子どもと一緒に考えよう・・・思考停止はしたくない・・・

「子どもと一緒に考える原発と放射能のお話」実行委員会

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「技術と教育」2011年11月号に寄稿された、権上かおる氏の文章を掲載します。
 
原発学習会講師活動と生活上のアドバイス
 
権上かおる
 
 福島原発事故当時の報道では、大部分の人がいらだちを覚えたことであろう。「ただちに影響はない」記者会見の官房長官とそれを補完することしか言わない大学教授の談話の繰り返し。原発の爆発映像は、外国メディア→民放→NHKという段階があった。事故から10日あまりたった春の彼岸は、東京でも放射性物質が多量に含まれているだろうと思われた冷たい雨が連休の間、止むことはなかった。そして、休み明けに水道の乳児規制となった。そして、私の周辺の若いお母さんがパニックに陥った。(文中敬称略)
 
まず、行ったこと
 私は、小さな環境調査団体ー酸性雨調査研究会(以下雨研と略す)で1991年から酸性雨、大気汚染などのモニタリングの市民活動を行ってきた。「放射性物質も大気汚染物質には違いない。これまでやってきたことが、現実社会で役立たなければなんのためにやってきたのか!」と考えた。幸い、本特集の執筆者(管理人注:この記事の掲載された「技術と教育」11月号は原発事故特集号)でもある、同じ雨研の増田善信は、広島原爆の黒い雨の雨域を20年に渡るライフワークとして増田雨域を立証、被曝者のおこされた裁判で、最も重要な役割を果たした証拠を提出されている方、伊藤洋昭は、本職の方で放射性物質のモニタリングをされている専門家である。心強い師が身近にいる中で猛勉強を始めた。増田は、いちはやく「恐れて、怖がらず」を提唱し、放射能の確定的影響と確率的影響を正しく理解する必要性を訴えた。これらを知人に、基礎知識や水道水の対応法など含めBCCメール発信を始めた。これが大きな反響を呼び、学習会を要望され、始めたところが次々と声がかかり、週末の大部分は学習会講師を務めることとなった。話すことは学ぶこと、質問や反応が生きた世論を知る場となった。本稿では、世論動向の要点を現時点で整理したいと考えた。そして、紙幅の許す限り、生活上のアドバイスを掲載したい。
 
質問にみる原発世論動向
 大多数は、特に若い世代からは、こどもを守るにはどうしたらよいかの切実な質問が寄せられ続けている。しかし、中には、ためにするような議論を持ち出してくる方もある。後者の議論には、日本の社会のひとつの縮図がはっきりと見えるので、その紹介からはじめたい。
 
原発事故の責任は、電気を使う(東京などの)消費者にもあるのだ
 事故直後に目立った意見である。森まゆみは(作家)、「毒入り餃子を食べさせられた消費者に責任はあるのか。電力濫造の構造を作って消費を促した構造にこそメスを入れるべき」1)、飯田哲也(環境エネルギー政策研)は、「自然エネルギーのように身近に発電システムがあれば、だれもが発電のことを考えて使う。原発のようにはるか遠い世界で発電すればだれも考えようとはしなくなる」2)と述べている。私は、過疎と過密、地方と都会を分断させるどこかには大変都合のいい論調、市民にとっては何の利益もないと答えた。
 
原発事故は考えないようにしている。私には関係ないこと
 3〜4ヶ月を過ぎるあたりから頻出しているように感じる。4,5月は、学習会を呼びかければ、ほぼ100%の人が参加したい旨の表明をされたが、7月に入ってからは、子育て世代でも拒否される方が少なからずおられるようになった。思考停止が蔓延し始めたなあと感じた次第である。田原牧(東京新聞記者)によると「一億総中流を振りまく時代は過ぎ、幻想も捲けない時代には、思考停止にもっていくしかない」3)
と。私は、「この事態を招いた責任は今の子どもたちにはない。せめての責任を果たす意味で関係はあり、思考停止は許されない」と言った。
 
 半年過ぎた頃から、以下のような質問を受けるようになった。ほとんど、定年過ぎた男性という質問者の特徴もある。
 
第五福竜丸の久保山愛吉さんは、被曝ではなく、売血輸血による肝炎で死んだ
 いまだ被曝を認めないアメリカの主張そのものであり、これを引用した大学人の出版物も発売されているためである。4)
 
チェルノブイリの疫学調査で被曝との関連があるのは、子どもたちの甲状腺ガンだけだ。他の病気の因果関係はないに等しい。甲状腺ガンも発症率は低いのではないか
 チェルノブイリは、事故当時の情報隠ぺいが尾を引いていることは確かだが、10年後過ぎるくらいから種々学術的な調査も出ている。そもそも非常に発症率の低い小児甲状腺ガンを率は大したことないということが適切ではない。事故後に生まれた同地域の子どもにはまた自然値に戻っているのだから。また、ガンだけでなく、抵抗力の低下という看過できない調査結果も存在するのだ。5)
 
私の親類の○○は、入市被曝した。しかし80数歳まで、元気で暮らした。
 「それこそが確率的影響の立証ですよ。症状の出る人出ない人がある。だから免疫力を高める食生活と立ち向かう精神力が必要になるのです」と答えると皆さんポカンとされる。直接被曝ではなく、必ず入市によるということもこの質問の特徴である。
 
広島・長崎をクリアしている日本、大したことはない、福島は死んだ人はいない
 こういうもの言いに遭遇すると非常に暗い気持ちにさせられる。全容がわかる立場にもなく、専門でもないメディアに登場する人物が発言し、それのカーボンコピーで市民が発言するのである。第一に原爆と原発の違いも無視している。原爆は熱戦・爆風・放射線で多くの方が命を奪われている。福島にはそれはないが、人類が未だ経験したことのない放射線種汚染が、土壌、海洋に広がっているのだ。浅見輝男(環境土壌学・茨城大学名誉教授)によれば、セシウム137沈着量を以下に比較(平均値)している。6)
 広島:大気圏核実験:福島事故=1:約100:約4000
 何も考えていないであろう発言者にこういう事実を知ってほしいと思う。
 
今、求められていること
 第1に、次世代を担うこどもたちへの影響を最優先させること。「原発なければ賄えないなど」の議論を決して優先させない
 第2に、社会と自分のつながりをこれほど感じさせる事故はない。科学的な思考も求められる。目をそむけないことが、次世代への最低限の責任。
 第3に、「恐れて、怖がらず」の姿勢で臨むこと。脅かすだけ、安全だと言い切るだけはそれぞれ間違い(生活上のアドバイス別項に記載)
 第4に、これからは、土壌が主であるが、もし汚染水の新しい漏出があれば海洋汚染をも起源とする食品汚染の比重が大きくなる。暫定規制値が多くの専門家から疑問視されている。少なくともベラルーシの場合は、’濃度×摂取量’を考慮した基準であり、当面ベラルーシ基準で思考する(別表)
 第5に、この事故は、決して福島県だけの問題ではないことを忘れない。原爆被爆者や水俣病に向けられたような差別を、福島の被ばくに生んではいけない。
 第6に、原発再開、新規設置、途上国への原発輸出は、到底容認できない。これに対するあらゆる努力をしよう。地元選出の国会議員などに直接声を届けることも有効。
 
 5月くらいから、「ヒマワリに除染効果があるらしい。チェルノブイリでも使われたらしい」という「らしい」のまま、種まき活動が盛んになった。事際、多くのヒマワリが福島に植えられたという。しかし、9月に農水省が除染効果がないと発表した。浅見輝男は、8月に公刊した著書7)でチェルノブイリでの使用事例、論文は見いだせず、どこからこのような話が出されているのかと疑問視している。これからも、この様な意図的、非意図的な怪情報が飛び交うことであろう。科学的な見方、考え方ができるように努力する必要がだれにも求められる。
 
その1、終わりーーーその2へつづきますーーー
 

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