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朝日新聞デジタルより
太田匡彦の暮らしの中の動愛法1
成果多い改正動愛法消費者も賢くなろう 3度の改正を経た動愛法が、いよいよ今月1日から施行となった。
何が変わり、何が課題として残ったのか。 暮らしの中の動愛法を太田匡彦記者が新連載で解き明かす。 (イラストレーション/石川ともこ) http://www.asahi.com/ad/sippo/opinion/images/p201312_01_01.gif
http://www.asahi.com/ad/sippo/opinion/images/p201312_01_02.gif 動物愛護法が成立して、今年でちょうど40年。それ以前には「動物が命あるものである」(第2条)と考え、「適正な取扱い」(第1条)を規定する法律すらなかったわけだ。そのことを思えば、世の中は格段に、動物に優しくなってきたと言えるだろう。
だがこの法律があっても2011年度、犬は4万4783頭、猫は14万132頭が全国の自治体で殺処分された。こうした現状について環境省は「過去に2度の改正を重ねたが、その後も不適正な飼養や販売の事案が後を絶たない」と認める。そのため昨年8月、3度目となる動愛法の改正が行われた。そして改正動愛法が、この9月から施行された。
何が変わったのか。まず今回の法改正の主眼であった動物取扱業者への規制強化はある程度、実現している。動物取扱業者は例えば、販売が困難となった犬や猫について、終生飼養を図らなければならなくなった(第22条)。同時に、自治体は動物取扱業者からの犬や猫の引き取りを拒否できるようになった(第35条)。ペットショップや繁殖業者による「売れ残り犬」や「用済み繁殖犬」の遺棄は、減少が期待できそうだ。
また、インターネット販売や深夜販売が規制されたことは、消費者の衝動買いを防ぐ意味でも大きな意義があった。ほかにも虐待事例が明記されて取り締まりがしやすくなり、罰則も厳しくなった。さらに初めて、犬や猫の「殺処分がなくなることを目指して」と明記された(第35条)。 その殺処分を減らすという意味で、最も大きな変化は「週齢規制」の導入だ。幼すぎる子犬を生まれた環境から引き離すことで、精神的外傷を負わせて問題行動を起こしやすい犬を流通させたり、販売現場で衝動買いを促したりすることを防ぐ狙いがある。本来であれば欧米先進国並みに「8週齢」で線引きが行われるべきであったが、一部議員が「抵抗」した結果、9月から施行されたのは「45日齢」規制。それでも、施行規則や輸送期間を考慮すれば、実際にペットショップの店頭に並ぶ子犬は最短でも生後48日程度にはなる。
販売現場では「犬がぬいぐるみのようにかわいいのは生後45日まで」(大手ペットショップチェーン経営者)という考え方が主流で、これまでは生後40日に満たない子犬が数多く販売されていた。今回の改正は一歩前進と言える。だがそれでも、8週齢規制が実現できなかったことは大きな禍根を残した。次の法改正が行われるのは5年後。それまで消費者は、幼すぎる子犬を買うことが何を意味しているのか、よく知ったうえで選択をする必要があるだろう。
※この記事は『sippo』no.20(2013年9月発行)に掲載されたものです。内容は取材当時のものになります。
太田匡彦の暮らしの中の動愛法2
首都東京は動物愛護先進都市になれるか http://www.asahi.com/ad/sippo/opinion/images/p201312_02_01.gif
http://www.asahi.com/ad/sippo/opinion/images/p201312_02_04.gif 2020年の夏季五輪開催都市が東京に決まった。招致レースの過程で猪瀬直樹・都知事らがアピールしてきたのが、「成熟都市」としての強みだった。確かに経済、文化、また人口の年齢構成などの面から見て、東京が成熟した先進国の首都であることは間違いない。だが、こと動物愛護についても、東京はそう誇れるだろうか。
東京には、欧米先進国では極めてまれな、小売業として犬や猫の生体を販売する動物取扱業者が全国で最もたくさんある。全国規模で展開する大手ペットショップのうち5社もが本社を置く。それら業者が生体を仕入れるための子犬や子猫の競り市が、隣接県に少なくとも七つ存在している。そして自治体としての東京都(八王子市、町田市を除く)は11年度、犬猫あわせて2184頭を殺処分した。
小さなショーケースに子犬や子猫がずらりと陳列され、消費者が群がって歓声をあげる。そこで衝動買いされた犬や猫は飽きられれば捨てられ、自治体が税金を使って殺処分する。売れ残ったり、繁殖が終わったりした犬や猫の命は、人知れず消えていく。東京は、そんな光景に慣れきった異常な都市なのだ。 東京で五輪が開催されれば、その期間中だけで少なくとも80万人の外国人観光客が来日するという(みずほ総合研究所調べ)。日本の良さを知ってもらう最高の機会だ。だが一方で、動物愛護後進国・日本またはその象徴としての東京が、世界の目にさらされることになる。手をこまねいていいはずがない。まだ6年あまりも時間があるのだ。
東京都の人口を考えれば、積極的な譲渡活動によって、殺処分数を限りなくゼロに近づけることは十分に可能だ。五輪後に使い道に困るようなハコモノを新設するくらいなら、老朽化した東京都動物愛護相談センターを建て替えることもできるはず。誰もが足を運びやすく、もちろん殺処分など行わない、ドイツの「ティアハイム」のような動物保護・譲渡施設に生まれ変わらせればいい。
また今年9月に施行された改正動物愛護法では、欧米先進国では当たり前の8週(56日)齢規制(生後8週未満の子犬を生まれた環境から引き離してはならないという規制)が、「骨抜き」になってしまった。ならば国の法律に先んじて、東京都の条例で先進国並みの8週齢規制を実現してみせるという手もある。ただ現時点で東京都は、「動物取扱業者に対して56日齢規制がかかることを周知していく」「8週齢規制の条例化については、都動物愛護管理審議会の答申で『条例化の必要がある』と盛り込まれるなどすれば検討する可能性もある」(都福祉保健局健康安全部)と答えるに留まる。
五輪開催決定を機に東京は、「動物愛護先進都市」を目指すべきだ。東京都の腰が重いようなら、市民から声をあげる必要があるかもしれない。 太田匡彦(おおた・まさひこ) 1976年東京都生まれ。2001年、朝日新聞社入社。経済部記者として流通業界などの取材を担当。07年からAERA編集部記者。著作に『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(朝日新聞出版)がある。
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