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海の微風 ( そよかぜ )
肉体は悲しく、ああ! 書物はすべて読んでしまった。
逃げ出すのだ! 何処かへ逃げ出すのだ! 小鳥たちが
地上の屑と大空のあいだで酔っ払っているのを感じるよ!
なにものも、瞳に映る古い庭も、
海を求めているこの心を引き止めることはできまい。
ああ、夜の! 白さに護られた空虚な紙の上の
ボクの灯りの淋しい光も、
そして、子どもに乳を与えている若い女も、引き止めはできない。
旅立とう! 蒸気船はマストを揺らしている。
異国の自然へ向かって錨を揚げよ!
〈倦怠〉は残酷な希望に荒らされてはいるが、
でも信じるのだ! ハンカチを振る最後の別れを!
あるいはおそらく、船は嵐に会い、
風に傾 ( かし )いで難破するかもしれない。
迷子になって、舵を失くし、舵を失くし、豊かな島影も見えない‥‥
けれども、我が心よ、聞くのだ、水夫たちの歌を!
木下長宏 訳
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