木下長宏のウェブログ

網膜に積もる淡雪のように(まとめサイト:http://kinoshitan.com)

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春の訪れ

                                                ステファンヌ・マラルメ

 
 

病みがちな春が悲しげに冬を追い立てた、

深々 ( しんしん )とした芸術の季節、透き通る冬を。

そして、淀んだ血に支配された私の生命 ( いのち )のなかに、

無力が長い欠伸をして居座っている。

 

色を失くした黄昏は、古びた墓に嵌められた鉄の ( わ )

締めつける頭蓋骨の下で生温 ( なまぬる )くなっている。

そして、嘆かわしいことに、私はおぼつかない美しい夢を求めて

樹液の芳香が充満している野原を彷徨う。

 

ついには、樹木の香りに心乱され、倒れ込んでしまう。

私の夢を葬る墓穴を目の前に掘りながら、

リラの花が芽吹く暖かい大地にしがみつきながら。

 

私は待つ、穴のなかで、私の倦怠が生まれてくるのを。

―とはいえ、「青空」は垣根の上で笑っていて、目覚めた

小鳥たちが花のなかで太陽にむかって囀っている。

                          木下長宏 訳


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