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広島風お好み焼きの進化系統図をまとめてみました。
この進化系統図は、先日のお好み焼きを語る会のためにまとめたものですが、どうしても空欄の部分がありました。
それが、昨晩、たっち。さんとzazaにいって、空欄だった部分が埋まりました。
そろそろ世に問うときが来たように思います。

ただし、この系統図はあくまで、製法による分類であって、おいしいかどうかということはまた別問題ですので、ご了承ください。(といっても、ここに紹介している店は、全ておいしいのは言うまでもありません)。

さて、広島風であれ、関西風であれ、お好み焼きの原型は、一銭洋食やどんどん焼き(どんど焼きともいう)です。
これはいわゆる重ね焼きというタイプのもので、小麦粉を水に溶いたバッターを、クレープ状にひいた上に、いろんな具材をのせて焼いて行きます。

この生地と具材のどちらを強調するかで、広島風になるか、関西風になるかが決まってきます。

生地を充実させていく方向で進化したのが関西風お好み焼きで、増量したバッターに具材を混ぜ込んでしまうという、混ぜ焼きが誕生しました。
これは調理が簡単で、お好み焼き屋さんの客が自分でも焼くことができるという大きなメリットがあります。
お店の経営効率も格段にアップするし、それでいて客のほうも、店員に煩わされず、客同士で食事を楽しむことができるという大きなメリットもあります。

一方、具材を充実させる方向で進化したのが、広島風お好み焼きです。
お店によって、様々な具材のバリエーションがありましたが、現在の広島風の具材の基本パターンがみっちゃんによって、完成されます。

戦後の広島風お好み焼きは、このみっちゃんが作り上げた基本パターンをベースに、特定の具材を強調したり、みっちゃんにはない具材をお好みで追加するなどして、差別化をするというのが、基本的な競争パターンです。

これを、驚くほどきっちりと、徹底的にやっているのは、みっちゃん系の店ではなく、むしろ八昌(薬研堀)の系列だと思います。もちろん、八昌には、みっちゃんとくらべて、生地を楕円にひいたり、天かすをこぶしいっぱいにとって刷り込むようにキャベツに載せたりと、独特な部分があります。ただ、あくまでみっちゃんが考案した基本パターンの改良の範囲内だと見てよいでしょう。しかし、八昌は、単なる改良だと片づけられないほど、完成度が高い。八昌(薬研堀)は、お好み焼き店の開業を目指す方たちの修業の場になっており、神経質なまでに、やるべきことをきちんとやる店です。その完成度たるや驚くべきものがあります。その一方で、八昌の創業者は八昌(五日市)という別の店で、自由奔放なお好み焼きを焼かれており、守破離の離の境地に達した、これまた素晴らしいお好み焼きを食べさせてくれます。
この基本パターンを、おてつ胡桃屋が完成させたというのは、かなり私の好みが入っています(笑)。

さて、この基本パターンをベースにした競争の中で、この基本パターンからの逸脱と思えるほど、極端に特定の具材を強調した店が現れます。極端なまでにキャベツを強調する常太郎、驚くほど分厚い豚肉を使うひらの、玉子を極端に強調するひなたなどです。
麺に関しては、強調の仕方がいろいろなのですが、極端な麺パリの貴家。を、代表として挙げてみました。細麺だったり、玉子麺だったり、ピリ辛麺だったり、麺で特徴を出そうとする店は多いですが、そのほとんどはお好み焼き屋さんというよりは、麺のメーカーの努力によるものなので、麺パリという調理法で差別化を図っている店を代表としてあげました。ただ、麺パリというものをどの店が提唱したのか、初出は不明です。

このように特定具材を強調する流れが行きつくところまで行くと、具材だけを食べさせようという店が現れます。それがはるみです。
具材だけでいいという発想は、論理的には容易に導出可能ですが、お好み焼きから生地部分をなくすというのは、あまりに常識から離れたことで、柔軟な発想力と決断力がなければできません。今のところ、そういう店ははるみだけだと思います。

さて、これとは反対に、具材よりも、生地を強調するという路線もあり得ます。しかし、生地を強調すればするほど、関西風に近くなるはずです。広島風の重ね焼きという特徴を残しながら、生地を強調するのは、なかなか難しい。
実際、生地にこだわっているという店はないことはないのですが、所詮重ね焼きの薄いクレープ状の生地のことです。客が気がつくほど劇的な効果をあげている店はほとんどありません。店主から生地へのこだわりを聞いて、「そう言われればそうかもね」と、初めて気がつくという程度の差しかありません。
ところが驚くべきことに、それを見事にやってのけた店を発見しました。zazaです。驚くほど大量の生地を使うのですが、広島風の特徴を見事に残したまま、生地を強調することに成功しています。生地を強調する店は、どうしても関西風のイメージが強く、山芋を混ぜたり関西風に近い生地を使おうとする店が多いようです。しかしzazaはそうではなくて、たこ焼きに近い生地なんですね。このフワトロの生地が、麺パリの細麺の食感とよくあって、広島風のイメージを残しながら、生地を強調することに成功しています。

もうひとつ、忘れてはならないのは、脱ソースという方向性です。味庵の塩お好みが代表選手です。これは大変大きな転換点です。明治維新以降、ソースというのは洋食のシンボル。一銭洋食は、ソースを使うから洋食だったわけです。広島風にせよ、関西風にせよ、ソースを使うというこの一点だけは、共通して守り続けてきた部分です。
ですから、「脱ソース」は同時に「脱洋食」を意味します。味庵が「アジアン」をかけていて、小麦粉の生地の代わりにライスペーパーを使って、具材には海老などを使うという、生春巻きに近いイメージなのも、そう思うと、うなずけます。


以上、とりあえず、進化系統図ver1の解説でした。
繰り返し言いますが、これはあくまで製法上の分類によるものであって、グルメ雑誌がよくやるようなおいしいかどうかという分類ではありません。もしそのグルメ雑誌的分類をやるなら、「たいていの店はここに分類される」という部分を、何らかの方法で分類なり、ランク付けなりすることが必要でしょう。今回はあえてそれをしていません。

今後は、この系統図の精度を高めていきたいと思います。
そんなわけで、暫定的なものだという思いを込めて、ver1としています。
また、私もマーケティングの研究者のはしくれです。お好み焼き屋さんも、具材のメーカーも、全てが企業です。この進化の節目節目で、どんな企業が、どのような役割を果たしたのかを見極めたいと思います。

文化は信念の体系です。
それゆえに移ろいやすい面もありますが、意図的に変化させるのは難しいものでもあります。
企業活動が、食文化にどのような影響を与えたのか。
お好み焼きを素材に、それを見極めたいと思います。
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まさかこんなお好み焼きがあるとは思いませんでした。

まず、写真を見てください。
麺がとても細いのがわかりますね。
ここまで麺が細い店も珍しい。
細めのパリパリで、おいしいです。

しかし、問題はその麺の下です。
この細めの麺と比べて、なにやら厚みのある何かが、見えているでしょう?
なんと、これが生地なのです。

このお好み焼き、生地を引かずに、具材だけでいきなり焼き始める。
生地なしと言えば・・・はるみのおやじさんのいかつい笑顔が頭に浮かぶ。
「え、生地を引かないんですか?」
「いや、これから、生地らしきものを・・・」
と、いいながら、生地を取り出し、なんと、具材の上からなみなみと注ぎかけるではありませんか。
水気の多い生地が、具材の間から滴って、具材の周辺に大きな生地の海ができる。
これが焼き上がると、端を折りたたむようにして、具材を包み込んでいくのです。
生地でオムレツ風に包み込んだ具材と、麺パリにした麺の部分を合わせて、最後に玉子を合わせて、出来上がり。

具体的な調理プロセスは、たっち。さんが記事にしてくださっていますので、以下の記事をご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/rmwtp483/26080422.html

さて、このお店の何がすごいって、「生地を強調した広島風お好み焼き」という点です。
広島風にせよ、関西風にせよ、そのルーツは、どんどん焼きや、一銭洋食といった、重ね焼きです。(もちろん、さらにさかのぼれば、文字焼き、麩の焼き、煎餅といくらでもさかのぼることはできます)。
重ね焼きのまま、重ねる具材を増やしていったのが、現在の広島風です。この、具材を食べさせることがメインになってくるわけで、その進化が行きつくところまで行きついたのが、生地を引かずに、具材のみを食べさせるというはるみのお好み焼きです。
はるみは極端にしても、広島風のお好み焼きは、具材をどうおいしく食べさせるかにしのぎを削ります。
一方、関西風のお好み焼きは、生地の部分を増量して、具材を混ぜ込んでしまうという混ぜ焼きとして発展したわけです。

つまり、重ね焼きと、生地の強調というのは、相容れないものなわけです。
生地を強調しようとすれば、混ぜ焼きになってしまうはずなのです。

最近、広島風お好み焼きの進化プロセスを考えていて、先日のオタフクソースの皆さんとの「お好み焼きを語る会」でも御披露し、議論した結果、「重ね焼きで、生地を強調するという進化方向はあり得ない」という結論に達したばかりでした。

あっさり、それをやられてしまった・・・
きちんと広島風らしさを残したまま、混ぜ焼き的要素が程良いバランスで入り込んでいる。
しかも、驚くほどうまい・・・

お好み焼きの奥の深さを改めて思い知らされる一枚でした。


※今日は、たっち。さんと一緒に、このお店に行きました。ここのお好み焼きの調理プロセスや、断面図はたっち。さんのところでご覧いただけます。ぜひご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/rmwtp483/26080422.html

※この写真はzaza焼きという、生地の厚いタイプのお好み焼きです。ただ生地を厚くするのではなく、たこ焼きのような、ふわふわとろとろの食感のある生地を使っています。普通の広島風もあるのですが、そちらは一般的な広島風の生地です。ただ生地を厚くしただけではなく、暑くした方がおいしい生地を工夫しているところもポイントです。




【再訪記事】
2016年5月11日「zazaさんでお好み焼き研究会」:http://blogs.yahoo.co.jp/kn_hosoi_hue/42790533.html
2016年6月8日「zazaのzaza焼き、ランチ営業再開!」:http://blogs.yahoo.co.jp/kn_hosoi_hue/42833626.html
2016年8月8日「われらお好み探偵団(7月30日取材)」:http://blogs.yahoo.co.jp/kn_hosoi_hue/42921941.html
2018年7月17日「住谷さん、お帰りなさい@zaza」:https://blogs.yahoo.co.jp/kn_hosoi_hue/43708437.html

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