★月臣くにひとの”サイエンス素人勘定”★

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【【地震特集】】

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[転載4]
【『マグニチュード』とは何か??】
 
 
 地震の震源域で生じた現象そのものの大きさを表す尺度がマグニチュード(M)です.日本語では「規模」と称される場合もあります.規模の大きな地震でも遠く離れていれば地面の揺れは小さいし,逆に小規模の地震でもごく近傍で発生すれば大きな揺れが記録されます.このため,地震の規模の大小を公平に判断するためには,震源から同じ距離だけ離れた地点において揺れ具合を比較せねばなりません.
 
 
 マグニチュードは,このような趣旨で,米国カリフォルニア州に発生する地震の規模を客観的に評価する尺度として,1935年,リヒター(Richter)によって導入されました.すなわち,震源から100km離れた地点に置かれた当時の標準地震計(ウッド・アンダーソン型地震計)で記録された揺れの最大振幅をミクロン(μm)単位で表わし,その数値の対数をマグニチュード(M)として定義しました.
 このため,欧米では,マグニチュードよりも「リヒター・スケール」という用語がよく使われます.現実には,震源からちょうど100kmの地点に都合よく地震計が設置されているとは限らず,また地震計にも様々なタイプのものがあるため,当初定義されたマグニチュードに準拠する形で種々の補正式が考案され,各国で使用されるようになっています.
 
 
 なお,2.2節で示すように,大きな地震になるほど,そこから放出される地震波の卓越周期(もっとも優勢な揺れ方の周期)は長くなる性質があります.一方,9.1節で示すように,地震計は自分自身の固有周期(振子を自然に1回振らせたときの所要時間)よりもゆっくりとした地面の揺れに対しては感度が鈍るという特性をもっているため,個々の地震計は,その周波数特性の限界によって,長周期の地震波を十分に記録できず,大きな地震に対するマグニチュードを正確に見積もれなくなります.
 
 

 このため,短周期地震計を用いて見積もる「実体波マグニチュード」(mB:周期数秒の地震波を用いる)や,長周期地震計を用いて見積もる「表面波マグニチュード」(Ms:周期20〜30秒の地震波を用いる)は,巨大な地震に対して “マグニチュードの頭打ち” という問題が生じます.

 
 
 最近では,このような飽和の心配がない「モーメント・マグニチュード」(Mw)が使用されるようになってきました.「モーメント・マグニチュード」は,震源で生じた断層運動の強さに基づいて定義されており,断層面の面積と岩盤の食い違い量との積という,はっきりとした物理的意味を有しています(2.2節参照).
 
 
◇ ◆ ◇
 
 
=== 表1.3 マグニチュードの解説 ===
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 地震は,その規模の大小によって,表1.3に示すとおり,大地震( M7以上),中地震(M7未満でM 5以上),小地震(M5未満でM 3以上),微小地震(M3未満でM 1以上),極微小地震( M1未満)と分類されています.大地震のうちM8程度以上のものは,とくに巨大地震と呼ばれることがあり,1960年チリ地震や1964年アラスカ地震のように世界最大規模のものはM9クラス(モーメント・マグニチュード)まであります.
 これとは逆に,小さな地震の方はM1,M0,M(-1),M(-2),...と続きます.もともとMは記録された地面の揺れ幅の対数で定義されたことを思い起こせば,これは記録された地動の振幅が10,1,0.1,0.01,...と小さくなっていくことを意味しています.当然,小さな地震になるほど,実際の場面ではその捕捉が困難になります.
 

=== 表1.4 日本周辺で1997〜2009年の13年間に発生したマグニチュード別の地震回数(気象庁による) ===
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 表1.4は,日本周辺(37.5N,137.5E;転載者注;能登半島の、”珠洲岬”あたり。)を原点として東西 -900〜+900km,南北-950+950kmの範囲)で最近の13年間(1997〜2009年)に発生した地震の回数をマグニチュード別に集計したものです.
 2000年は3月末の有珠山噴火や7〜8月の三宅島噴火および伊豆諸島の群発地震などにより,異常なほど地震数が増えています.また,この期間内で,M8級の地震は2003年9月に発生した十勝沖地震が1件あったのみです.

 この13年間を平均すると,我が国でM7以上の地震は年に1回,M6以上の地震は年に10回程度発生しており, M3以上の地震は毎日10個程度,M2以上の地震は毎日50個程度発生しています.
 
◇ ◆ ◇

=== 図1.5 
1990-1999年の10年間に関東・東海地域で発生した
深さ100km未満の地震の震源分布(防災科研データによる).
(a)M4以上,(b)M4未満 ===
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 規模の大きな地震はめったに発生しませんが,中小の地震は数多く発生しています.図1.5は,1990〜1999年の10年間に関東・東海地域で検知された深さ100km未満の地震を,(a)M4以上,(b)M4未満に分けて,その震源分布を示したものです(防災科学技術研究所の資料による).
 
 記号の大きさはMの大小に対応しており,(a),(b)それぞれの地震数は,637個(平均すると月に5個)および109,226個(平均すると月に900個)となっています.小さな地震の発生数はいかに多いかということが実感できるでしょう.
 

=== 図1.6 
1949〜1998年の50年間に日本周辺で検知された
地震のM別頻度分布(気象庁データによる) === 
 
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 ところで,日本全域で見た場合,マグニチュード別の地震発生回数はどの程度になっているのでしょうか? 図1.6は,1949〜1998年の50年間に日本とその周辺で発生した地震の数をMが0.1ごとに集計し,その結果を棒グラフにしたものです(気象庁の資料による).
 この50年間に発生した地震数は,M8級が3個,M7級が52個,M6級が502個,M5級が3,640個,M4級が14,224個となっています.
 
 この数字を50(年)で割って,平均的な年間の地震発生率を求めると,M8級が0.06個/年,M7級が1個/年,M6級が10個/年,M5級が73個/年,M4級が284個/年となります.
 
 図1.6では,縦軸が対数目盛にとってあり,
 
『Mが3から7くらいの範囲では,
地震数nがほぼ直線状に減っていく分布』
 
となっています.数式で書くと,この直線部分は
log( n ) = a - b M
 
と表わすことができます.この式は『グーテンベルグ-リヒター(Gutenberg-Richter)の関係式』と呼ばれ,地震統計の基本となっています.

 直線の傾きを表わす係数bは,しばしば「b値」と呼ばれ,大きな地震と小さな地震の発生頻度の比を表わす重要なパラメータです.b値は通常0.9〜1であり,これは,Mが1だけ小さくなると発生する地震数は8〜10倍に増え,Mが2小さくなると地震数は64〜100倍に増大することを意味しています.
 
 なお,図1.6で,M3くらいより小さな地震の数がこの直線から外れて少なくなっていくのは,地震観測網の検知能力の限界によって,あまりに小さな地震は捕捉できなくなるためです.逆に,このような直線関係からのずれを見ることにより,観測網の地震検知能力を評価することができます.

 図1.6をくわしく見るとM5くらいのところにも折れ曲がりが見られ,50年間の検知能力は一様ではなかったことが伺えます.また,M8付近の地震数もこの直線から外れますが,これは,そもそも地震の発生回数が低くサンプル数が少ないためです.
[転載3]
【地震観測をめぐる環境の変化】
 
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=== 表1.2 我が国における1997〜2009年の13年間における最大震度の報告回数(気象庁による) ===
 
◇ ◆ ◇
 
 表1.2は,このような計測震度が導入されたのちの13年間 (1997〜2009年)における,地震時の最大震度の報告数を,気象庁から毎月発行される「地震・火山月報(防災 編)」に基づいてまとめたものです.

 2000年は3月末の有珠山噴火に始まり,7〜8月の三宅島噴火および伊豆諸島の群発地震,さらに10月の鳥取県西部 地震と大事件が続いたため,異常なほど有感地震が増えています.
 また,2004年は新潟県中越地震とその余震により大きな震度が何回も観測され,阪神淡路大震災以降初めてとなる震度7が記録されました.
 この13年間を平均すると,我が国で震度5弱以上が観測される回数は年に10回程度,震度4が記録される回数は月に5回程度,また,震度1〜3の地震は,毎日8個程度発生しているということになります.
 
◇ ◆ ◇
 
 ところで,昔は体感や周囲の現象から人間が判断して震度を決めていたのが,現在では計測震度計という機械によって震度が決定されるようになったため,いくつかの注意も必要です.

 まず,計測震度はあくまで1点に置かれた地震計の機械的な動きだけで決められるため,従来のように人間が周囲を観察して総合的に判断していたのと異なり,計器の設置された場所のきわめて局地的な条件によって震度の値が左右される危険性があります.計器の不具合や周辺での工事などによって,とんでもない震度の値が出ることもあります.
 
 また,震度の観測点数が,昔は気象官署の数(約160ヶ所)くらいだったのが,今は全国の数千ヶ所に計測震度計が配置されるような状況になっています.計測震度の算定式を定めるにあたって,当然のことながら,同一の地点では昔の「震度」と新しい「計測震度」はほぼ同じ値になるように配慮しているわけですが,この圧倒的な観測密度の増大は,新たな混乱を産んでいるように見えます.
 たとえば,一般の人はテレビなどで従来よりも頻繁に震度報告を目にするようになり,「阪神・淡路大震災以降,地震が増えたような感じがする」といった声を聞きます.しかし,これは地震が増えたわけではなく,震度の報告が増えただけです.
 
◇ ◆ ◇
 
 
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=== 図1.2
 1964年新潟地震(左)と1934年南伊豆地震(右)の震度分布 === 
 

 震度報告点数の増大により,たとえば昔の震度6の地震と最近の震度6の地震とでは,意味合いが異なる事態が生じています.以下に,実例で示しましょう.
 
 上の図1.2は,左が1964年新潟地震(M7.5),右が1934年南伊豆地震(M5.5)の時の震度分布を示しています.当然のことながら,新潟地震のような大地震では広い範囲で大きな揺れになるのに対し,南伊豆地震のような中程度の地震では有感の地域が局地的な範囲にとどまります.
 
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=== 図1.3 
大地震(左),中地震(右上),小地震(右下)による
震度分布のイメージ === 

 
 この違いを実感するため,図1.3では,同じ距離スケールでこの2つの震度分布イメージを比較しています.同図右下には,ついでに,M3程度の浅い小地震が4つ起きた場合の震度分布も示しました.
 大地震では震度5や4の地域が数100kmの範囲に広がっているのに対して,中地震で大きく揺れる地域はごく狭い範囲に限定されています.また,小地震では,震度1の領域が散発的に局在しているという設定になっています.
 
 
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=== 図1.4 
震度観測点の分布.星印は気象官署,
小丸印は計測震度計の一部を示す.=== 

 
 一方,図1.4には,近畿地方を中心とする範囲を例にとり,震度観測の行われている地点の分布を示しました.星印は気象官署の位置であり,昔はこのくらいの密度で震度報告がなされていました.小さな丸印は最近の計測震度計の分布です.一部の領域にしか点が打ってありませんが,このくらいの密度で全国が覆われていると想像してください.
 図1.3と図1.4とは同じスケールで描かれていますので,両者を重ねることにより色々の思考実験ができます.
 
 まず,昔の星印だけの状態を考えてみましょう.大地震の震度分布に重ねてみると,震度5は間違いなく複数の点で記録され,震度6もかなり高い確率でつかまるでしょう.
 ところが中地震の場合では,気象官署の1点がたまたま震度4や震度5の狭い領域に位置していた場合を除き,報告される震度の最大は3か2にとどまります.運が悪い場合には震度1としか記録されないかもしれません.
 4つの小地震のケースでは,このうち1つか2つが震度1として検出されるかもしれませんが,最悪の場合は全部が無感地震として処理されます.
 
 
 
 次に,現在のように密な計測震度点がある場合はどうでしょうか.
 大地震の場合は,かなり忠実に震度分布の広がりを把握できます.中地震の場合も,震度4はまず間違いなく検出でき,震度5もかなり高い確率でつかまるでしょう.しかし,ほんの局部的な震度6は漏れる可能性があります.ただ最近は,ちょっとした地震があると,すぐに気象庁の機動班が震源域の真上に計測震度計を持ちこみ,震度を測るようになりました.最高震度は逃がさないようになったわけですが,震度報告の数はやたらと増える結果になっています.
 小地震のケースでは,図1.3に例示した程度の震度1の範囲があれば,4つともキャッチできるでしょう.しかし,震度1の範囲がもっと狭まれば,検出から漏れることもあります.まことに,震度の観測は“きりがない”面があります.
 
 以上のような状況変化をわきまえれば,昔と今とで,『最高震度だけによって地震の大きさを比較』することは問題であることがわかると思います.昔は震度6といえば間違いなく大地震(マグニチュードの意味で)だったのですが,最近はごく浅い小地震の場合でも震度5や震度6が報告されやすくなっています(この場合,すぐ隣りの点は震度3や震度4どまりのことが多い).これらを同じ「震度6の大地震」として同列に扱うことは,適当ではありません.
【『震度』の決め方】
 
 自分のいる所がどれくらい揺れたかを示す尺度が「震度」です.震度の決め方は各国により異なり,欧米では1〜12の階級をもつ「改正メルカリ震度階(MM震度階)」が多く用いられています. 

  我が国では,1908年,当時の中央気象台により震度0(0:無感)からⅥ(6:烈震)までの7段階からなる「気象庁震度階」が定められました.これは,人間の体感や室内の様子,周囲の状況などの観察結果に基づいて測候所の職員が総合判断して決定する,きわめて人間的な尺度でした.
 
 その後,1948年福井地震に際して生じた被害の甚大さから,家屋の倒壊が30%以上に及ぶことを基準とする震度Ⅶ(7:激震)がつけ加えられましたが,基本的にはこのように人間が判断して震度を決めるという方式が,つい最近まで続けられてきました。
 
  しかし,このような震度の決め方には, 
  ① 人間の主観が入る
  ② 震度の決定に時間がかかる
  ③ 震度報告の地点数が限定される
という問題がありました.
 
とくに②については,震度Ⅶが我が国で初めて適用された1995年兵庫県南部地震の際に,その発表が遅かったとして社会問題にまでなりました.その定義上,震度Ⅶは家屋の倒壊状況の調査を終えないと認定できないため,発表の遅れはやむを得ない面があったのですが,『緊急時の防災対策に役立たない』との批判が強く出されました.
 
  また,③については,基本的に測候所職員の手によって震度報告がなされていたため,たとえば東京の隣りは網代(静岡県),熊谷(埼玉県),銚子(千葉県)といった場所でしか,公式な震度は発表されていませんでした.震度は地盤による影響が大きく,わずかな距離を隔てた2地点でも揺れ方が大きく異なることがあります.
 
 また,『ごく浅い場所で小さな地震が発生した場合』などは,その直上付近でごく局所的に大きな揺れがあったとしても,ある程度離れた測候所では揺れを感じず,無感地震とされる場合も多くありました.
 
 いずれにせよ,測候所の分布に頼っている限り,きめの細かい震度分布を直ちに知ることは不可能だったわけです.
 
  以上のような問題点を解決するため,1995年兵庫県南部地震の翌年,我が国における震度の決め方は,それまでの『人間中心』の方式から『計器による自動決定』の方式へと,大きく改められました.また,この変更にあわせて,震度5と震度6はそれぞれ弱と強とに2分するようになり,全体としては10段階の区分が採用されるようになりました. 

  このような方針変更の背景には世の技術革新の流れもあり,地震計とマイクロコンピュータを組み合わせて即時に「計測震度」を計算し,通信回線によってその情報を直ちに集約できる時代になっていたわけです.この結果,震度決定における
 
①主観的要因の排除,
②迅速性の確保,
③高密度化への対応,
 
といったことが可能になりました.
 
◇ ◆ ◇

=== [表1.1] 気象庁震度階級関連解説表 === 
http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/table1.1.html
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(↑URLか画像をクリックすると、転載元の読みやすい表を表示できます。↑)

 「計測震度」は,加速度地震計で検出された地面の振動波形にある複雑な処理を施すことによって連続量として出力されますが,その結果は表1.1に示すような区分によって震度0から7までの階級に振り分けられ,世の中に発表されています.
 
 [表1.1]は「震度階級関連解説表」と呼ばれ,計測震度がある値となった際には概ねどのような現象が周囲で生じるかを説明しています.かつては,このような『現象』から人間が判断して震度を決めていたのですが,現在ではその関係が逆転していることになります.
【地震の基礎知識とその観測】
 
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  地震による災害は,自然災害の中でももっとも恐ろしいものとされています。それは,地震の発生が突発的であり,瞬時に建物やいろいろな構造物に被害を与える上,津波や崖崩れ,火災など様々な災害を同時多発的に連鎖誘発するためです。
 
   このような地震災害に立ち向かうためには,まず地震という相手の素性をよく知っておく必要があります。
 
 言うまでもなく,地震は私たちの目にすることのできない地下深部で発生するため,地震の際に地下ではどのようなことが起きているのか,そしてそもそも地震は何故発生するのかといったことは,長い間,謎とされてきました。
 
 しかし,近年の観測技術の進歩理論的研究の発展によって,現在では地震現象についての理解がかなり進んできました。
 
 ここでは,地震という自然現象,およびその観測の仕方や観測体制などについて体系的に説明します。
 
[2001年6月 岡田義光]
 
◇ ◆ ◇
 
第1部 地震の基礎知識
 
1章 大きな地震と小さな地震
『震度』と『マグニチュード』の違い
 
 
  私たちは,これまでの経験から,大きな地震はめったに起こらないが,小さな地震は頻繁に発生することを知っています。
 
 ところで,地震の大きさを表わす言葉には,「震度」「マグニチュード」 (Mと略記される場合が多い)という2つの用語があり,世の中では大変に混同して用いられています。
 
 これには,そもそも「地震」という言葉が二重性(別々の二つの意味が混在している ; 転載者補注を有していることに災いの元があります。地震に関するありふれた新聞記事を見てみましょう。
 
28日午前2時29分ごろ,伊豆大島町で震度2の地震があった。
気象庁の観測によると,震源地は伊豆大島近海で,震源の深さは
ごく浅く,地震の規模を示すマグニチュード(M)は2.0と推定される。
 
  この中には「地震」という言葉が2回登場しますが,実はこの2つは意味が異なっています。
 
 最初に出てくる「地震」は 『単に、地面が揺れた』 ということを指しており,素朴な意味での地震(地面の震動)を表しています。これに対して,2番目の「地震」は 『震源で起きているおおもとの現象そのもの』 を表しており,関東地震や兵庫県南部地震などというときの「地震」はこの意味で使われています。 
 
 
↓[ 図1.1 ] 震度とマグニチュード(M)

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  すなわち,[ 図1.1 ]に示すとおり,「地震」という原因によって「地震」という結果が生じていることになり,いわば,
『加害者と被害者が同姓同名』
というややこしい状況になっているわけです。
  このため,震源で生じた自然現象の大きさを表す尺度である「マグニチュード」と,各地における地面の揺れの大きさを表す尺度である「震度」との間に混同が生じるのは,ある意味で当然といえます。
 
 
 上で用いた加害者・被害者のたとえで言えば、 
 「マグニチュード」は加害者の狂暴度を示す量であり,
 「震度」は被害者が受けた傷害の程度を表わす量である
ということができます。
 
 
   また,「震度」と「マグニチュード」が混同されやすいのは,この「地震」という用語の曖昧さだけが原因ではありません。上の新聞記事の例のように,「震度」と「マグニチュード」は,ともに単位をもたない単なる数値で表現され,しかもその値は0から7くらいの間のきわめて似通った範囲内にあります。このため,両者の紛らわしさは,さらに拍車がかけられる結果となっています。 

  これが台風の場合であれば,
 
「マグニチュード」に相当するのは中心気圧,
たとえば985hPa(ヘクトパスカル)であり,
 
「震度」に相当するのは各地における風速,
たとえば25m/s
 
といった具合です。この場合は,両者の物理的意味,単位,数値の範囲がいずれも明確に異なっているため,混同される恐れはまずありません。

  「マグニチュード」は,ある地震について唯一の値が定められ,たとえば,「関東地震のマグニチュードは7.9である」といった表現がなされます。これに対して「震度」の方は,地震を感じる場所によって値が大きく異なり,ひとつの地震に対していくつもの「震度」が存在します。
 
 たとえば,関東地震時の東京における震度は6,宇都宮における震度は4という風に,必ず場所を添えた表現がなされます。
  地震の大きさというと,理学系の人達は「マグニチュード」を思い浮かべ,工学系や社会一般の人達は「震度」を思い浮かべるようです.
 
◇ ◆ ◇
 
[ 転載元 ] 独立行政法人 防災科学技術研究所
http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/

とても膨大な文章と図版で解説されていますが、当記事本文のように、
きわめて読みやすい書き方になっているので、冒頭部分を転載してみました。

無許可転載(拡散)可。

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