よつ葉のくろーばー

人生はハロー&グッバイの繰り返し

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カノン

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私は鏡に映る自分の顔を見ていた。
今朝の私は自分でもうっとりするほどキレイだった。
充分使い込まれた部屋には心地よい朝の光が満ちている。
「カノン、早く降りてらっしゃい。」
キッチンでは母が朝の支度をしていた。
今日は私の結婚式。
父は用もないのに朝の5時からうろうろと落ち着かない様子だった。
「かあさん、カノンは何してるんだ?まったく・・・」
式は午後からだと言うのに気が早い。
私は簡単に身支度するとキッチンに降りていった。
「おはよう」
忙しい1日が始まろうとしていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第1章 『カノン』

「カノン!カノンったらぁ・・」
「おはよう友紀(ゆき)」
私と友紀は幼なじみで同級生。
あの頃私たちはまだ小学4年生だった。
友紀は一人っ子で甘えん坊、
少しくせっ毛の髪は肩まであった。
色白で生まれ持っての美人ときている。
私は日に焼けて真っ黒なうえに短髪で、
よく男の子に間違われた。
“カノン”という名前はおかあさんがつけた。
奏でる音と書いて“奏音”(カノン)と読むのだ。
でも誰も“カノン”とは読んでくれず、
私は名前を書くときはいつもカタカナで書いた。
「ねぇカノン、昨日の宿題やったぁ?友紀バカだからわかんなくってぇ」
友紀は大きな目をくるくるさせながら言った。
「おはよっ!“そうおん“!ははは・・」
口の悪い男子が後ろからはやし立てた。
「もうっ!カノンのこと“そうおん“って言うのやめなさいよぉ」
友紀はむきになって怒った。
“奏音“をカノンと読めず、誰かが”そうおん”と言ったことから
男子の間では度々こういう呼ばれ方をした。
「ほっときなよ。いつまでも男子はガキなんだから・・。
友紀はいいわね。かわいい名前で・・・」
「なに言ってんのよぉ。カノンってかわいいじゃない。
 友紀ってキライじゃないけど、平凡でしょ・・?
 いいなぁ・・カノン。」
友紀は遠くを見つめながら言った。
確かに“カノン”って名前は平凡じゃない。
でもなんとなく『自分にはそぐわない』気がしていた。
「友紀なら“カノン”っていう名前も似合いそうだけどね・・」
「カノンだって似合ってるよぉ」
友紀はいつだって私の味方だった。


私たちは学校の帰り道、いつも少し遠回りをして帰った。
「それでね、それでね・・・」
友紀はいつも一人でしゃべり続けている。
「また聞こえるね・・・」
私は友紀の言葉をさえぎるように言った。
どこからともなくいつもこのメロディーが聞こえてくる。
誰かがピアノを弾いているらしい。
「この曲『カノン』っていうんだってぇ。おかあさんが言ってた。
いいな、いいな。カノンとおんなじ名前だよぉ」
友紀は目をキラキラさせて言った。
私たちはいつもこの『カノン』(パッヘルベルニ長調)を聞きながら帰った。

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