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22 説得
「随分急なんですね・・・ 明日なんて、受け入れ態勢も整いませんよ」 (続く)
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【小説】公安省特特課
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21 接近
日比谷公園の端っこにある公園管理事務所。実は、その地下に公安省特務部が存在しています。そうです、秘密基地そのものです。 (続く)
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Mission 003
20 接吻
「来る・・・ 『反乱分子』が・・・ 」 ここは割烹スナック『とくとく』。あるミッションを 完了 ( コンプリート ) した後、公安省特特課のメンバーで打ち上げをしていましたが、突然、課長の義理の娘 天照那美 ( あまでらなみ ) ちゃんがカウンターに突っ伏してしまったのです。 那美ちゃんには、思念体が憑依しています。その思念体は、他の思念体と違ってこの世の人間を支配しようとはせず、むしろ異世界の情報を流し、こちら側を助けようとしているのです。ゆえに、『反乱分子』。その思念体さんとは、今日はじめてお目にかかります。 がばっ 那美ちゃんが起きあがりました。髪の毛にピンク色の光がまとい、煙のようにゆらゆらしています。那美ちゃんの目が、赤く光っています。 「EPPS(Enhanced Psychic Powers System)で記録開始」 百襲 ( ももそ ) 主任が事務的に言いました。 「673984952727384749・・・ 」 なな、何? 数字? ものすごい勢いで、那美ちゃんの口から数字の羅列が飛び出します。 「9773728293149347282・・・ 」 「課長、これって一体・・・? 」 「しっ! 静かに! 」 課長が僕を手招きしました。課長の席に近寄り、 「・・・ いつもこんななんですか? 」 課長はひそひそ声で、 「ああ。突然現れて、数字をダダーッと早口でまくしたてるんだ・・・ これを分析するとよ、いろいろなことがわかるんだと」 「いろいろなことって、例えば? 確か、EPPSも反乱分子のくれた情報から開発されたんですよね? 」 「その通り。この間現れたときは、あのイノシシになった思念体の『 邂逅 ( かいこう ) ポイント』を知らせてくれたんだ」 邂逅ポイントは、異世界とこの世との間に亀裂が生じ、そこから思念体が 浸潤 ( しんじゅん ) してくるポイントのことだ。 「ははぁ、じゃ、そのときもこんな風に数字を? 」 「ああ、そうだ」 「・・・ 」 那美ちゃん、いえ『反乱分子』が突然口をつぐみました。僕のことをじっと見ているようです。それにしても、おっかない目だなあ。 「あ、はじめまして。僕、 諫凪惣亮 ( いざなぎそうすけ ) といいます」 「・・・ いざ・・・ なぎ・・・? 」 百襲主任が驚いて、 「反乱分子がしゃべった! 」 「え? しゃべったことないんですか? 」 「ええ、少なくとも私は今日はじめて見た」 「俺もだ」と課長。 そうだ、この間危ないと思った、あのことを聞いてみよう。 「あのお、一つ質問していいですか? 『結界』なんですけど、あれ人間に見えなくするだけなんで、結構危ないんです。憑依体との格闘中一般人にぶつかったりしないように、改良できないですかね? 」 「・・・ 2736482920484・・・ 」 また数字に戻った。でもこの数字たち、僕の質問に対する回答なんだろうか? 「・・・ 」 また、反乱分子さんが口を閉ざしました。また、僕のことをじっと見つめていらっしゃいます。 「あの、那美ちゃんは無事ですか? 」 我ながら、マヌケな質問をしてしまった。だって、完全に人格(?)が違っているみたいで、こわいんだもん。 「・・・ いざなぎ」 それだけ言うと、突然僕の方に体を預けてきました。 「??? あの、顔が近・・・ 」 ・・・ 唇をふさがれました。何でって? セーラー服女子高生の柔らかい唇です。 生まれてから2回目の異性とのキス(但し母親を除く。)。先日、『やんちゃレディース』の元総長さんに唇を頂かれてしまいましたが、今日は反乱分子さん(だよね?)。頭の中がしびれて、目がスパークして・・・ 反乱分子さんの思念が、ほんの少し僕の頭の中に流れてきました。この気持ちはなんだろう・・・? 苦しい、切ない、哀しい・・・ 気の遠くなるくらい昔の、別離・・・? 「ばかっ! やめろ! 許さんぞこらっ! 」 怒れる父親、すなわち課長に甘美なひとときを中断されてしまいました。僕が課長に頭をかなり本気モードでボカスカ殴られている間に、那美ちゃんがまたカウンターに突っ伏してしまいました。 ガバッ! 勢いよく頭をあげた那美ちゃん。 「・・・ 今、来てた? 」 全員で、こくんこくんと 頷 ( うなづ ) きます。 「・・・ あたし、何かやらかしたような・・・ お兄ちゃん? 」 那美ちゃん、僕をじっとみつめます。いつものオレンジに近い茶髪に、薄茶っぽい目に戻っています。あの禍々したオーラは消えています。 でもなぜか・・・ ドキドキします。心臓の音、聞かれないだろうか・・・ 那美ちゃん、指をそっと伸ばし、僕の唇に触れました。 「・・・ あたしのリップクリーム・・・ まさか?! 」 「あ、いや、ほら、なんちゅうか、反乱分子さんなわけで、那美ちゃんじゃないわけで、なんかきっと理由があるわけで、ほら、人間のそれと意味が違うかもしれないし・・・ 」 「いやあああ! ずるいずるい! お兄ちゃんはナミぴょんのだもん! 」 と叫ぶと、那美ちゃんは勢いよく僕に唇を押しつけてきました。がちん! 前歯が当たり、けっこう痛いです。 「今度こそ、絶対だめー!! 」 課長の叫び声がしましたが、瞬間僕の首の後ろに鈍痛を感じ、そのまま僕の意識が飛んで行きました。 後から確認したところによると、課長は僕に手刀をくらわしたそうです。いつか、きっと、必ず、故なき暴力は己をも 苛 ( さいな ) むものだということを身をもって理解させてあげようと決意しました。 ともかく、今回は異例続きで、『反乱分子』が数字以外の言葉を口にしたことも初めてだし、反乱分子が表にでていたときの記憶を那美ちゃんが少しでも保持していたことも、初めてのようです。 (続く)
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僕の必殺技
若頭後藤康雄はやはり、 憑依体 ひょういたいでした。我ら公安省特特課に追い詰められ、巨大なカマキリに変身しました。
ブンッ! カマキリの鎌が横殴りに走ります。空気が裂ける音がしました。 百襲 ももそ主任と僕は、ぱっと後ろに飛び退ります。 百襲主任は、飛びのいた位置から、カマキリの背中を蹴りつけます。大きい腹部がぼよんと波打っただけでした。巨大カマキリは、三角形の頭を百襲主任に向けるとすぐに腕の鎌で切りつけます。ヒュッ! 百襲主任の腰紐が切られ、袴がストンと落ちました。 「きゃっ」 袴の下は、生足・・・。道着の下部からちらちら見える、薄桃色の・・・ おぱんちゅ。百襲主任は、前を両手でおさえて、うずくまります。 すかさず、カマキリの鎌が僕の方に水平に飛んできます。ヒュッ! 腕で受けたら、腕が瞬時に切られてしまいます。ぱっと腰を沈めて、鎌の水平面を平手で押し上げ、インパクトを避けました。別の腕の鎌が僕の斜め右上から振り降ろされます。体を右横に裂け、右手のひらを左方向に出し、鎌の平面を押します。 「だ、だめだ! 近づけない! 」 近づけないと、憑依体の弱点である心臓をつけません。課長が 心裡剣 サイコソードを正眼に構えました。 「うおりゃ〜〜!! 」 気合一発、課長が心裡剣でカマキリに向かって切りかかります。 カィーーーン!! 火花が散ります。巨大カマキリは鎌で心裡剣の刃を受け、じりじりと課長を押していきます。 ジャキン! 巨大カマキリの力押しに負け、課長が後ろに飛ばされました。すかさず襲いかかるカマキリ! 危ない! 僕は巨大カマキリの鎌に向けて飛び蹴りを食らわしました。よろけるカマキリ。チクリ、痛みが太ももに走ります。しまった、鎌で少し切ってしまったようです。ズボンが裂け、血がにじんできました。あー、このズボンもう、修理きかないな〜。 「 諫凪 いざなぎ君! これ使って! 」 さっきまでうずくまっていた百襲主任、道着の 懐 ふところから銀色に光るものを取り出しました。パンツ丸見え。あ、いや今はそれどころでなく。道着から出てきたものは、手袋? 「特務部技術課特製の長手袋! 超合金製よ! 」 ぽいっと手袋を投げます。受け取って手にはめましたが、腕の半分まで隠れます。テラテラと銀色に輝きメタルな雰囲気を醸し出していますが、見た目にかかわらず柔らかく、そして軽いです。 後ろからカマキリの気配。頭の上から鎌が降りてきます! 振り向きざま、超合金手袋をはめた腕で下から鎌を受けます。 カィーーーン!! おお! これはいい! 切れてないっす。腕には何の損傷もありません。よし、行ける! カキン! カキン! カキン! カキン! 連続パンチのように僕を襲ってくる鎌を、超合金手袋で防御しながら、カマキリに迫っていきます。そうです、百襲主任の特訓どおり、防御しながら、隙をねらいます。 「グモォオオオ! 」 巨大カマキリが咆哮をあげました。カマキリって、鳴くんだ。しかも、カマ〜とかじゃないんだ。 大技がくる! カマキリは両腕を大きくひろげ、僕を抱きかかえるようにして、両鎌のハサミを閉じようとします! 腰を思い切り落とし、頭の上の両鎌を避けます。チリッ! 髪の毛が結構な量、切られた感触が。両足に力をこめ地面を蹴り、カマキリの腹に頭突きをくらわします。ぼにゅん! カマキリが後ろによろけ、両腕を広げたところに、僕の右ストレートで胸の真ん中を打ちます! どうだ、超合金パンチ! ガツン! カマキリの動きが停まりました。「課長! お願いします! 」 課長は、心裡剣でカマキリの後ろから心臓を突き抜けるように刺しました。 心裡剣が突き出た胸の穴から、ピンク色の煙が立ち上ってきます。思念体です。 「確保します! 」 万年筆タイプの思念体捕獲機で、ピンクの煙を吸い取ります。 「ミッション・コンプリート」僕は、EPPSを通じ『指令室』に報告しました。 「あ、お前! それ、課長の役目だ! 」 「ええ! す、すいません! 知りませんでした」 まるでしゅるしゅると音がするように、カマキリが縮み、裸の男に変身していきます。 「課長、若頭とゴリ店長、どうしましょうか。」 「ゴリ店長ってこいつのことか? あー、放っておいていいんじゃね? バンと銃置いてさ。そうしたら、警察が適正に始末してくれることでしょうってことで」 腰紐の切れた袴を手で持ち上げながら、百襲主任が切なげに提案しました。 「は、早く撤収しましょう」 ☆ 巨大カマキリを退治してから、さらに数日経ちました。僕は田舎に帰るという名目で、キャバクラ『やんちゃレディース』を退職しました。ちょっと意外だったのは、レディースの皆さんがそれはそれはお怒りで、なだめすかすは泣きわめくは抱きつくはで、『辞めるんじゃねえ』と引きとめてくれたことです。とくに、元総長さん、たわわな胸に僕の頭をうずめるように抱っこしてくれて、おまけにチューまでしてくれました。「こいつには、こいつの事情があんだよ。みんな、もう引き留めるんじゃねえ。・・・ ボクちゃん、元気でな」 今晩は、久しぶりの割烹スナック『とくとく』です。カラカラと引き戸を開けます。 「こんばんは〜。あ! 主任! 」 百襲主任が席にいらっしゃいました。 「おい、こっちは? 」 「・・・ と課長」 「ずいぶんなご挨拶だな」 「お兄ちゃん! ナミぴょんもいるのに! ナミぴょんもいるのに! 」 「はいはい。那美さん、お元気なようで、なによりです」 「ぶー! お兄ちゃんのいけず! 」 ママさんが、「まぁまぁ、みんな久しぶりなんだから、仲良くね」と仲裁に入ってくれました。今日のお通しは、冬瓜の鶏そぼろあんかけです。緑が美しい。 「課長、あの後若頭、どうなったんですかね、ご存知ですか? 」 「んー、消えた」 「消えた? 」 「思念体が抜けると、あいつはキレ者じゃないただのヤクザ。でも至誠会の守旧派からすると、危険人物のまま。行方しれずになって、ずいぶん経ちます。いまごろ、東京湾の底で、お魚さんでも眺めてるんじゃないかな〜」 うぐ。なんだか、気の毒な気がします。 「銀座の店も、諫凪君の大好きな『やんちゃレディース』も、堅気の人達に売られたわよ。元総長さん、キャバ嬢を引退して、店長やってるようよ、今度行ってみたら? 」 元総長さんのチューを思い出しました。 「お兄ちゃん?? 何で顔赤くなってんの?? ちょっと! 可愛い妻にわかるように説明して! 」 「こら、父さんは結婚なんか認めてないぞ、とくに女装男とは」 ぶほっ! 鼻からビールを吹きだしてしまいました。ツーンと鼻腔上部が痛みます。 「課長、那美さんから何聞いたかしらないですが、それは誤解でして・・・」 「まぁ、いいじゃないか、若いんだし。俺も少しは気持ち、わかるよ」 ・・・って聞く耳もたねえし。 「稲山会の方は、どうしたんですか? やっぱり、百襲主任のツテですか? 」 「ええ。特暴課はなにかと稲山会に便宜を図ってきたこともあるしね。今回は『稲山会』の名前を借りただけだけど、何人かの幹部が犯した罪について、すこーしお目こぼしをすることを条件にしたの。」 「そ、そうですか・・・」 それは何だかなー、いいのかなー、公務員として。 がたん! どうしたことでしょう、那美ちゃんが突然、カウンターに突っ伏してしまいました。 「来る・・・」 え? 何がですか? それより、那美ちゃん、大丈夫ですか?! 「来るぞ・・・ 『反乱分子』が」 (続く)
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蟷螂
「後藤さん、じゃあ、取引と行きましょうか。」 テラテラ紫スーツの課長が若頭に話しかけます。よっこらしょという掛け声とともに、ベンツのバンの中から、スーツケースを運びだしました。 かしゃかしゃとロックを解除して、スーツケースの半分を開き、若頭をあごで呼びつけます。 「ご注文のブツだ。」 若頭、近づいていって中をのぞき、黒光りする物体を手に取りました。・・・ 小銃です。ひとつだけじゃなく、いくつか入っているようです。 若頭、こちらを振り返って、ゴリ店長を手招きしました。ゴリ店長、ゴルフバックを持って若頭に近づき、頭の部分のチャックを開けました。課長、手を突っ込んで中身をひとつ、とりだしました。・・・札束です。 ゴリ店長はゴルフバックを課長に渡し、ふりむいて僕を呼びつけました。 「おい、これを車に入れろ。・・・ お前、中身見たか? 」 「え? なんのことですか? 」おもいっきりすっとぼけました。 「・・・ 早く運べ。」 はーい、と言いつつスーツケースを持ち上げましたが・・・ クソ重い! ひぃひぃ言いながら、やんちゃレディースのバンに運び入れました。 「後藤さんよ、至誠会に妙な動きがあるんだが、承知してるかい? 」 「妙な・・・? いや、それはどういうことだ、稲山の。」 「的屋の親分たちがさ、お前さんをつけ狙ってるとよ。こっちの動きが漏れてんじゃねぇか? 」 「ふん。老いぼれ達に何ができる。」 「頼もしいこった。でもよ、万が一の間違いでもこっちは大損だ。『対策』についてビジネスマン同志、話し合いたいってよ、うちの会長が。これからちょっと顔貸してくれねえか。」 「物騒なことだな。怖くていけねえよ。」 「こっちは俺と会長だけだ。お前さんとこのバンで、●●ホテルまで行こう。そこに会長がいらっしゃる。お前さんとこのバンなら、今渡したブツもあるだろ? こっちに変な動きがあったら、ぶっ放せばいいさ。」 「承知した。」 課長が乗ってきたベンツのバンは、課長を置いて走り去って行きました。課長がやんちゃレディースのバンに乗り込んできました。 「お邪魔しますよ。」 片手で空を切りながら、後ろの方の座席に座りました。まったく余計な挨拶です。サラリーマンじゃないんだから。今、やくざなんだから。 一番近くの高速出口で降りて、渋滞にまきこまれることなく、すぐにめざすホテルの駐車場に入れました。 「コード194(イチキュウヨン)」 突然、EPPSから『指令室』不二さんの声が耳に流れ込みます。 え・・・ ここでやるのか? コード194とは、結界を張って憑依体を追い詰めることです。念のためですが、決して『イクヨ』とは読みません。もっとも、ダジャレ好きの多い部ですので、番号の元はそんなところかも知れません。 駐車場は比較的空いており、僕たちの外に人影がありません。 バンの横開きの戸を開けて、若頭、ゴリ店長、課長が降りました。 「稲山の。会長はどこだ? 」 課長は、くいっとあごを前方に向けました。そこからやってきた者は・・・ 白の道着に朱袴、長い髪の毛を後ろでひとつに束ねた女性です。 「エリ? エリじゃないか。なんだその格好は。いやそれよりも、どうしてここに? 」 エリと呼ばれた女性は、若頭の経営する銀座のクラブに潜入した、我らが百襲 ( ももそ )主任。 「諫凪 ( いざなぎ )君、一般人を排除。」 僕はゴリ店長の襟首に思いっきり手刀を打ち込みました。うぐっとうめいて、ゴリ店長が前のめりに倒れ込む前に、そのごつい尻に蹴りを入れました。 「し足りないけど、しかえし。」 どさっ 「お前ら、一体何者だ? 稲山会じゃないな? 」 「指令室、結界をお願いします! 」僕は若頭の声を遮るように叫びました。 パシーーーーーッ!!!! 薄桃色の霧が立ち込めました。結界は、万が一一般人が現場に紛れ込んでも、心裡操作で僕たちと憑依体が見えないようにする技術です。見えなくするだけで、一般人と当たったりぶつかったりしたら、ケガさせちゃうことになります。だから、憑依体と対決するときは、他人が入ってこない、しかも戦えるだけ広い場所が必要なのです。システムの改善が望まれます。那美ちゃん、なんとかできないでしょうか。 「お前が異世界から来た思念体であることはわかってるんだ。」 「エリ? 何言ってんだ、頭おかしいのか? 」 「とぼけてもダメ! 」といいざま、百襲主任が若頭の顔めがけてハイキックを決めにかかります。辛くも頭を後ろに避けましたが、つま先が頬をかすめたようです。若頭の頬から、つーっと一筋、血が流れます。 うるるるるるぅ・・・ 若頭が低く唸ると、ぶちぶちぶちっとワイシャツのボタンが飛びました。 ふしゅーっ・・・ 結界内に、熱気が立ち込めます。若頭の体がぐんぐん大きくなり、肌が黄緑に変色していきました。腕が細くなって鎌状に変形し、頭が逆三角形になり目がぎょろりと大きくなりました。腹が後ろに向かって大きくなり、足が長く延びましたが大きく折りたたまれています。 「カ・・・ カマキリ! 」 (続く)
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