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皆さんは単に「モーター音」と聞いて何を思い浮かべますか?
「近鉄電車の爆音VVVFのアレでしょ!?」という人や、「阪急3300系のものっそい爆音」という人も居れば、「103系とか113系の国鉄形のモーター音が一番」と言う人が居るなど、とらえ方は様々だと思います。

まあ少なくとも「爆音VVVF」はモーター音じゃ無しに、VVVFインバータそのものが出している音ですね(´╹◡╹`)

モーター音は「主電動機」と呼ばれる回転部分から出る音で、抵抗制御の電車では主電動機(主にモーター内部 or 外付けの冷却ファンの音)から出る音と「駆動装置(WN駆動だのTDカルダン駆動だの)」から出る音が、所謂「モーター音」として我々の耳に入ってきます。
それに車輪やジョイントの音、自動放送の音、ドア開閉やブレーキ緩解の時に出る音などが加われば「走行音」になるわけです。




では歯車比とはなんぞや。

工場とかでよく見る歯車を想像していただくと、小さい歯車が大きい歯車に噛み合って回転力を伝える、そんな絵面が思い浮かぶと思います。
歯車比はその「大きい歯車の歯数」と「小さい歯車の歯数」の割合、つまり

大きい歯車の歯数÷小さい歯車の歯数歯車比』となります。

電車では「WN駆動」や「TD平行カルダン駆動」などと呼ばれる「駆動装置」がその歯車に該当します。
一般的にはその歯車比が大きい(大体6〜7程度)ほど低速域での加速が良く、小さい(凡そ5以下)ほど高速域での加速が良くなります。

・・・・・・まあそれには「例外」というものが存在するんですがね(クックックッ・・・●†clσゝσll)
それは後ほど。



本題。

先程出した「モーター音」と「歯車比」との関係性をここで駄弁っていく(ここ重要)わけですが、コレを導き出すヒントは高速域でのモーター音の音程にあります。

高速域のモーター音は主に「基音(良く聞こえる高い方の音)」と「低音」で構成されており、歯車比の分析はこの「基音」と「低音」のハモりが判断材料となってきます。

例えば阪急3300系の場合だと、凡そ70km/hの時に「基音B(ピアノのシ)低音B」、凡そ110km/hの時に「基音F(ピアノのファ)低音F」とオクターブの関係になるので
歯車比は16:x(小歯車数16)
と推測できます。


Wikiをガサってみると、歯車比は
16:845.25
と書いてあるため、この関係性を導き出すことが出来れば、凡そ95%の確率で歯車比の分析が出来ることとなります(残り5%が厄介)。

※赤バックが小歯車数、青バックが大歯車数、黄バックが歯車比。





ここで、小歯車の数毎に「歯車比A:x系統」と分類をし、各系統のモーター音の特徴を実例を交えながら提示していきたいと思います。


(1)歯車比13:x系統

基音・低音が長6度(鍵盤の半音で数えると9個差、基音をC5とすると低音はE♭4)の関係にあり、関西圏であれば阪神電車で主に採用されてきた系統です。
路面電車を除けばほぼ全て直流モーター・中空軸平行カルダンの車両ばかり、ということも大きな特徴です。


[現存形式]
・13:74(5.69) 阪神5131・5331形
・13:85(6.54) 都営8500形、札幌市営8500形シリーズ、弘南鉄道7000系


☆音源



(2)歯車比14:x系統

基音・低音が短7度(鍵盤の半音で数えると10個差、基音をC5とすると低音はD4)の関係にあり、直流モーターでの採用は通勤形車両でも少ない反面、VVVF+誘導モーターでの採用が圧倒的に多い系統です。
この系統のモーター音に聞き慣れている方も居るのではないでしょうか。


[現存形式]
・14:71(5.07) 京阪800系
・14:74(5.29) 京都市交通局50系
・14:77(5.50) 琴電1080形・1300形(元京急1000形東洋車)
・14:78(5.57) JR西日本283系、JR東海383系
・14:79(5.64) 京阪2600系・6000系
・14:81(5.77) 阪神8000系
・14:83(5.93) 京急VVVF新造車
・14:85(6.07) 国鉄205系、名鉄6000系、京阪VVVF車(緑)、東急9000系、京王8000系・・・・etc.
・14:87(6.21) 東急5000系列(2代)、東京メトロ10000系、東武20050系、西鉄9000形
・14:91(6.50) JR九州813・815・817系他
・14:99(7.07) 南海1000系、JR西日本207系、阪神5500系、神鉄3000系・5000系・6000系、JR東日本209系、小田急2000形・・・・etc.
・14:103(7.36) 大阪市営地下鉄20系・新20系、北大阪急行8000形・9000形、近鉄7000形・7020形
・14:109(7.79) 東京メトロ03系他VVVF車多数

☆音源
●阪神8000系:近日公開

●JR西日本207系0番台:https://www.youtube.com/watch?v=CY49H9S1VHo




(3)歯車比15:x系統

基音・低音が長7度(鍵盤の半音で数えると11個差、基音をC5とすると低音C#4)の関係にあり、直流モーター車・VVVF車ともに採用例の多いポピュラーな系統で、その割には歯車比のバリエーションは少なめです。


[現存形式]
・15:82(5.47) 山陽3000系・5000系・6000系、京急1500形、近鉄1000系・1010系・2000系
・15:84(5.60) 国鉄201系、JR九州811系、名鉄6500系・6800系、京阪2200系・2400系
・15:86(5.73) 西武101系、近鉄1420系・1230系列・1430系列・3200系1次車・5200系(VX05以降)など、営団03系チョッパ車
・15:89(5.93) JR東日本E721系
・15:91(6.07) 国鉄103系
・15:92(6.13) 近鉄6020系・6200系・16000系
・15:93(6.20) 近鉄6600系
・15:98(6.53) JR西日本223系、JR東海313系、東武50000系列、営団6000系・7000系、南海8000系・12000系
・15:101(6.73) 北神急行7000系、新京成8800形・8900形、営団02系


☆音源

●JR西日本223系0番台:https://www.youtube.com/watch?v=2KqsMV70OwU
●JR西日本223系1000番台:https://www.youtube.com/watch?v=5pZUx7bKyPE




(4)歯車比16:x系統
(4)歯車比16:x系統

基音・低音が1オクターブ(鍵盤の半音で数えると12個差、基音をC5とすると低音C4)の関係にあり、直流モーター車では一番車種が多いと思われる系統です。
高速走行に向いている車両から地下鉄車両まで、バラエティに富んでいるグループでもあります。


[現存形式]
・16:78(4.88) 名鉄5300系(金属ばね車)
・16:83(5.19) JR西日本221系、国鉄211系・213系
・16:84(5.25) 阪急3300系・8300系など阪急車(京都線)多数、京阪1000系・5000系・8000系・3000系、東武9000系
・16:85(5.31) 阪急7000系・8000系など阪急車(神宝線)多数、近鉄8000系列、南海6000系列・7000系列・9000系など、小田急8000形(界磁チョッパ)、東急8000系列・・・・etc.
・16:87(5.44) 東武10000系列・20000系
・16:97(6.06) 阪神5550系・9000系・9300系・1000系、都営5300形、小田急3000形(3次車以降)、JR東日本E217系・E233系・・・・etc.
・16:98(6.13) 阪急8200系
・16:99(6.19) 名古屋市営地下鉄3050形・6000形・3000形、神戸電鉄1100系・2000系・6500系、大阪市営地下鉄10系・30000系
・16:101(6.31) 近鉄3200系(2次車以降)・5200系(1次車)・1422系・1220系・6400系列、西鉄6050形・3000形、西武VVVF車、小田急1000形
・16:103(6.44) 名古屋市営地下鉄5050形・2000形・N1000形


☆音源

●大阪市営地下鉄30000系:https://www.youtube.com/watch?v=6422K5vFXjE




(5)歯車比17:x系統
(5)歯車比17:x系統

基音・低音が短2度(鍵盤の半音で数えると13個差、基音をC5とすると低音はB4)の関係にあり、この辺りから主に高速走行を重視した車両が名を連ねています。
俗に言う不協和音と呼ばれる音程で、聞いていると何処かキモチワルイ感じがするかもしれません。

[現存形式]
・17:80(4.71) 叡電デオ730形
・17:82(4.82) 国鉄113系・115系・117系など、名鉄1000系列・5000系
・17:84(4.94) 近鉄21020系・22600系・50000系、南海30000系・31000系
・17:96(5.65) JR西日本281系・287系、名鉄ECB車多数
・17:98(5.76) 大阪市営地下鉄66系


☆音源

●大阪市営地下鉄66系:https://blogs.yahoo.co.jp/knt3200/15283605.html




(6)歯車比18:x系統

基音・低音が長2度(鍵盤の半音で数えると14個差、基音をC5とすると低音はB♭4)の関係にあり、国鉄形では採用がほぼ皆無である反面、WN駆動を主に使用している一部私鉄では多く使用されています。
半ば短3度のように聞こえるものもありますが、短3度の19:x系統とはやはり違う音程をしています。


[現存形式]
・18:79(4.39) 山陽3200系
・18:81(4.50) 名鉄5300系(空気ばね車)
・18:83(4.61) 近鉄2400系列(大阪線丸屋根)・1810系、西鉄5000形・6000形、南海10000系
・18:85(4.72) 近鉄標準軌界磁チョッパ車
・18:87(4.83) JR九州883系・885系
・18:94(5.22) JR西日本681系・683系
・18:95(5.28) 東武500系・250系
・18:96(5.33) 阪急9000系


☆音源





(7)歯車比19:x系統

基音・低音が短3度(鍵盤の半音で数えると15個差、基音をC5とすると低音はA4)の関係にあり、俗に言う急行型電車の歯車比系統です。
勘の良い方ならお気づきだと思いますが、簡単に言うと「マイナーコードの音程」、この系統のどのモーター音も何処か切ない感じの音程になっています。


[現存形式]
・19:80(4.21) 国鉄413系・381系、京急2000形
・19:82(4.32) 近鉄22000系・23000系、琴電1200形三菱車

☆音源




(8)歯車比20:x系統

基音・低音が長3度(鍵盤の半音で数えると16個差、基音をC5とすると低音はA♭4)の関係にあり、JR・私鉄共々採用車種は非常に少ないです。


[現存形式]
・20:75(3.75) 東武200系
・20:79(3.95) JR東日本651系、JR九州783系




(9)歯車比21:x系統

小歯車の数が増えてくると徐々に音程のずれが生じ、正確な音程を導き出すことが難しくなってくるのでここからは音程の解説を省略します。
採用例は789系が採用しているほかは全て近鉄特急。
やはり重苦しい音には変わりは無く、デッキに居ても比較的うるさく感じなくなります。


[現存形式]
・21:80(3.81) 近鉄12200系など汎用特急車・21000系・26000系
・21:93(4.43) JR北海道789系


☆音源




(10)歯車比22:x系統

国鉄特急形ではお馴染みの系統です。
逆に国鉄形特急車以外で採用している車種については管理人も心当たりがありません。


[現存形式]
・22:77(3.50) 国鉄189系・485系、JR九州787系



余談。

●其の一

歯車比でメジャーなのは小歯車数13〜22の範囲といわれていますが、勿論のことながら歯車比12:xや11:x、23:xの車両も存在したりします。

別個での解説は省略しますが、歯車比12:83(6.92)という超高歯車比を持つ車両として南海21000系・22000系、およびその改造車の南海2200系や大井川鐵道21000系が挙げられます。
11:xでは11:72(6.54)の熊本市電8800形・9200形、11:84(7.64)の三岐鉄道モハ120形(1982年消滅)、23:xでは23:96(4.17)の小田急70000形(GSE)が存在します。


其の二

ここには一部のVVVF車両、特にPMSMの車両を上では記載していません。
この理由としては、全密閉モーターの「とある機構」が少なからずモーター音の音程の法則に合わなくなってきているためです。

実は、阪急1300系や小田急4000形のモーター音が変だと思われる最大の理由、それは「モーター内部の電磁石の個数」が変わってきていること。
従来の誘導電動機は電磁石を4個配置していましたが、これらの車両では電磁石を「4個から6個に増やした」ため、同じ歯車比の車両でも「6極IMの車両の方が音程が高い」ことになってしまいます。

そのため、同じ歯車比系統でも上の法則に従わなくなり、やむなく上の表から外しました。
ただし、これら6極IMの車両のように変なモーター音だからと言って、「全密閉モーターの音」や「SiC-VVVFの音」とくれぐれも間違わぬように。
勿論4極のPMSMや全密閉IMも存在しますし、SiC-VVVF搭載でも6極IMどころか全密閉IMですらない車両も存在するのでご注意ください。

☆ニコニコ大百科で更に詳しい説明が記載されているので、是非ご覧下さい。


【上では記載しなかった6極IMの車両】
・14:109(7.79) 東京メトロ16000系他PMSMの車両(第三軌条線除く)
・14:85(6.07) 南海8300系

・16:84(5.25) 阪急7300・8300系更新車
・16:85(5.31) 阪急7000・8000系更新車
・16:97(6.06) 阪神5700系、相鉄20000系

・17:96(5.65) 小田急4000形、名鉄4000系

・18:96(5.33) 阪急1000系・1300系


●其ノ三

歯車比分析の中で厄介なのがもう一つあります。
それは「二段減速式の駆動装置」を搭載している車両で、主にモノレールでの採用が多い機構です。

一般的な歯車比の算出方法は「A:B=歯車比」という計算ですが、二段減速式の場合は下記の通りです。

A:B×C:D=歯車比

A:Bの値とC:Dの値を相乗すると全体の歯車比が出てきます。
場合によれば全体の歯車比が10オーバーになるものも出てきます。
これらの場合、公式の諸元表でも細かな数字が省略されている場合が多く、勿論これらはモーター音の法則には当てはまりません。

主に跨座式モノレールでの採用(大抵直角カルダン)が多く、特殊例としては札幌市営地下鉄(ゴムタイヤ式地下鉄)と東急初代6000系が平行カルダンで二段減速を採用。
ディティールもほとんど分からない車種ばかりなので、まさに音鉄泣かせですね・・・・・・汗

※参考記事






少々適当に見繕って書いた部分があるので不完全ですが、粗方の説明はこれで終わりです。
モーター音の音程や歯車比等の技術的な文面で、不適切な点を見つけた際には適宜修正をしていきます。

今回はここで以上です、更新ペースは遅いですがまた次回!!
ヨーソロー(*> ᴗ •*)ゞ








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  • 顔アイコン

    モータからの音といえば、モータ冷却用ファンの風切音も速度に比例して大きくなりますね。

    [ えかじ ]

    2018/3/11(日) 午後 3:12

  • 顔アイコン

    > えかじさん
    確かに内扇・外扇とではモーター音にも差が出てきますね、顕著な例としては205系の前期車・後期車が有名かと。
    その内容に関しても、後に私の理解が追いつき次第記事に反映していきたいと思います。

    [ みことなん ]

    2018/3/18(日) 午後 7:08

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