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映画感想―渋谷実

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「大根と人参」

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1965年
監督:渋谷実
脚本:白坂依志夫・渋谷実
音楽:黛敏郎
原案:野田高梧・小津安二郎

出演:笠智衆、乙羽信子、加賀まり子、桑野みゆき、岡田茉莉子、岩下志麻、池部良、加東大介
   森光子、有馬稲子、司葉子、長岡輝子、長門裕之

★★★★
小津安二郎が「秋刀魚の味」の次回作として用意していたものを、渋谷実が映画化したもの。
「小津安二郎記念作品」となっていた。
同窓会の場面は「秋刀魚の味」などを彷彿とさせるが、全体として小津作品とは全く別物である。
当然と言えば当然だが。

真面目だけが取柄のような父親(笠智衆)と阿吽の呼吸の妻(乙羽信子)と、
4人の娘(3人は嫁いでいる→岡田茉莉子・司葉子・有馬稲子)。
末の娘(加賀まり子)は結婚を控えているが、婿をとるので父親としての寂しさは感じられない。
この父親にはプレイボーイでだらしのない弟(長門裕之)がいて、
会社の金を使いこんだ尻拭いをさせられることになる。
同級生とは友人に癌の告知をするかで口論をしたり、なにかとイライラが募る父親は、ふらっと家出。

豪華キャストが勢揃いだ。
確か司葉子・有馬稲子・岡田茉莉子・岩下志麻・池部良などは特別出演だったと思うが、
本当にチョロっとでているだけだ。眼鏡をかけた池部良が素敵♪

ワイワイガヤガヤしていて、楽しい作品だった。
父親の家出というと、家でも会社でも肩身が狭くて…などと哀愁を感じさせるものを想像するが、
本作での家出は全く哀愁や同情を伴わない。大金を手にして普段とは違う心持ちになったのと、
良いお天気と、汽車の姿が重なってふらっと行ってしまったのだ。
家出中の父親もなんだかケロッとしているし、家族も心配はするもののサラッと描かれている気がする。だから全体的にとても楽天的に観られる作品なのだ。

癌の告知・父親の隠し子・横領など、キーワードは「知らぬが仏」か。
どんなに親しい間柄でも、それが犯罪に関わることでも、
知らないで済ませられるのなら内緒にしておいた方が良い事もあるよ…と
そんなことをしきりに言われているような気分になる作品だった。

結局この父親の家出は何の意味があったのだろうか…。

長門裕之演じる弟のナレーションが楽しい。
浮気は2回くらい、夫婦生活は10日に1度、避妊方法はオギノ式…などなど。
小津の作品ではありえないナレーションである(笑)
基本的に男達が皆エロい。ちょこっと下品な感じで描かれている。
「男の浮気なんて犬が電柱におしっこを引っ掛けるようなものだ」というナレーションには
なるほど〜と感心。そんな感じの浮気も、確かにあるある!
女性のお尻をまじまじと見つめる笠智衆というのも新鮮だが、なんか見たくない姿でもある。
まー弾けた笠智衆も楽しい。笑顔がこぼれてしまう。

1番ツボに嵌ってしまったのが、乙羽信子が犬の舐めたサンドウィッチを食べた話をする場面。
「にちゃっとしてましたよ」という表現がおかしくて(言い方が可笑しかったのだ)笑えたかな。

くら〜い作品にも哀愁漂わす作品にもできただろうが、ここは喜劇で。それはそれで楽しかった。

どんな夫婦にも秘密があり、たまには距離を置いた方がうまくいくのかな〜
なんて考えさせられる作品だった。

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1964年
監督:渋谷実
脚本:白坂依志夫・渋谷実
音楽:黛敏郎
原作:舟橋聖一

出演:真理明美、佐田啓二、笠智衆、森光子、山本圭、川津祐介、加藤武

★★★
踏切警手の父と精神病の母を持ついち子。
母の入院費が必要な為、学校を辞めてモデルとして働くことにした。
どうしてもヌード写真を撮りたい水口を突っぱね、頑として水着は脱がないいち子。
その一線だけはどうしても越えたくない。
自分の体には魅力を感じ始め、自信もついてくるのだが、
やはりヌードモデルはやめてCMガールになろうと思った矢先、
母親が病院を抜け出し叔母のパトロンを刺し、父親は酒酔いの為の不注意で事故を招く。
全ての負担が自分にのし掛かってくると思ったいち子は、
新しい自分になるべくヌードを決意するのであった。

これは、なんだか無性に腹の立つ作品だった。
姪の体で客のご機嫌をとろうとし、つまらぬ噂を信じて父親にチクる叔母にも、
いやらしい手つきで口説いてくる叔母のパトロンにも、
自分よりチヤホヤされるいち子への嫉妬で罠に掛けようとするあの女にも、
その女のくだらない言葉を信じて誘惑に負ける森本にも、
洗濯屋の勘違いを信じていち子を罵る世間知らずの坊ちゃんにも、
そしてあの洗濯屋にも!!
全てに腹が立った96分だった。

加藤武演じる蜂屋がいち子の足にいやらしく縋り付く場面、
館内では笑いが起こっていたが、笑えない!(確かにそりゃおかしかったさ)
あんなのもっと踏みつけにして唾でも引っ掛けてやればいいんだ。

安易に性の犠牲になっていく女の哀れな姿を描いたものなのか、
そんな犠牲に進んでなっていく女達とそういう環境を作り上げる男達、
つまりはそういう世間の風潮(欧米への憧れ)を皮肉ったものなのか。

観終わった後に、なんとなく、捉えどころのない印象を与えるのは、
きっと主人公のいち子がふわふわした存在だからだろう。
ラストでは力強い「新しい自分」宣言をするものの、
それまでの間には特別自己主張をするわけでもないし、
正直なにをどうしたいのかよく分からない少女だ。
周囲の人間との関係性もよく分からない。
森本や従兄弟の孝太郎との関係もあやふやに描かれるだけだし、
叔母や騙した女に文句や不満を言う訳でもない。なんか、ぼんやりとした固定しない子なんだな。
脇の人間達は結構固まってるんだけどね。
あー、でも、ふわふわした子だから周囲に作り上げられてヌードモデルになっちゃうってことで、
良いのかな。

こういうストーリーは笑えたり共感できるものもあるのだが、今回は怒りとモヤモヤでした。
虫の居所が悪かったわけでもないのだが。

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「仰げば尊し」

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1966年
監督:渋谷実
脚本:松山善三
音楽:林光

出演:森繁久彌、野村昭子、佐々木愛、鈴木光枝、木村功、川口敦子、谷啓、三木のり平

★★★
森繁久彌が老教師・浜口を演じる。
浜口の元にかつての教え子が訪ねてくるのだが、彼は浜口と酒を飲み交わした翌朝、自殺する。
遺骨を取りにやってきたのは愛人・千津。妻は取りに来ない。
そこで遺骨を届ける為に千津と共に東京へと行くのだが…。

これは「喜劇」と説明書きにあったが、私にはどうも「喜劇」に感じられなかった。
確かに森繁・谷啓・三木のり平などは出ているが、それだけで「喜劇」とは言えまい。

老教師・浜口が東京に住むかつての教え子を訪ねて、その姿に失望する姿を次々と描くのだが…
連れ込み旅館の亭主、堕胎専門の医師、選挙の為の美談に先生を利用する議員。
しかし、東京に出てきたからといって全員が全員堕落して冷たい人間に成り下がる訳ではないだろう。
この東京=悪・汚れ、瀬戸内海(田舎)=善・清らか、という構図は最後まで貫かれる。
最後の最後に出てきた、唯一浜口が人間らしい温かみを感じる元教え子で、
現在は教師をしている長尾も、やはり田舎に住んでいる。そして人形浄瑠璃の文化継承に努めている。
ここではまた、東京=人工的・非人間的、田舎=自然(伝統文化含む)・人情という構図が
強調されている。この構図があまりにもハッキリしている為か、こちらは少ししらけた気分にさえなる。

しかもこの浜口という老教師も、それほど清廉潔白な男ではないと見える。
あの京塚昌子演じる初恋の人とのエピソードだ。2人の過去に何があったかは分からないが、
この初恋の女が「実はあなたの子供を上海で産んだのよ」(←実は嘘)と言ったところをみると、
肉体関係はあったのだろう。しかも女がこの嘘を「私を捨てた復讐よ」と言っていることから、
多少恨みが残るような別れをしたに違いない。そしてこの話を聞いた後での千津に対する対応などは、
身勝手な男そのものではないか。東京に住む教え子を嘆く割りには、自分もちゃっかり身勝手な人間だ。

そうか!この老教師の甘ったるい理想と、現実とのズレが「喜劇」なのね!
それとも、東京と田舎の分かり易い構図を強調する事で、このような観念を逆に皮肉っているのかしら?
そうだとしたら、なかなか奥が深いとも言える(笑)

だが、なんとなーく、スッキリしない作品だった。

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「酔っぱらい天国」

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1962年
監督:渋谷実
脚本:松山善三
音楽:黛敏郎

出演:笠智衆、津川雅彦、倍賞千恵子、石浜朗、三井弘次、有馬稲子、伴淳三郎

★★★
「酒を飲んでの事なら許される」という日本の悪い社会通念に対する皮肉。
大酒飲みの父親と息子は二人で仲良く暮らしているが、ある日息子がバーで殴られ結局死んでしまう。
殴ったのは野球選手だったが、酔っていて覚えていないということで、結局示談で済ますこととなった。息子の婚約者だった規子が唯一の心の拠り所だったのだが、
なんと加害者である野球選手・片岡とできてしまい、絶望した父親は片岡への復讐を考える。
前半は「もず」男バージョンといった感じだ。いや、この父親はもっと分かり易い。
結婚したいと言う息子に「お前と二人でいたいんだ!」なんて…
小津作品の中ではあり得ないくらい笠智衆が自己主張している(笑)
婚約者もあんなに憎んでいた加害者と案外あっさりできてしまい…
もう少し成瀬巳喜男「乱れ雲」の司葉子を見習って欲しいもんだ。
非常にテーマの分かり易い作品。

「二人だけの砦」

1963年
監督:渋谷実
脚本:斎藤良輔・松山善三・渋谷実
音楽:黛敏郎

出演:岡田茉莉子、アイ・ジョージ、三國連太郎、ミヤコ蝶々、鈴木やすし、菅井一郎、笠智衆

★★★★★
二ヶ月の刑を終えて出所した男・正一(アイ・ジョージ)が
ヤクザの世界から足を洗って恋人・光子(岡田茉莉子)と所帯を持つ。
団地の前に薬局を開くのだが、団地の住人・駅前の薬局屋との様々なトラブル、
そして赤ん坊の死やヤクザの世界との深い因縁などが二人の前に障壁となって立ちはだかる。
初めは、ヤクザから足を洗おうとするが抜け出せずに崩壊する男女の姿を描くのかしらと思ったら、
光子の兄で、正一の兄貴分でもある亀夫は案外あっさりと堅気の道を許してくれる。
ヤクザとの因縁もそうだが、やはり団地の住人との関係がよく描かれている。
腹黒くて自分勝手な住人達(主に菅井一郎とミヤコ蝶々)、
一緒の建物内に住んでいるというだけで我関せずの人々。
団地というところは社会の縮図のようなものだ。
正一と光子、二人の姿も良かった。あ〜もう崩壊してしまうかな…とハラハラしていると持ち直したり、幸せいっぱいという時に「やっぱり!」というような不幸が襲ってきたり…。
岡田茉莉子ファンの私は、岡田茉莉子の悲しい顔は見たくない!(でも悲しそうな顔が美しいのだが)
正一がギター片手に歌をうたう場面では、
「こんなに歌がうまくていい声してるのなら、薬局屋の店番なんかより歌手を目指した方がいいよ!!」と、岡田茉莉子の(光子の、ですね…)幸せを願う私は思わず考えてしまうのでした。
ヤクザを抜けたがその因縁はなくならないという、
ヤクザにも堅気にもなりきらない中間にいる男とその妻が中心の作品の為、
ヤクザ世界のくだらない義理(任侠映画ではこれこそが大事ですが、ここでは別です)も
堅気の社会の腹黒さ・無関心さも、両方の世界の嫌な部分が描かれていて面白い。
だが、ラストで団地の住人が二人に協力的になりつつあったことと、
正一が希望を捨てないでいたことが、救いであった。

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