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帝国は、繁栄の限りを尽くしていた。帝都は活気あふれ、光輝く摩天楼が、ジャングルのようにそそり立っている。人々はまるで眠ることを忘れたように、常にいそがしく活動している。
誰もが日常のことに没頭し、幸せな将来に疑いを抱かなかったある日。
ドドーン グラグラグラグラ
天地がひっくり返るかと思うような揺れが襲ってきた。逃げまどう民草。しかし、揺れは長く続くことはなく、幸いにも、帝国の損傷はそれほどなかったようだ。
一体何が起こったのか。帝国全体を揺るがす、鳴動。帝国中の学者を集め、協議させた。
ケンケンがくがく・・・ 学者というのは、他人の意見に不寛容であり、一向に結論めいたことが出て来ない。宇宙が膨張しているだの、いや、我々が生きている世界が暖まっているだの。
政治は何も解決してくれぬ。政治不信が蔓延し、民の不安に乗じて、ある宗教が台頭してきた。
『神の裁きが訪れる。』『最終の審判が下される。』『神を信じよ。』
神を信ずれば、救われ、天国に召される。信じない者は、この地上とともに、滅亡する。
月日が流れ、いまやその宗教が民草の90%以上の信者を集めてしまった。帝国は立憲君主制であり、まがいなりにも民主選挙が存在していたが、いまや教皇が帝国の元主を兼ね、選挙などという制度は過去の遺物となりはて、口にだせば反逆罪の恐怖が待っている。
異教徒、無神教徒は粛清され、社会的には存在を無視していいほどになった。
そして
審判の日はやってきた。
ガラガラゴローン!!! 激しい揺れが帝国を襲う。
民草は、はじめのうちは動揺していたものの、すぐに
『これは最後の審判だ!』『皆、神に祈りを捧げよ!』
帝国の広場に老若男女、正座をしてひれ伏し、『神』に祈った。
神を信じるものは、救われる。
神を信じていないものは、地獄に落ちる。
広場に集まった民草は、心の底から、神に救いを求めた。
その時
天が割れ、穴があいた。天の穴から、目もくらむような光が差し込んだ。
熱い、熱い!!
天から刺した光が、熱い。多くの民草が、光を浴びただけで消滅していった。
天から、『神』の声が、大音声で降り注いだ。
『この缶詰、大正か昭和の初めのやつだって。ブリキ、結構分厚いね。』
『コンビーフ? 食べれるのかな、これ。』
『うまくいけばね。もし腐っていたりしたら、捨てるしかないけどね。』
きゅこきゅこきゅこ
『あー。だめだ。ほら、ここ見てみ。かびてるよ。黴(かび)。』
『あちゃ、やっぱだめだったか。密封の技術がいまいちだったんだよね、このころ。結構かびちゃってるね。』
『しょうがない、中身捨ててきれいにして、捨ててくれる?』
***
すみません、すっかり遅れました。
竹宮恵子さんの、『百億の昼と千億の夜』 好きでした。
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