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新・そば通信
新・そば通信は蕎麦屋さん訪問の記事を中心に蕎麦についてのあれこれを紹介します。

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おい!おい!

この“新・そば通信”に出てくるそば屋さんは
基本的にはある水準を超えているそば屋さんだけという
私の判断が入っています。
ここには載っていないそば屋さんもいくつかはあります。
載せるとすればマイナス面を語るしかなく、
行かない方がいいですよということになってしまい、
この通信の趣旨から離れてしまいます。
それを確認した上で、
なおかつ今回はイニシャルで登場していただきます。

女房が仕事で使うテキストの翻訳のお礼に
そば好きのSご夫妻を“D”にご招待したのですが、
私もご相伴に預かり同席しました。

ビールの酒肴に
『出し巻き』『鱧抜き天』『穴子抜き天』『鴨ロース』等を
お互いシェアしながらいただきました。

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                鴨ロース

締めには、皆さん『さらしな』を注文したのですが
残念ながら一人前しか残っていなく
ここはご主人のPさんに譲り、
あとは全員“せいろ”にしました。

イメージ 2
            せいろそば(大盛り)

“D”には久しぶりに来たというSご夫妻には
大変喜んでいただけたのですが、
わたしは最後までこころにひっかかりが生じていたのです。

一言で言えば、
料理全般に切れが感じられないのです。
それは《平凡な味》といえるのかもしれません。
何かが違うのです。

頭に浮かんだ言葉。
それは“老い”でした。

昨年、いや一昨年のことになるのか、
女房と本日のゲストS夫人と連れ立って
大阪に桂春団治を聴きに行きました。
S夫人が春団治の追っかけで誘われたのです。
生で春団治を聴くのは初めてでしたが、
当たり前と言えば当たり前なのですが、
きっとわたしは随分昔の春団治をイメージしていたんでしょうね。
“老い”を感じました。

滑舌が悪く、聴き取りにくいところもあり、
次の言葉が出てくるのだろうかと
ひやひやしていました。
しかし、“老い故”といえるのかどうか
その独特の間が魅力となって
途中からは話に引き込まれ、
充分に『野崎まいり』を楽しめました。

若い頃の私であれば
『わぁ〜歳取ったな もう引退した方がええんと違う』
といっていたかもしれません。
しかし、私自身も老いてきていますので、
リズム(波長)があったのかもしれないのです。

最近訪れた新進気鋭のそば店で
あとから自分で撮影したそば切りの写真を見ると
どう考えてもよくできたそばに見えるにもかかわらず
感動できなかったのは
食べ手としての自分の“老い”のせいだったのではなかったかと
思わなくもありません。

とすると“D”での感想はどういうことになるのでしょう。
不幸な“老い”のズレなのか
それとも…。







例えば映画を見るとき、
喜劇だと思って悲劇を見たり
その逆だったりすると
何が何だか訳が判らんということになる。
普通はすぐに気づき、視点変換で
なんとかその映画の世界に入り込めるのだけれど、
あまりに思い込みが激しかったり、
ちょっとひねくれた映画だと
最後までいわゆる違和感というものを感じながら
訳が判らん映画のままで終わることもある。
 
本当は先入観無しに物事に接するのが一番いいのだろうけれど
なんら先入観なしに物事に接することは稀なのかもしれない。
その時々の精神状態や体調にもよるだろう。
 
生きるとは一期一会のきわどいスリリングな体験の
積み重ねなのだろう。
そば屋との出会いも例外ではない。
 
さて、今回の東京でのそば屋巡りとしては
立川の“無庵”一軒を残すのみとなった。
“無庵”は私が関西で日頃訪れている
そば屋のテイストに近いそば屋で
今回の旅では、当然最も期待度の高いそば屋である。
最後の砦とも言える“無庵”
立川は普通なら関西から東京を訪れた人間は
余程のことが無い限り行く所ではない。
精神的な距離感が遠い所だ。
たまたま学生時代に2年ほど立川のアパートに住んでいた関係で
そうした距離感も感じることなく立川に向かった。
“無庵”は北口、以前住んでいたアパートは南口。
開店までは少し時間があるので
昔のアパートを訪ねることで時間調整をした。
40年前のことなのだが、
都立立川高校の東側の塀の横という目印があるため
アパート近辺までは難なくたどり着けた。
が、ピンスポットでそのアパートを特定することが出来ない。
それらしき建物が今でも残っているのだけれど、
その建物が昔住んでいたアパートだったと言う確信が持てない。
中に入れば思い出すきっかけがあるかも知れないけれど、
個人の表札がかかっている家の扉を開ける勇気はなかった。
 
さて、駅まで戻りiPhone頼りに“無庵”に向かう。
立川に住んでいる頃は、
驚くほど北口方面に行ったことが無かったことを思い出した。

途中で同好のようなグループが先を行くのに追いつく。
が、彼らは途中にあるホテルの1階のイタリアンへ。
ピザが売りの様な、人気店なのだろうか。
いそいそと店内に消えて行く彼らを横目に、
ホッとした所で足を緩めた。
たどり着いた“無庵”は店舗として建てられたものか、
それとも古民家を改築したものか判らないけれど
大きくはないけどしっかりとした建物だった。

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極太の「そば」の字の意匠の暖簾をくぐり中に入ると

薄暗く、ピーンと張りつめた雰囲気が伝わってきた。

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客席から見たカウンターと厨房(中までは見えない)

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客席(こんな区画が3〜4、大テーブルが1、別室が1かな)

続く
再び容量オーバー
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なんだったのかよく憶えていない

酒は最近はまっている濁り酒を中心に何種か頂いた。
揃えている種類が半端じゃない上、管理もいい。
しかもほとんど見たことのないラベルばかり。
いわゆる日本酒を売りにした店に
定番の如く置かれているラベルは一つもない。
外まわりの若いお姉さんの応対も気持ちのよいものだった。
充分な知識を持ちながら出しゃばりのない応対。
聞かれたことに的確に答えるだけだ。

娘はハートランドビールから入り、
濁り酒を付き合いながらも何種か試している。
なによりも2〜3酌入りのおチョコ単位で注文できるから
酒の弱い私のような人間でも多種多彩に楽しめる。

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締めは雑炊

この後、心配する娘と別れ、五反田のホテル
(“天★”は、丸の内線東高円寺駅より徒歩約10分のところにあります。)に向かいましたが、
どこをどう巡ったか山の手線の恵比寿だったかで目が覚めると、
終電はストップ。
仕方なく、タクシーで五反田へ、
ホテルについたのは午前2時を回っていました。
ブログの容量制限ではじかれた
“本むら庵”の『せいろそば』のアップ

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見るからに美味しそうな、私好みのそばに仕上がっているのに
このそばを最高の状態で食べてもらいたいと
思わないのかなあ

ビールが半分、酒肴二種が半分
それにこの蕎麦。
何をどう食べたか記憶にない。
お陰で娘との約束の時間の2時間も前に
店を出るはめになってしまった。


でも捨てる神あれば拾う神あり
娘お薦めの“天★”はイカシタ居酒屋だった
まずは写真から

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度肝をぬく、赤出しのお通し しっかりとした味わいだった

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刺身の9種盛り合わせ(2人盛り) なんと楽しい盛りつけ

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この歳にして初めて頂くアンキモ
珍味系に変化球、無国籍料理があまり好きでない私も
何のことはない単なる食わず嫌いなだけということを実感

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クリームチーズ+酒粕+何か
の外側をたくあんで包んだもの 日本酒にぴったり

驚くほど味に関する記憶が残っていないのだけれど、
“堂賀”の『さらしな』そばのほうが数段味わいどころがあるなあと
思いつつ“総本家更科堀井”を出た。
後は上荻の“本むら庵 荻窪本店”で軽く『せいろそば』をいただき、それから娘お薦めの居酒屋“天★”で仕上げという予定。
“本むら庵”の評判は関西に住んでいる私の耳にも届いている。
当然、前二店と違い、純粋に味に対する期待度は高い。
聞くところによると
粗挽きのそば粉の自家製粉の魁が“本むら庵”の3代目。
平成17年に代替わりしたとのことなので、
今回は4代目の味ということになる。
粗挽きそばの〔追っかけ〕といえなくもない私としては
避けて通れない店の一つ。
中休みがないので、娘と約束した8時まではたっぷりと時間がある。
といって調子にのり、酒肴やお酒をたっぷりと頂く訳にもいかない。
ゆっくりと向かって、ゆっくりと寛ごうと地下鉄で新宿へ。
それから中央線で荻窪まで。
駅から10分ほど歩いて、暮れなずむ場末の通りに
“本むら庵”の灯を発見。
想像とは違って大きくりっぱな店構え。

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ちょっと嫌な予感が脳裏を横切るも、
ここまでくると中に入るしかない。
広い店内には壁際にテーブル席が設えてあって
ゆったりとしたレイアウトだが、暖かみが感じられない。

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更に暖簾をくぐってその奥にも客席があるようだ。

私は、一組の先客がいる最初の間の一番奥に座った。
ビールと『菜の花の芥子合え(?)』『つぶ貝しぐれ煮』、
そしてあとから『せいろそば』と注文した。
何かのイベントで、最初のビールはサービスとのことだった。
尤も、コップ1杯だけれど。
程なくそのビールと蕎麦の抜き実を煎ったお通しが運ばれてきた。
時を置かずに菜の花とつぶ貝も登場。
コップのビールを軽く空け、さらにビールを注文。

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醒める料理でもないのでゆっくりと頂きながら、
“神田まつや”と“総本家更科堀井”のことなどに思いを馳せる。
特徴と言えば、東京のそば屋は先ず値段が安い。
“神田まつや”の『もり』は600
“総本家更科堀井”は『もり』がやや高めで770
今回頂いた『さらしな』が870
そして“本むら庵”の『せいろそば』で735円、
関西で頂く蕎麦よりは12割安い。
それぞれ量も12割多い。
そして何よりも店のキャパが大きい。
あとで判ったのだけれど“本むら庵”は80席もある。

とまあこんなことを考えながら
ビールと料理の残り半分を頂こうと思っていると
なんと『せいろ』が運ばれてきた。
えっ?!
あとから『せいろそば』と言ったでしょと思いながらも
確かにあとからだ。
言い方が悪かったのか
最後にというべきだったのか。
それにしても、
「そばをお持ちしてもいいでしょうか」くらいは聞けないの?

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ほとんど間を置かずそば湯まで運ばれてきた惨状に
あとはグジュグジュ。
田舎者となめられたのか、
これが東京のそば屋事情なのか、今思い出しても情けない。
写真で見る限り結構美味しそうな『せいろそば』ではあるが、
“総本家更科堀井”とは違った意味で
味の記憶が残っていない。
 
大上段に構えた〘極私的東京蕎麦屋事情〙は
大冗談となってしまった。
このやり場のない気持ちの勢いを借りて
あえていうなら
会社組織として大量の客を相手にすることは
うどん屋やラーメン屋なら可能かもしれないけれど
そば屋は、いやほんとうにおいしいそば屋は無理でっせ

ということである。

これは食堂そば屋との訣別を迫られたのか。

食堂そば屋として暖簾をくぐっていたら
また違った結論になっていたかもしれない。
見当違の尺度で店を選んでしまったお粗末な顛末でした。

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