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1954年
監督:溝口健二
脚本:依田義賢
音楽:早坂文雄
原作:近松門左衛門
出演:長谷川一夫、香川京子、南田洋子、進藤英太郎、浪花千栄子、田中春男、菅井一郎
★★★★★
素晴らしい作品だ。
私はこれまで長谷川一夫を見ても美男子だと感じた事はなかったのだが、
この作品で女とも男とも区別し難いような妙な色気を感じた。そして美しい、と思った。
綺麗な女性を見た時に感じる気持ちに似ているかもしれない。この存在感は凄い。
貫禄が違うのだな…と改めてその魅力を痛感。
香川京子も素敵だ。香川京子は観る度に好きになる女優だ。
あの清潔感と上品さと可憐さ、この作品の香川京子は本当に美しい。
当初はこの役、木暮実千代だったと言うが、香川京子で間違いはなかった(木暮実千代は魅力的だが)。偶然の嫌疑から本物の愛が生まれる。本人達はやましい事が何もないから、初めは結構平然としている。この2人の純粋な思い遣りの気持ち(茂兵衛はおさんを慕っていたが飽くまでも初めは奉公人を貫く)と周囲の大騒動のギャップに焦る。どう巻き込まれるのかと、不安で堪らなくなってしまう。
愛を告げられて愛が生まれ、一緒に生きていきたいと思う。
それが叶わないのなら2人で死にたいとまで思う。
磔は悲惨だが、感情としては安堵さえ覚える結末だった。
1人で自首をしようとした茂兵衛を追いかけて、
捻挫した足を引き摺り「茂兵衛茂兵衛!」と叫びながら駆けるおさんの姿は、強烈な印象に残す。
この2人、観ているだけで胸が熱くなる。作中で使われる拍子木の音も強烈だ。
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