の精神的な側面を見事に描ききった名演だといえましょう。
とにかく、こんな「復活」は、あとにも先にもこの1枚だけでしょう。
しばらくは、この「復活」を聴き続けることになると思います。
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