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大阪はほんの半日しか観ることができず、 それならやっぱり…ということで「夫婦善哉」に出てくるところに行こうと思った。 大阪って、正直それほど興味が湧かないところで、 唯一“大阪を歩きたい!”と強く思う時は 織田作之助、通称オダサクの小説を読む時です。 と言っても、私は新潮文庫の『夫婦善哉』を読んだだけで、 ここには「夫婦善哉」の他に「木の都」「六白金星」「アド・バルーン」「世相」「競馬」が収められています。 特に「木の都」「アド・バルーン」などを読んだ時は、“大阪…素敵ぃ♥”と思う。 今回も口縄坂などを是非歩いてみたかったが、時間がないので断念。 しかし、私が歩きたい大阪は、オダサクの作品内の大阪であって、 小説を読んだだけで満たされてる感はある。 実際に歩いてみると、期待した程の感動は得られないのかもしれないが、 それでもなんとか辿ってみたいという気持ちはあるものだ。 東の太宰、西のオダサク、などという文句を聞くと、それだけで痺れてしまう私。 もっともっと作品を読んでみたいと思っている作家の内の1人。 新潮文庫から出ているので読まれた方も多いとは思いますが、 まだの方は是非読んでみて下さい!きっと大阪を歩きたくなります! というか、私は放浪したくなります、これ読むと(笑) 「夫婦善哉」と言えば、小説も勿論良いですが、やはり映画が印象的ですね。 豊田四郎の「夫婦善哉」、森繁久彌と淡島千景は原作のイメージにもピッタリ。 映画のラストも大変素晴らしく、今回大阪で「夫婦善哉」の世界を歩いてみたいと思ったのも、 小説よりも映画の方が強かったかもしれない。 まずは、法善寺。私は日本橋の駅で降りて、15分ほど歩きました。 小説内では特に記述もなかったと思うが、映画では淡島千景がここの水かけ不動に せっせと水をかけていましたよね〜〜。(うろ覚えですが…) この日も観光客や外国人が多く来ていて、大変な賑わい。 私は朱印をもらいました。 スッキリとしたなかなか良い朱印。こういうのも好きです。 法善寺の斜め前にあるのが夫婦善哉。 柳吉は「どや、なんぞ、う、う、うまいもん食いに行こか」と蝶子を誘った。法善寺境内の
「めおとぜんざい」へ行った。道頓堀からの通路と千日前からの通路の角に当っているところに 古びた阿多福人形が据えられ、その前に「めおとぜんざい」と書いた赤い大提燈がぶら下って いるのを見ると、しみじみと夫婦で行く店らしかった。おまけに、ぜんざいを註文すると、 女夫の意味で一人に二杯ずつ持って来た。碁盤の目の敷畳に腰をかけ、スウスウと高い音を 立てて啜りながら柳吉は言った。「こ、こ、ここの善哉はなんで、二、二、二杯ずつ 持って来よるか知ってるか、知らんやろ。こら昔何とか太夫ちゅう浄瑠璃のお師匠はんが ひらいた店でな、一杯山盛にするより、ちょっとずつ二杯にする方が沢山はいってるように 見えるやろ、そこをうまいこと考えよったのや」蝶子は「一人より女夫の方が良えいうこと でっしゃろ」ぽんと襟を突き上げると肩が大きく揺れた。蝶子はめっきり肥えて、そこの 座蒲団が尻にかくれるくらいであった。(新潮文庫『夫婦善哉』p56) 映画とは大分違いますね〜。(まー、当然か。)ビルに組み込まれている感じです。 勿論小説内の雰囲気とも違いますが、私は夫婦善哉であるだけで満足、というか感激♪ 店の雰囲気は異なるが、出てきたこちらを見れば、やはり「夫婦善哉」。 出てきた時はあまりの感動に、1人で“おお!2つある!!”と明らかに周りに聞こえる独り言♪ “森繁久彌と淡島千景だよ〜!”などと独り言の連続。 店内には地元の人しかいないようで、大阪弁でフツーにお茶をしているといったおば様達ばかり。 観光客丸出しの私だが、大して恥ずかしくもなく、こちらペロリと平らげました☆ いや〜〜、美味しかった!塩昆布も美味しかった。 森繁久彌と、いや柳吉と食べたい夫婦善哉。何故か魅かれる駄目男。 店内には沢山のサインや写真がありました。 森繁さんと淡島さんのサインです。 こちらは「月の法善寺横町」レコード。私は…この歌は知りませんね〜。 聞いたら分かるかも!? 映画の写真も飾られており… こちらは、ミヤコ蝶々さんと南都雄二さんの「夫婦善哉」…舞台? このように、他にも沢山、壁一面に色々なものが飾られていました。 散々撮影をして、自分でもじっくり見て、お店の人にも“どうぞどうぞ”と言われ、 お土産の夫婦善哉まで買って、大満足で店を後にしました♪ 次に向かったのは、自由軒。夫婦善哉からは徒歩5分くらい。 千日前の愛進館で京山小円の浪花節を聴いたが、一人では面白いとも思えず、出ると、
この二、三日飯も咽喉へ通らなかったこととて急に空腹を感じ、楽天地横の自由軒で 玉子入りのライスカレーを食べた。「自由軒のラ、ラ、ライスカレーは御飯にあんじょう ま、ま、ま、まむしてあるよって、うまい」と嘗て柳吉が言った言葉を想い出しながら、 カレーのあとのコーヒーを飲んでいると、いきなり甘い気持が胸に湧いた。 (中略) あくる日、二人で改めて自由軒へ行き、帰りに高津のおきんの所へ仲の良い夫婦の顔を 出した。(新潮文庫『夫婦善哉』p22〜23) 確か、ここのカレーライス映画でも出てきましたよね?? 映画を観た時に、“食べてみたい!!”と強く思った記憶があるのですが。 お好みでソースをかけて、よく混ぜていただきます。御飯の熱で玉子がいい具合になります。 適度な辛さのカレーで、大変美味しかったです。650円です。 でも、それ以上に、オダサクの好きなカレーだったかと思うと、それだけで胸がいっぱい。 こんなカレーを好物とするオダサクが、益々大好きになる。 店内の壁にはこんな額縁が。オダサクの写真と、 トラは死んで皮をのこす、織田作死んでカレーライスをのこすの文句。 ふふ。 この店の素敵なところは、カレーライスや店内の雰囲気も勿論だが、店員さんたちだ。 店員さんは皆おばあちゃま。4、5人程いるのだが、ほんっとうに落ち着く。 コップの水がなくなると、2人がかりでやってきて“入れましょうね”“入れましょうね”。 カレーライスを食べ終えると、またまた2人がかりでやってきて“下げましょう”“下げましょう”。 額縁の写真を撮っても良いですか?と尋ねると、 “どうぞどうぞ!では私達はどきましょうね、ほら、あなたこっち来て。”などと 居心地が良い。私はこういう人たちが好きだ。もし近くに住んでいたら、 是非常連になりたいお店♪オダサク、素敵♪ 夜、再び法善寺横町へと戻る。 こちらは東入口の看板。三代目桂春団治の書が刻まれている。 そしてこちらは西入口、故藤山寛美の書が看板に刻まれている。 こちらが法善寺横町。とても風情のある石畳の道です。 本当なら、この法善寺横町内にあるお店で夕飯でも食べたかったのですが、 夜行バスの時間まで半端な時間しか残っておらず断念。 こういうところで、デカダン風に遊んでみたいですね(笑) オダサクの「世相」という小説では、法善寺横町は艶めいた華かさだと書かれていますが、 本当にそんな感じ。大人の道って感じですね、特に夜は。 私はここから歩いて道頓堀の辺りをぶらぶらする。 小学生の時、親や親戚と来て以来だ。 オダサクの小説にもよく出てくる道頓堀、戎橋… しかし、私が小説を読んでちょっとした憧れを抱いていた、あのキラキラした場所ではなくて、 そこは思った以上にフツーの、ただの繁華街だった。 何より、勧誘らしき人たちが怖くて、すぐに法善寺横町の方へ戻ってしまった。 道頓堀、戎橋の辺りは、誰かと一緒に歩きたいと思った。 勧誘の激しいゾーンの歌舞伎町は好きではないが、一歩入った路地には心温まる場所もある。 そんな歌舞伎町と似たような印象を持った、道頓堀歩きでした。 やはり私はオダサクの中でだけ、戎橋を渡ろう。
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「夫婦善哉」は大阪らしい物語だと思っています。大阪に行ってあのあたりに今行っても往時とは雰囲気が変わっているでしょうが、ぜんざい屋やカレーライズの自由軒があるのはうれしい情報です。残念ながら原作は未読です。原作では柳吉は吃音なんですね。映画は立て板に水のような話ぶり。映画の最後の方で「オバハン、頼りにしてまっせ」は森繁のアドリブだったとか。蝶子の父親役の田村楽太はいかにも大阪の親っさんという感じでした。「月の法善寺横町」は子供の頃流行しました。「包丁一本サラシに巻いて...」という歌詞で始まる歌。鼻がつまったような声は独特で台詞までありました。藤島恒夫だったでしょうか。この人も今は鬼籍に入って久しいです。
2007/8/21(火) 午後 2:40 [ xfd*vw ]
こんにちは〜♪
私は大阪の更に西の生まれなので、子供の頃の憧れの地は大阪でした。上京して40年にもなる今でも大阪がたまらなく恋しいです(笑)
「月の法善寺横町:藤島恒夫」九月の半ば頃にアップする予定になっています。大ヒットした歌なので、聴けばきっとご存知です♪
2007/8/21(火) 午後 4:28
織田作は「夫婦善哉」ほか何作か読みました。映画を先に見ていたので原作を読んでいても森繁と淡島の姿が浮かんできて困りました。ある意味よく出来た映画化だったのでしょうね。織田作の小説では「猿飛佐助」の軽妙さも好きでした。大阪モノのイメージが強かったのでこういうものを書ける人だとは思わず驚いた記憶があります。「月の法善寺横町」は家に古いレコードがあってよく聞きました。この辺は歌謡曲好きにとっては必須科目ですね(笑)
2007/8/22(水) 午前 0:00
xfdrvwさん そうですね、雰囲気は当然違いますが、店が残っていたり法善寺横町があるのは本当に嬉しいです♪本当は、(映画には出てきたか覚えていませんが)小説内でも出てくる、法善寺境内にあるという“正弁丹吾亭”で夕飯を食べたかったのですが、定休日でした。“関東煮”の店として小説では紹介されていましたが、映画では出てきたかどうか…覚えてません。「オバハン、頼りにしてまっせ」は印象的な台詞ですね!アドリブなんですか…さすが!「月の法善寺横町」、歌詞を聞いて分かりました!!
2007/8/22(水) 午前 2:39 [ アヒル ]
tanzawaさん “大阪がたまらなく恋しい”って、なんだか素敵ですね♪私は口縄坂や愛染坂のある上町台地に行って町家を見ることに憧れます。今回は無理でしたが…。親戚や友人とワイワイ行くなら道頓堀や新世界をもっともっとぶらぶらしてみたいですね〜。ちょっとそういうのも憧れるかも(笑)「月の法善寺横町」は、少し歌詞を聞いただけすぐ分かりました!母が口ずさんでいたので(笑)tanzawaさんのところへ是非聴かせてもらいにうかがいますね♪
2007/8/22(水) 午前 2:51 [ アヒル ]
manboさん 私も映画を観てから読んだのですが、確かにあの2人が浮かんできました(笑)でも、映画で観たら“分かる分かる!なんかこんな男でも魅かれちゃうんだよな〜”と思ったのに、小説では“なんかイラつくわ〜、この男!!”と思うところが多々ありました(笑)不思議です…。「猿飛佐助」は未読ですが、読んでみたいですね〜。なんか、久しぶりにオダサクを引っ張り出したら、もっともっと読みたくなりました♪レコードで聴く「月の法善寺横町」は素敵ですね〜…私なんか母の音痴な歌でしか聞いたことがありません(笑)あ、テレビであるかも…
2007/8/22(水) 午前 3:04 [ アヒル ]
はじめまして。「口縄坂」で検索してやってまいりました。わたくし、口縄坂の近所に住んでおります。法善寺横丁へ行かれたんですね。東側の春團治師匠の揮毫と西側の寛美さんの揮毫、見比べてください。寛美さんの「善」の字の横棒がひとつ足らないのがわかりますでしょうか。「わしは善(え)えお人よりも一本抜けてるから」という洒落やそうです。けっこうご存知のない方がいらっしゃるようです。余計なこと申しまして、失礼しました。
2007/9/12(水) 午後 10:37 [ ひろみ ]
ひろみさん お返事遅くなってすいませんでした!口縄坂の近くに住んでらっしゃるとは羨ましい!私、一度あの辺りをぶらりとしてみたいです♪法善寺横町の「善」の字のお話、横棒が一つ足りないのは知っていましたが、そのような洒落の意味があるとは知りませんでした!!“書き間違えかしら…”などと、勝手に納得しておりましたが、そんな意味があったとは!“余計なこと”などとんでもありません。貴重な情報をありがとうございました♪
2007/9/19(水) 午前 3:04 [ アヒル ]