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Tomoko先生のブログで、学生には考える方法みたいなものも伝えたい、なんて話をしておりました。私も学生のころ、「今日、明日、すぐに役に立つような知識は、明後日には役に立たなくなっている。そんなことを考えるより、きちんと考える方法を身につけろ」といわれました。
さて、で、今ではそれをゼミ生に伝える立場になったわけですが、そんな時に、必ずゼミ生に薦めるのが、こちら『創造の方法学』です。

創造の方法なんていうと大げさですけど、そんなにややこしい話ではありません。この本の主張は、結局のところ、現象を記述するだけで終わるな。その背後にある原因を突き止めろ!ということです。原因が分かれば、現実に対処できるけれども、原因がわからなければ振り回されるだけ。しっかり原因を見極めましょう。

もっとも、言ってることは簡単でも、なかなかそれを実践するのは難しい。
プロの学者の書いた論文でも、原因をつきとめるなんてことには程遠い論文ばかり。

そんなダメ論文には、決まって出てくる決まり文句があります。
それがこのホワイトボードに書かれている different, difficult, important。
これがまさに「ダメ論文の三大決まり文句」。
先日、CMGJ先生と、この話題で盛り上がって、大笑いしました。

だめ論文は、だいたいDifferentから始まる。
「製品AとBには大きな違いがあります」
そんなもんは言われなくてもわかる。なぜ違っているのか、違った結果どんな影響が出てるのかを解明しなさい。違っているなんて、現実の記述だけで終わるな。

だめ論文は、だいたい大変さを強調する。
Difficult
「この業界で成功するのはとても難しい」
「そんなもんは言われなくてもわかる。何が難しいのか、難しくしている原因は何なのか、どう対処すればいいのか、考えなさい」

だめ論文は、重要さを強調して終わる。
Important
「この問題は大変重要だ」
そんなことは言われなくても分かっているから、なぜ重要なのかきちんと説明してくれ。
だいたいだめ論文でdifferentを強調するのは、ほかに重要さをアピールする論拠がないんですね。現象を記述してるだけだから、そういうことになる。


というわけで、この本を読めば、こういうだめ論文は書かなくなるはずなんだが、さぁどうかな!?



と、力説されても、カメラを向けられると、まず写真用のポーズと表情をとることを考える。
まぁ人間、そんなもんでしょう。


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「なんだよ、表情かたいよぉ」と声をかけると、「そう言われてもぉ」と、自然な表情にはなりましたが、ちょっと自然すぎ(笑)。


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はい、三度目の正直で、なんとか自然な笑顔になりましたね。
卒論、納得のいくものを書いて、いい笑顔で卒業しましょう。
そのためにも『創造の方法学』しっかり読んでくださいよ!

※人物写真は、こうやって、表情を作るのが面白いですね。


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高橋正昭
『創造の方法学』
講談社現代新書

最近の版は、この表紙とはカバーが違っていますので、書店でお求めの際はご注意ください。
1979年の出版ですから、事例の古さは否めないものの、内容自体は今読んでも新鮮そのもの。



※ところで、上に書いただめ論文の三大決まり文句ですが、自分の書いた論文にもたくさん出てきます。そう言う意味では「自分のことを棚に上げて・・・」というおしかりを受けるかもしれませんが、忘れないようにという自戒の意味も込めて書いたのだということでご容赦いただければと思います。

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 「日本は人間関係重視の社会だ」というのは、社会科学の文献によく出てくる話。特に、日本的な組織とか、日本的な社会とか、日本的な取引とか・・・日本的と名のつく文献にはだいたいそう書いてあります。
 しかし、日本人が人間関係重視という時、それは必ずしも「信頼」関係を意味しないというのが、この本の主張。

 たとえば私がゼミ生のヤマサさんを信頼しているというのは、ヤマサさんの能力やら、人柄やらといった、ヤマサさんの属性を評価したうえですることです。ヤマサさんのような真面目な学生が、ゼミを無断でさぼったりしないだろうと思うのは、ヤマサさんを信頼していればこその話。
 しかし「ヤマサさんがゼミをさぼるはずがない」というのは、ヤマサさんを信頼していなくても、言えるのです。ゼミをさぼったら単位がなくなるし、卒業もできなくなるんだから、ヤマサさんがさぼるはずがない!このとき、ヤマサさんの能力や人柄は問題ではなくて、ヤマサさんがさぼれるわけがないという状況がポイントなのです。
 このように、相手の属性ではなく、相手の置かれた状況を信じているという時、それを「安心」と呼びます。

 日本人が、「あの人は裏切らない」と思っている場合、その人を信頼しているのではなくて、その人の置かれた状況に安心している場合がほとんどだというのが著者の主張。
 確かにそうだと思います。
 だから、日本企業では、自分の仕事をきちんとこなして「私の能力を信頼してください」というシグナルを発信することよりも、飲み会にマメに顔を出しているとか、同僚が残業していたらそれに付き合って自分も遅くまでオフィスにいるとかして、「私は裏切りませんよ」というシグナルを出すことのほうが大事だったりする。これを怠ると、能力があって信頼にたる人であっても、「あいつは能力を鼻にかけている」とか変ないちゃもんをつけられることになる。
 なんとも、面倒な話です。
 そう、グローバル化が進んで、世界標準で仕事をしないといけないこの時代に、この安心型社会こそが、諸外国の人から「面倒だな」と思われているわけです。

 今、ゼミの4年生は、卒論に取り掛かっています。
 ぜひ、物事を深く掘り下げて、こういう根本的な問題にまでたどり着いてほしいものです。



 山岸俊男
 『安心社会から信頼社会へ』
 中公新書



※ところでヤマサさん、こないだのゼミの時にこんな話をして「なるほど〜」とむちゃくちゃ納得していたようだったね。それで、この本を持ってもらって、記念撮影までしているというのに・・・なぜ今日のゼミは無断欠席なのか!?このブログを読んだ上で、反省文を出してもらおう!

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 日本商業学会第58回全国大会、二日目です。会場は法政大学。
 写真は、関西学院大学の石原武政先生とご著書の『商業組織の内部編成』。石原先生編集で流通のテキストが出るのですが、その一章を描かせていただくことになっている関係で、学会の合間に打ち合わせ。それに便乗してご著書について、いろいろうかがわせていただきました。
 学会に行くと、本の著者に直接会えて、その内容の詳細やら、執筆意図やら、ふつうは聞けないお話がきけるという点もありがたいですね。

 さて、ここから先は、ちょっと専門的なので、興味のある方だけどうぞ。
 (ただし、ゼミ生は、興味がなくても、ちゃんと読むこと!)

 さて、この本、何の本かといえば、商業組織(もうちょっと一般的な言い方をすれば流通システムかな)の分業関係がどういう原理で編成されるかということですが、流通システムなんてものは「暗黒大陸」と言われるくらいで、その編成原理なんてものが簡単に分かろうはずもない。
 ところが賢い人にはわかってしまうんですねぇ。しかも極めてシンプルに、極めて論理的な整合性の高いかたちで、明快にわかる。この本の内容を要約すれば「流通システムは品ぞろえ形成のためのシステムだ」というこの一点に尽きます。
 しかし、消費者が必要とするものを全部そろえるために、無限に近い多数の生産者と消費者を個々に結び付けるなどということはしょせん不可能。それゆえに、商業者に売買を集中させて、情報を縮約して需給をマッチングするわけですが、あらゆるものを特定の商業者に集中するというのも無理なはなし。そこで業種(取り扱い品種)による分業というのが、基本になるわけです。なぜ業種で分かれるかといえば、業種ごとに要求される技術が異なるからです。とはいえ、業種別に分かれたのでは、消費者が必要とするすべての品揃えを実現する商業者というのはいなくなるわけで、そこで商業集積を形成して異なる商業者が補完し合う体制ができる。しかし、この補完関係というのも、補完し合いながら競争するという、微妙な関係になるわけで、競争が激化すれば、競争を有利に進めるために新たな技術が生まれてくる。この新たな技術は、同じ業種内でも異なった技術で異なったニーズに対応した業態という新たな分類軸を出現させる。そして、この技術が大いに発展して、業種の壁を乗り越えるに至った時には、業種の分類さえ塗り替わってしまうこともあるわけですね。こんな風に、品揃え形成を目的として、それを実現する手段としての技術の変遷が、商業組織の編成原理を決めるというわけです。

 注意すべきは、この技術というものが、ニーズに対応したかたちで出てくるとはいうものの、必ずしも受動的な適応ではないという点ですね。競争を勝ち抜こうと、新たな技術で新たなニーズを切り開こうという積極的な努力の結果として生じてくるという点です。そして、新たなニーズを切り開くことに成功した技術のパッケージが、業態として認知され、勝ち残っていく。商業組織の編成原理というのは、こういう積極的な努力の結果なのだという点です。

 今日直接お話をうかがった最大の収穫もこの点です。先生は「競争的使用価値」という概念を提唱されて、今では学会のスタンダードになっていますが、本書の商業組織の編成原理も、その競争的使用価値も、基本的には同じアイディアだということです。

 「王法をば額にあてよ、仏法をば内心に深く蓄えよ」

 本書の序章で、商業研究に独自の認識論的アイデンティティを確立したいと述べられています。それを蓮如の言葉を引用されて、仏法にたとえられていますが、いや、まさに仏法を極められていますね。


 と、こんな話をしていると・・・
 「そうは言っても、この本、あんまり売れてへんのや」と照れ笑いをされます。
 それは、まぁ、このタイトルでこの内容ですから、万人うけする本ではないのはご自身も百も承知でしょうし、そもそもたくさん売ろうという意図はないでしょう。

 ただ、この途を志す者なら、必ず読まなければならない古典になることは間違いないでしょう。


 ゼミ生諸君、とにかく一度は読みなさい。


 石原武政
 『商業組織の内部編成』
 千倉書房

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マックス・ヴェーバーは、資本主義社会の成立の契機をプロテスタンティズムの精神に求めました。またさらに、そのプロテスタンティズムの支えを失ったとしても、いったん成立した合理主義は、合理化が一層の合理化を求める形でどんどん推し進められることも指摘しました。資本主義社会に生きる者がこの流れから抜け出せないことを鉄の檻にたとえて「合理性の鉄の檻」と呼びました。

その合理性の鉄の檻から逃げ出せない資本主義社会の住人が作り上げた、合理化の究極の姿、それが「マクドナルド化」です。マックス・ヴェーバーは官僚制という、社会の生産局面のみに合理性を見出していたわけですが、マクドナルド化は社会のあらゆる局面に及びます。そして欧米はもとより、極東のこの日本にまで、見事なまでに浸透しました。

さてさて、この本を持ってくれている彼女は中国の桂林出身の留学生。桂林といえば、世界的な観光地ですから、多かれ少なかれマクドナルド化されつつあることは、当然予想されます。

しかし、欧米とは全く違った文化背景を持った中国で、しかも資本主義とは全く正反対の共産主義体制を経験した中国で、マクドナルド化は本当に進むのか。あるいは進むにしても、中国の伝統文化と融合した中国らしい進み方をするのか。

今、彼女は、この本を読みながら、こうした問題を考えています。


ジョージ・リッツァ
『マクドナルド化する社会』
早稲田大学出版部

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※以前、彼女にもらった山水画をこのブログでご紹介しました。桂林には今もまだこの山水画そのものの風景が残っているそうです。
http://blogs.yahoo.co.jp/kn_hosoi_hue/8441583.html



※日本のマクドナルド化がアメリカのマクドナルド化と同じなのかという問題は、実は上に書いたほど単純な問題ではありません。ご関心の向きは、以下の書籍も合わせて御覧になると参考になるでしょう。

ジョージ・リッツァ他
『マクドナルド化と日本』
ミネルヴァ書房

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※マックス・ヴェーバーについてはこちらをご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/kn_hosoi_hue/20733152.html
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新聞や雑誌では、企業というものは消費者を欺いて暴利をむさぼる悪のように言われることが多いけれども、果たして本当なのだろうか。

もちろん、結果としてそうなることもあるかもしれない。
しかし、企業人は、自分の仕事を天職と信じて、世のため人のため、一生懸命働いているのです。天職であるがゆえにさぼれない。適当にやるということが許されない。
こうして合理性の鉄の檻にとらわれた企業人は、資本の論理を期せずして推し進める結果になる。
たとえそれが時々行き過ぎて道を踏み外すことがあろうとも・・・

アメリカはもちろん、日本もまたこの合理性の鉄の檻にしっかりとらわれています。

さて、彼女の母国中国は、いままさにこの合理性の鉄の檻にとらわれようとしているのか!?


マックス・ヴェーバー
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
岩波書店
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※この本、略して「ぷろりん」と良く呼ばれます。「プロリン的に言うとさぁ・・・」なんてことを言ってみると、ちょっと通っぽいかも知れません!?

※ついでに宣伝。明日のキャリアアップ・プログラムでは、マツダの尾崎専務をお迎えして、中国ビジネスについての講演会を開催させていただきます。みなさんどうぞお越しください。
広島経済大学 キャリアアップ・プログラム
http://www.hue.ac.jp/lecture/careerup/index.html

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