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網膜に積もる淡雪のように(まとめサイト:http://kinoshitan.com)

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Z=張彦遠(その4)

Z=張彦遠(その4)

 こうして(7)章で、歴代の画家の中でもとくに著名な四人顧凱之(コガイシ)、陸探微(リクタンビ)、張僧◇(チョウソヨウ)、呉道玄(ゴドウゲン)の注目すべき特質を語ります。これは、(4)(5)(6)を具体的な作家の例を取りあげて説明していく方法です。
 (8)は、「画体と工用、搨写を論ず」の章で、「画体」といのは、作品の品格のことをいい、その品格を張彦遠は、五階級(五等)に分けるべきだと提起しています。最も上級から(1)「上品(ジョウヒン)の上」、(2)「上品の中」、(3)「上品の下」、(4)「中品の上」、(5)「中品の下」です。その下に「下品」というのもあるのですが、これについては論ずるに足りないので「画体」のカテゴリーに入れないのですね。
 「工用」では、用具と材料(画絹、顔料、膠、筆)のことに触れて、顔料や絹の産地による特色などについても語っています。ここで面白いのは、材料のことを語って「雲気(うんき=雲の絵)を描く」論をやっていることです。一種の技法論をベースにした絵画論なのです。つまり、雲を描くのに「吹雲」という技法があって、これは絵具を口に含んで絹の上に吹きつける方法です。そういうことをやっている人がいるが、この方法を、張彦遠は「筆跡が見えないから絵画ではない」と切り捨てています。
 この時代、筆を用いて表現するということは、とても大きな意味があったようです(そのことは、「画の六法」でもう少し詳しく考えてみます)。
 「搨写(とうしゃ)」というのは、かんたんにいえば、模写のことですが、この「模写」は、現代のわれわれがこの言葉でまず思い浮かべる技法と全く違います。
 これは、出来上がった作品の上に絹を重ねて、そこから映る絵=像をていねいに写し取ることなのです。こんなやりかたは、現代では贋作づくりといわざるを得ませんが、昔の人はそうして絵を勉強したのですね。張彦遠は、この「搨写」を大いに勧めています。
「画の六法」でいう、最後の6番目の「伝模移写」というのは、こういう「搨写」のことを言っていることも心得ておきましょう。
(9)章は「名価と品第を論ず」で、ここも鑑定論なのですが、「書」と「画」は「同体」だといいながら鑑定基準は異なるといっています。
ここでまた改めてその作品の古さに伴う価値を判定するため、時代区分を示しています。「上古」「中古」「下古」「近代」と四つに分けていて、「近代」は同時代の現代を含んでいます。
(10)が、「鑑識、収蔵、購求、閲署を論ず」という章で、「歴代どんな鑑定家がいたかという話や、収蔵管理の大切さなどを語っています。秀れた鑑定家の名前を列挙して、絵画を鑑賞するということ、いいかえれば「書画の見方」の大切さを語っている章です。
(11)章では、書画巻の末尾に記されている署名、跋文の時代による変遷とその意味を語ろうとしています。
(12)章は(11)章のつづきともいうべき印記の話です。
(13)章「装背と標軸を論ず」で、表装の方法、ありかた、その歴史を述べます。糊のひきかた、裏打ちの仕方、軸の材質などなど最良の保存のための方法を語りつつ、こうして大切に表装してもいつか灰になるかもしれないと言っているのが面白い。
こうして(14)章は、西京(長安)と東京(洛陽)そして、それ以外の地(外州)にあった寺々の壁画の記録です。軸装の章ですでに張彦遠が危惧していたことが、この章を書いている張にどのくらい想像できたことでしょうか。
張彦遠がここで記録している「寺観画壁」はことごとくいまは灰になってしまって、ただ張彦遠の記録にあるのみなのです。
(15)「古(いにしえ)の秘画と珍画を述ぶ」も同様、いまわれわれは「作品のない美術史」の前に立たされているのです。
そして(16)章以下(35)章まで、われわれは「作品のない美術史」の森へ入ってわれわれの想像力を試されるのです。
(つづく)

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コガイシにどう字を宛てるか調べているうちにこちらへ辿り着きました。ありがとうございました。

2006/12/16(土) 午前 1:12 kom*05d*ep*ores*


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