浮遊船

しばらく旅行記が続きます…すいません

映画感想―川島雄三

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1953年
監督:川島雄三
脚本:富田義朗
音楽:木下忠司
撮影:高村倉太郎
原作:藤沢桓夫

出演:三橋達也、月丘夢路、大坂志郎、水原真知子、坂本武、芦川いづみ、北原三枝、高橋貞二
   稲川忠完、毛利菊枝、奈良真養、滝川美津枝、多々良純、丹下キヨ子、小藤田正一、竹田法一
   桜むつ子

★★★★+
小津安二郎「東京物語」の1ヶ月前に封切られた作品。日活かな〜と思っていたら、松竹大船なんだ〜。
芦川いづみのデビュー作でもある!可愛い!

“あひるヶ丘”という社宅を舞台に繰り広げられる人間模様を、テンポ良く描いた楽しい作品。
伊東光雄(三橋達也)・美枝子(月丘夢路)夫妻と西川隆吉(大坂志郎)・房江(水原真知子)夫妻は
お隣同士。美枝子は“東京マダム”、房江は“大阪夫人”として、互いの夫が同僚で家が隣同士で
あることからも何かと張り合っている。
ある日、美枝子の妹康子(芦川いづみ)が、店を継がせるために番頭(稲川忠完)と結婚させようとする
父親(坂本武)に反発して家出をしてくる。しばらく美枝子の家に厄介になる康子。
時を同じくして、房江の弟で小型飛行機の操縦士をしている八郎(高橋貞二)も、房江の家に厄介に
なりにくる。威勢の良い八郎と控えめで内気な康子は次第に仲良くなっていく。これを見た美枝子は
2人の恋を応援する。
一方、房江は専務夫人(滝川美津枝)とは女学校の先輩・後輩にあたるため親しくしている。
その専務の娘百々子(北原三枝)は、勝気で少々我儘な性格で、心理学を専攻している理屈っぽい娘だ。
百々子は、我儘な自分を叱りつけた八郎に初めは腹を立てるものの、
次第にそんな八郎のことを好きになっていく。
康子→八郎、百々子→八郎という2つの恋愛軸が発生する中、
アメリカへの栄転候補に光雄と隆吉があがる。美枝子と房江は我こそはアメリカへ!と
対抗心剥き出しになる。なんとかアメリカ行きをものにしたい房江は、専務と親戚になることで
有利にしようと、弟八郎と専務の娘百々子を結婚させようと企む。一方、それを阻止したい思いと
康子の恋を叶えてあげたい美枝子は八郎と康子をくっつけようと躍起になる。
そんな時積極的に動き出した百々子によって、八郎と百々子の婚約が八郎の知らないところで
決まってしまい、それを知った康子は実家へと帰ってしまう…。

非常にテンポが良くて面白い。ただ一点を除いたら、とても好きな作品だ。
一点だけ好きではないところは、これはもうただ単に私の好みの問題で、
作品の出来とは何の関係もない部分だ。
それは、ハッキリしない八郎の行動だ。
八郎は大変威勢が良く、自分の意見はポンポン言う気持ちの良い男だ。
ただ、後半、百々子との婚約を姉に断る場面で、ハッキリと「康子さんが好きだ」と言っておきながらも、
自分から康子を迎えに行くわけでもなく、アメリカ(八郎はアメリカへの転勤が決まっていたのだ)から
帰るのを待っていてくれと告白するわけでもなく行動には移そうとしない。この辺りでイラッとくる(笑)
一方、ここで好感度が急上昇するのは百々子!
自分の恋は破れたにも関わらず、内気な康子と八郎を結び付けようと奔走してくれる。
ハッキリ言って、百々子がいなければこの恋の成就はなかっただろう。
私が康子だったら、八郎よりも百々子に恋をしてしまうかもしれない!
百々子の好感度が上がるにつれて、八郎の好感度がドドドっと下がっていくのでした。
もっとグイグイ引っ張っていってくれないと!
あの消え入りそうにか弱い康子が、いや、いづみちゃんが可哀想じゃないか!

行動に移さない八郎にはイラッときても、
なよなよ〜っとしている康子はOKです☆
なぜなら芦川いづみだから♪
デビュー作ということだが、ハッキリ言って演技自体はよく覚えてないです。
ただ、俯いてる姿が可哀想だけど可愛いとか、八郎の為に料理を嬉しそうに作っている姿が可憐だとか、
八郎がOkをくれたと光雄から聞いた時に照れて顔を伏せる姿がまさに“胸キュン”だとか、
そんなことだけが印象に残っているんですねー(笑)
なよなよっとしてイラッとくる女もいるんですけど、
芦川いづみだけはどんな役でもどんな場面でもOKOKになっちゃうんです。
いや〜、可愛いですね〜、可憐ですね〜、好きですね〜。

まー、兎も角、芦川いづみが相手ではなかったとしても、
私は、ココゾ!という時にグダグダしている男子を見ると、
イライラっとしてしまうんですね!特に八郎は駄目男ってわけでもないし。
でも、こういう作品を観てイライラっとするのも、楽しくて好きです(笑)
ちなみに、グダグダぶりが良い場合もありますよ。

芦川いづみと北原三枝が素敵です。
北原三枝は途中すこ〜し嫌だなと思うところもありましたが、
それを引きずらせないところが天真爛漫な娘の良いところですよね。
素直で溌剌として根は優しくて、良い娘さんを演じています。
「ちは!☆」と言って現れるところは、と〜〜っても好き♪
特に、康子の実家に康子救済に来る場面。
父親に「ちは!☆お久しぶり!元気だった〜??」などと親しげに言いながら、それとなく上がり込む。
“あ〜〜、良い娘だな〜〜!”と思います。

でも、作品のメインは何と言っても“東京マダム”と“大阪夫人”の張り合い。
家の構造から旦那の給料まで殆ど一緒の2人の争いが楽しい。
ラスト、柵を挟んで、洗濯機を同じように操作している2人の和解の姿を、
その前の対抗している時の洗濯の姿と比較するととても面白い。
隣同士の類似する家庭という構図で描くのは、楽しい。
また、社宅の女たちのガーガー煩いお喋りや群れる姿を、
あひると重ね合わせるというところもよくできていると思った。
ラストにチラッと登場する高橋豊子が印象的でした(笑)
当時の生活風景も興味深かった。

本作は、男性陣もいいですが、やっぱり女性陣が輝いている(というか、力強い!)作品でしたね!
楽しめました♪

「とんかつ大将」

イメージ 1

1952年
監督・脚本:川島雄三
音楽:木下忠司
原作:富田常雄

出演:佐野周二、美山悦子、長尾敏之助、津島恵子、角梨枝子、高橋貞二、幾野道子、坂本武
   三井弘次、小園蓉子、徳大寺伸

★★★+++
「とんかつ大将」の愛称で親しまれる青年医師・荒木勇作(佐野周二)は、元大臣の父を持ちながら、
気楽な長屋住まいで充実した日々を送るが、病院建設による立ち退き問題(実は裏で病院の弁護士
大岩(北龍二)がキャバレー建設を企んでいる)が持ち上がる。病院のお嬢さん・作田真弓(津島恵子)、
飲み屋の女将・菊江(角梨枝子)、勇作の元恋人で現在は親友の丹羽利夫(徳大寺伸)の妻となっている
多美(幾野道子)、勇作の隣に住む盲目の少女お艶(小園蓉子)など、勇作を取り巻く女性達もそれぞれの
思いを胸に秘めている。自分の妻と勇作の仲を疑い益々荒れる利夫、病院建設について対立する
真弓と勇作、友人の吟月(三井弘次)が思いを寄せる菊江に告白される勇作…長屋と病院の今後は?
そして勇作の恋は?という社会派メロドラマ。

なんとな〜く途中から大体の話は読めてくる。
メロドラマだから、そんなもんだろうけど。

病院建設・立ち退きの話が出たあたりから、
“あ〜、とんかつ大将と病院のお嬢さんが対立するんだな。でも最後には和解するんだろうな。
そして、色々な面から察するに、このお嬢さんといい仲になるな”

ずっと探していた昔の恋人が、なんと自分の親友とこっそり結婚していたという事実が分かり、
しかもその親友は、今では酒に溺れ妻に暴力をふるうようになっていると分かったところでは、
“あ〜、きっとこの旦那はとんかつ大将に、グダグダと嫉妬深い言動をするに違いない。
だが最後には、君達には可愛い子供がいるではないか!ということで夫婦は円満、友情も再び…
となるんだろうな”

菊江が勇作に好意を寄せている場面を見ても、
“吟月が菊江に惚れていることを知っている勇作が、菊江を好きになるはずはないな。”

などなど、まさに期待を裏切らない展開でありましたが、
ベタな感じはあまりなくて、テンポの良いちょっと笑えるものでした。

「とんかつ大将」などと言うから、観終った後に思わずとんかつが食べたくなるようなものかな〜と
思ったら、とんかつの入った箱ばかりで、それほどとんかつが前面に出ていなかった。

黒澤明の「赤ひげ」を思い出した。(「赤ひげ」の方が後だが)
貧しい人々を救う、自分の意見をバシバシ言う、喧嘩が強い、などといった共通点が。
だが本作はメロドラマ要素があるので、また少し違いますが。

それにしても、津島恵子演じる真弓、よくあんな腕で病院の院長などやっていられますね!?
あれじゃあ不安で不安で、任せられませんよ。
お嬢様医師→技量がない→男性に頼る、という図式はちょっと嫌だな〜。
お嬢様だろうがなんだろうが、曲がりなりにも院長なんだからさ〜、腕だけはしっかりしといてよ〜。
でも、津島恵子は綺麗♪メロドラマだから、綺麗ってだけで許そう。
時代の問題もあるし、これはこれでまあ良い。

津島恵子と角梨枝子の言い合いは迫力ありますね〜。
佐野周二と徳大寺伸の殴り合いより怖いですよ。
やっぱり、女は怖いです。特に美人の喧嘩は怖いです。
でも、酔った勢いで佐野周二に迫った角梨枝子、
「怖い!!」なんて言われて可哀想だったな〜(笑)傷付くよ〜(泣)

昔の恋人・多美が勤めている保育園が映る時に、チラッと「台東区」という看板が見えますね〜。
浅草が舞台ですから当然と言えばそうですが、
こういう看板を見ると嬉しくなっちゃいます♪浅草大好き♪台東区大好き♪

この時代の長屋暮らしの人々と、真弓に代表される富裕者達と、
中間のような位置にいる勇作と、勇作を囲むそれぞれの立場の女達。
単なるメロドラマだけではない、各々の生活が見えてくる作品だった。
メロドラマ、メロドラマと連呼しましたが、
社会派メロドラマですので、それなりに見応えはありましたし、テンポも良かったです。

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