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トラスカラで最後に訪れたのは、民芸博物館。 最初閉まっているのかと思ったら、切符売り場が別の入り口にあり、そこで入場券を買ってから、中に入ることができた。どうやらその時まで、他に入場者がいなかったらしいのである。日曜日だというのに、トラスカラはまだ、そう観光客の押しかける土地ではないらしい。 博物館の規模はあまり大きくないが、展示してあるものの質は高い。精巧な織物と共に、それを織る織機も展示してあって、これは実際に織る様子を見せてくれる。別の部屋には、祭りの衣装に仮面。また、タラベラ焼きやガラス細工等も数多く、実物大に作られた台所に置かれた様々な道具や食器、また、パンを焼く釜などが、面白い。最後の画像のタイル画などは、ちょっと欲しくなる。 トラスカラ州は小さい事もあり、周囲の他の州、特にプエブラ州と類似した文化がある。食べるもの一つでも、プエブラ州の名物である モレ は、ここでも大変美味であった。
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中央高原
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トラスカラ州は小さいし、日本でもあまり知られていないが、いくつもの見どころがある。 先スペイン時代の遺跡には、極彩色の壁画が歩き回るるし、植民地時代の街にはコロニアル建造物が多く残っている。プエブラと並んで、教会の多い土地でもある。しかし、土曜日のツアーで、プルケの生産、伝統の食卓、ホタルと巡り、ホテルに帰り着いたのは夜中の12時過ぎ。翌朝はゆっくり起きて、半日ぶらぶらと街歩きをするだけにとどめた。そうとなれば行先は、帰りのバスターミナルにも近い、街のセントロ(中心地)と決まっている。 トラスカラ・デ・シコテンカトルというのが、州都の正式名称。丘に囲まれた盆地で緑が多く、ホテルのベランダから見える景色も、広々として心地よい。そこからセントロまでの2キロあまりは、傍らにタンポポやセンダングサが咲く川沿いの道で、日曜日のためか人通りが少なく、静かだった。そして、この道筋で、コショウボク の大木を発見。手の届くところにたくさんついているこの実は、ピンクペッパーとして料理に使えるから、少しばかり採ってきた。これが、今回の旅行からの、唯一のお土産である。 歴史地区の街並みはやはり規制されているらしく、コンビニやその他の商店等も、派手な看板は出していない。この街中で目を引いたのは、最後の画像の、しゃれた信号機。・・・知らない街をただ歩き回るのは、それだけでも楽しいものである。
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地面に掘った穴の中で、肉の塊を長時間蒸し焼きにする、という料理は、あちこちの国にあるようだ。 メキシコのバルバコアは、山羊や羊、地方によっては豚肉を、マゲイ(リュウゼツラン)の葉に包んで焼く。また、焼いている間に出てくる肉汁は、その下に置いた鍋に受けて、コンソメにする。現代では、調理のため地面に大きな穴を掘るのも難しいようで、専用の炉、或いはドラム缶等を利用したりするようだ。低温で長時間加熱した肉はすっかり柔らかくなるし、調理法や肉の大きさから言っても、こういうものはもともと、宴会料理である。 ここは、ホタルの自然保護区に近い、医者も商店もないという小さな集落。ツアーの夕食は、そこに暮らす人々が飼う家畜(この日は羊)と、畑の野菜、森で採れるキノコ等を使い、基本的に昔からのやり方で調理されたものだった。 バルバコアはアメリカに伝わって、英語ではバーベキューと呼ばれるようになった。そこから分かるように、本来のバーベキューは、蓋をしてじっくり焼く肉料理のことである。
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プルケ は、先スペイン時代からメキシコで作られてきた、伝統的なアルコール飲料だ。 プルケはメキシコ各地で作られているが、トラスカラも、これの生産が盛んなのである。原料となるのは、リュウゼツラン科の植物の樹液。これはすなわち天然の アガベシロップ で、それを数日間発酵させたものが、プルケとなる。白く濁ったこの飲料は、アルコール度が低く、独特の酸味と粘度を持っていて、あまり日保ちはしない。色々な健康効果があるとも言われているが、味の方は好き好きが分かれるところで、このプルケに様々な果物等を加えたもののほうが、一般的には飲みやすいようだ。 メキシコのお酒といえば、真っ先に思い浮かぶのは、メスカル やテキーラだが、それは新大陸にスペイン人たちが移住してきてから、作られるようになった蒸留酒で、原料となるのは、同じリュウゼツラン科の植物でもそれぞれ別の種であり、製法も全く異なっている。 ホタルの棲む 自然保護区 が、観光資源として注目・宣伝されるようになったのは、ここ数年のこと。シーズン中(6月半ばから2か月ほど)毎日出ているツアーには、このプルケの生産工程見学が含まれているものが多いようだ。 画像1枚目は、プルケの原料となるリュウゼツランが栽培されている、山の中の集落。2枚目はこのあたりに多い アザミゲシ で、これは薬草としてよく利用されているという。3枚目では、リュウゼツランの先端の葉を取り去った、茎のくぼみにたまった樹液を、これから汲み出して見せるところ。
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最初にお断りしておくけれど、画像は、ネットから借りてきた。 メキシコ最小の州であるトラスカラの、州都まではメキシコシティーから、バスで2時間。そこから、ナナカミルパへの観光ツアーに参加して、ホタルの聖地を訪れた。ホタル科の昆虫は世界におよそ2000種も生息しているそうだが、ここにいるのは、学名 macrolampis palaciosi、体長2センチほどで、メスは翅が退化し飛ぶことができない。発光は配偶行動のためで、交尾・産卵を終えれば、雌雄ともに死んでいくばかりである。 ホタルが飛ぶのは、日暮れから1時間足らずの間。標高3千メートルに近い自然保護区では、人工の明かりや物音、携帯電話も禁止されている。黙々と歩く針葉樹の森の中、暗闇に一つ二つと飛び交う小さな灯りは、たちまちその数を増していく。光はすぐ目の前を横切ったり、人間の服や体に止まることもある。聞こえてくるのは、夕方の雨に濡れた木々から落ちる滴の音だけ。・・・ホタルたちの婚礼の宴は、この上もなく豪華で、そして哀しい。 腕も知識も機材も十分でない胡蝶は、そもそもホタルの写真を撮ること自体、最初から諦めていた。そして、「ナナカミルパ ホタル」 と検索すれば、まるでクリスマスのイルミネーションのように幻想的な美しい画像があふれているのだが、それは、人間の眼で見ることのできる光景と、かなり違っている。そうした画像の中から、自分が見た印象に一番近い(ただし、実際には全体がもっと真っ暗)と思えるのが、こんな画像だった。
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