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さて、この「極のお好み焼き教室」、普通のお好み焼き教室と違って、きっちりレクチャーを受けます。 今日の講師は、N本さん。 今日のテーマは、府中焼きを中心とした、広島県下のご当地お好み焼き。 これらは全て広島風お好み焼きとして、ひとくくりにされることが多いのですが、実は、似ているようでもかなりの違いがあるのだそうです。 さて、その違いが、本当にひとくくりにできないという程の大きな違いなのかどうか、実際に確かめてみることにいたしましょう。 今日は、広島県府中市の「府中焼き」を作ってみました。 この府中焼き、広島風との製法上の違いという点では、ひき肉を入れることが、もっとも大きな違いです。 重ね方も違っていて、広島風は、生地の上に、野菜(キャベツ、もやし、青ネギ)と天かす・豚バラを載せてひっくり返し、豚から出る油で野菜を蒸しあげます。その後、蒸し上がった野菜部分を、麺の上に載せるわけです。 しかし、府中焼きの場合、生地の上にいきなりキャベツを載せ、天かすと麺を載せ、その上にひき肉を載せます。 載せる野菜がキャベツだけで、広島風よりシンプルです。 そして、広島風なら、麺を載せるまでにまだまだ何段階も工程があるわけですが、ここでいきなり麺を載せてしまう。 そして、この段階で、とき玉子を上から流しかけてしまうのです。 つなぎの生地もかけます。 そして、これをひっくり返します。 ひっくり返すとこういう感じ。 ひき肉が一番下に来て、その上に麺、天かす、キャベツ、生地の順です。 こういう順番なので、ひき肉から油が出ます。 その油が直接麺にふれ、麺がパリパリになるんですね。 広島風では、野菜部分と麺部分を別々に焼きます。 そして、麺をいわゆる「麺パリ」に仕上げたければ、麺だけで油をかけて麺パリにしていきます。 ところが、府中焼きでは、こうやって置いておくだけで、ひき肉の油で、勝手に麺パリ状態になるんです! もう一度ひっくり返すと、はい、このとおり。 どうですか、見事な麺パリでしょう。 真ん中のほうに、ひき肉も見えてますね。 とき玉子とつなぎの生地の効果で、全体に一体感が出ているのもお分かりいただけるでしょう。 そしてこちらが、うどんを使って作った写真です。 広島風では、ソバは麺パリにできても、ウドンを麺パリにするのはかなり難しいのです。 ところが府中焼きだと、ウドンさえもが見事な麺パリになってしまう。 ガワがクリスピーに焼き上がって、なかがふんわりもちもちに仕上がった、うどんの味は、広島風では作れない、新しい食感でした! 切断面は、こんな感じです。 広島風と違って、基本的には麺とキャベツを合体させただけなので、きわめてシンプルです。 で、これで、ソースをぬれば、もう出来上がりです。 広島風なら、使う具材も多いし、野菜部分と麺部分を別々に調理してから合わせたり、まだまだいくつも工程があります。 しかし、府中焼きは、ほんとに簡単。 そして、広島風では考えられない、クリスピーな麺パリです。 広島風の場合、麺パリにしようと思うと、麺を油で処理しますから、極端な麺パリはあげ焼きそばのような硬さになります。 ところが、この府中焼きの場合、表面がパリッとして、中がふわっとした感じが残って、まるでお餅のような焼き上がりになるのです。 見た目は広島風に似ていますが、全く違う食感です。 そして、ウドン入りもまた、広島風にはない新食感でした。 クリスピーさとモチモチ感の両立という点では、広島風のウドン入りをはるかにしのぐ、優れた調理方法です。 これはほんとに驚きです!! さて、こちらは、箸休めに出していただいた、キャベツの酢のもの。 オタフクらっきょう酢にあえるだけで簡単にできるのだそうです。 右側に輪切りの鷹の爪とともに、ちょっとだけ置いてあるのは、キャベツの芯の漬物。 これまたオタフクらっきょう酢で鷹の爪とともにちょっと漬け込むだけ。 これまたおいしい♪ というわけで、さらに一枚焼く練習をして、それはお土産として持って帰りました。 いやあ、府中焼き、広島風の一種くらいに思ってましたが、似て非なるものでした。 お好み焼きの世界は、ほんとに奥が深いです!! こちら、今日の講師のみなさん。 こないだ第二回お好み焼きを語る会で御一緒させていただいたK本さんのお姿も見えますね。 ちなみに、今日のメイン講師のN本さん、東京にご転勤が決まったのだそうです。 このWoodEggお好み焼き館では、これが転勤前の最後のレクチャーだそうです。 N本さん、東京でも頑張ってくださいね! それにしても、私もお好み焼きは結構食べてきたつもりですが、それはしょせん広島風に限った話で、まだまだいろんなお好み焼きがあるんだなと、今日の講座で痛感いたしました。 お好み焼きと言うと、たいていの方は、関西風のお好み焼きをイメージされると思います。 しかし、関西風のように、小麦粉と具材を全て混ぜ合わせて焼くようなお好み焼きのスタイル(混ぜ焼き)は、戦後になってから普及したものなのです。言うなれば、関西風も、数あるお好み焼きのスタイルのうちのひとつなわけです。 広島市内はもちろん、広島風です。 クレープ状にひいた生地の上に具材を載せていく「重ね焼き」というスタイルですね。 広島県内は、どこへいっても広島風と同じで、入る具材が若干違うだけだと思っていました。 例えば、府中焼きは「ひき肉が入った広島風」であって、広島風のお好み焼きとして、ひとくくりにしてかまわないものだと思っていました。 実際、長久なんかもひき肉が入るのですが、あれはあくまで広島風なのです。肉のうまみを増すために入れているだけなんですね。(もちろん、そのおかげで美味しいのですから、それはそれでいいのです。) しかし、府中焼きは、全く別物でした。 広島風にひき肉が入っただけなんていうものでは、ありませんでした。 外見は良く似ているのですが、似て非なるものでした。 そして、この府中焼き、発生の歴史も広島風とは違っているのです。 元はと言えば、広島風が伝播したものと思われます。 高度成長期に食生活が欧米化=肉食化した段階で、単価を上げずに手軽に食べられるよう、精肉所で安く手に入った商品価値の低い脂身の多いひき肉を使うようになったというのです。この点は、府中市での独自のイノベーションなわけです。 文化の変容には発明と伝播という二つの要因があるわけですが、その二つがまさにここに揃っていたわけですね。 今日は、食文化変容の生きた教材を目の当たりにすることができました。 いやあ、今日も、ものすごく勉強になりました。 この「極のお好み焼き教室」、ほんとにすごいなぁ。 オタフクソースの皆さんの、お好み焼き研究の蓄積はほんとにすごいです!! 【追記 2010年9月18日】 この記事を書いたら「こんな記事もあります」で、かめさんというかたの記事がヒットしました。 http://blogs.yahoo.co.jp/kamedesu01/32249475.html 広島風お好み焼きとして、幼少の頃、長崎の駄菓子屋さんで出されていたというお好み焼きを再現された記事です。広島風ということになっていますが、現在の広島風とはかなり違っていて、おそらく広島風の祖先のどんどん焼きに近いのではないかと思います。(どんどん焼き自体は、おそらくは東京発祥で全国的に広まったものです。池波正太郎のエッセイに出てくるので有名) 今回の私の記事は、広島風としてひとくくりにされているものにも、実はいろんなバリエーションがあるという趣旨。このかめさんの記事は、とても参考になります。 よろしければぜひ、このかめさんの記事もご覧ください。 ※そうそう、この記事をご覧の皆さんも、ぜひ各家庭や地方のお好み焼きをぜひ再現してブログ記事にしてください♪
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2010年09月17日
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