若田光一 宇宙ブログ

国際宇宙ステーションに長期滞在している若田光一が日常を語る

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国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の組立てを締め括るミッションである、スペースシャトルエンデバー号によるSTS-127(ISS 2J/A)は順調に進んでいます。

このフライトでは17日(金)のISSとのドッキング後、複雑な船外活動とロボティクスによるISS組立作業が連日続きました。

19日(日)には、エンデバー号の貨物室に載せて打ち上げられた「きぼう」の船外実験プラットフォームをISSのカナダアーム2を使って「きぼう」の船内実験室に取り付けた後、つくばの地上管制局からの遠隔コマンドによりその起動を行い、「きぼう」が完成しました。

今回取り付けた船外実験プラットフォームは、ISSでの無重力環境に加え、宇宙空間に曝露された特殊な環境を利用した様々な実験や観測を行う能力を持つ設備で、地球や天体の観測、宇宙環境の計測、通信や材料の分野を含む理工学実験などに活用できます。

1985年に日本がISS計画に参加して以来24年になりますが、昨年3月の土井宇宙飛行士らによる「きぼう」の船内保管室の取り付け、同6月の星出宇宙飛行士らによる「きぼう」の船内実験室とロボットアームの取り付けに続いて、つくばやヒューストンの地上管制チームの皆さんと力を合わせて「きぼう」の軌道上組立てを完了することができたことを本当に嬉しく思います。

長年に渡って開発そして運用に参加なさった多くの方々のご苦労の結晶として、世界に誇れる優れた有人宇宙実験施設である「きぼう」が無事完成したのだと思います。

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「きぼう」の船内実験室の窓から見える船外実験プラットフォーム


21日(火)には、今度は「きぼう」の船外パレットの取り付けをISSのカナダアーム2を使って行いました。

そして23日(木)は、船外パレットに載せて宇宙に運ばれてきた2つの観測装置と通信装置を、「きぼう」のロボットアームを使って「きぼう」の船外実験プラットフォームに取り付けました。

2つの観測装置とは、宇宙の彼方から届くX線を、大きな視野で観測する「MAXI」と、人体や電子機器に影響を与える宇宙放射線や材料を劣化させる原子状酸素など、ISSを周囲の環境を観測する「SEDA」です。

この作業で活躍したロボットアームや、装置の取り付け機構、通信機器、観測装置などは全て日本が開発したメカです。

初めて宇宙で使用されたメカもありましたが、開発技術者や運用を担当するフライトコントロールチームの方々と軌道上クルーの間の完璧なチームワークのおかげで取り付けを終えることができました。

私も宇宙飛行士になってから「きぼう」のロボットアームの開発にも参加してきましたので、そのロボットアームを実際に宇宙で使って行う組立て作業を担当できたことは本当に夢のようです。

22日の日食をご覧になった方もいらっしゃると思いますが、ISSからは軌道の位置の関係で、皆既日食は残念ながら見えませんでした。

皆既日食が確認できた地域から約2000km離れた場所を通過した際に、太陽光反射が弱くなっているように感じられた地表面が見えた程度でした。

宇宙滞在も137日目を迎え、着陸までもうひと踏ん張りです。

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完成した「きぼう」日本実験棟

(写真提供:NASA)
「きぼう」日本実験棟組立ての第3便であるスペースシャトル「エンデバー号」によるSTS-127 (ISSフライト2J/A)が無事打上げに成功しました。

技術的な問題や悪天候で打上げが遅れていましたが、いよいよ「きぼう」組立てを完了させる重要なミッションが始まったのです。

このミッションでは、「きぼう」の船外実験プラットフォームや船外パレット、さらにペイロードの取り付けをカナダアーム2や「きぼう」のロボットアームを使って行う作業を担当しています。

その任務の重大さに改めて身が引き締まる感じです。

エンデバー号の打上げを待つ間、ISSでは様々な実験を継続して行っていました。

例えば、ヨーロッパ宇宙機関のコロンバス実験棟での「InSPACE-2」や「3D-SPACE」という実験。

InSPACE-2の実験は、磁力に反応する物質を含んだ流体を使い、その流体の周囲に発生させる磁力線の強度や、周波数によってその流体の機械的或いは電気的な特性をコントロールするための実験です。

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そこから得られる技術成果は、電気クラッチやブレーキ、ロボット、エンジンなどの振動制御システムへの応用が期待できます。

慎重に実験装置を組み立て、アメリカ・アラバマ州ハンツビルにある地上管制局の支援のもとで、条件を少しずつ変えながら次々に実験を進めていきます。

地上管制局にいる実験提案者チームの皆さんの目となり手となりながら宇宙で実験をしていく事は、とてもやりがいのある仕事です。

3D-SPACEの実験のほうは、無重力環境が人間の視覚による空間認識にどのような変化をもたらすかを調べる実験です。

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こちらの実験はドイツのミュンヘンにある地上管制局と交信を行いながら作業を進めていきます。

宇宙での様々な作業、特にロボットアームや宇宙船ドッキングなどの作業では、正確な視覚による空間認識が要求されるため、この実験の結果は様々な宇宙システムの運用に関しても興味深いデータを提供してくれると思います。

また、「きぼう」の窓からMoon Scoreというテーマの月の記録映像の撮影を行いました。

撮影された月とその背景の大気層の数多くの写真は、画像処理されて音楽になるというプロジェクトです。


帰還のための荷物整理などの最終的な準備も始めています。
ISSでの宇宙飛行士の仕事内容は多様です。

様々な実験やISSを構成する環境制御や熱制御等の各システムのメンテナンス、船外活動やロボティクスを使用した作業、広報や教育イベントへの参加、プログレス貨物輸送船ドッキング時のモニター、さらにはソユーズ宇宙船による飛行を行うこともあり、毎日が新しい発見に満ち溢れています。

軌道上の休日として割り当てられている時間を使って行う「ボランタリー・サイエンス」という作業もあり、3月からの長期滞在中、週末に様々な「ボランタリー・サイエンス」作業に参加してきました。

例えば7月11日(土曜日)には、アメリカのデスティニー実験棟の中で、SPHERES(Synchronized Position Hold, Engage, Reorient, Experimental Satellites)という人工衛星の制御実験に参加しました。

これは、写真にあるような二酸化炭素のガスジェットを用いた直径約20cmの3つの人工衛星のモデルを使った実験で、様々なアルゴリズムによる人工衛星の編隊飛行や同時に多数の人工衛星を制御する技術に関する実験です。

アメリカ・アラバマ州ハンツビルにある地上管制局からの指示と支援を受けながら、種々の制御モードでの編隊飛行を行い、実際の人工衛星の動作確認を行いました。

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また、ISSの無重力下でリラックスするためにヨガを何度か試みていますが、地球上とは異なり、床や天井、側面の壁を3次元的に効果的に利用して様々なポーズができるのも興味深いです。

ヨガは宇宙でも手軽にでき、短時間で体と心をリラックスさせてくれます。ヨガの「木のポーズ」も無重力ではこんな感じになります。

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2009年7月12日

3月から始まったISS長期滞在では、「きぼう」日本実験棟をはじめ各国の実験モジュールの中で、ライフサイエンスや材料科学などの興味深い実験を行いました。

特に「きぼう」での実験については飛行中、「JAXA軌道上実験主任」(JAXAサイエンス・オフィサー)として実験運用に参加してきました。

軌道上実験運用での宇宙飛行士の役割は、実験装置のセットや試料の交換などが主な仕事で、「きぼう」での多くの実験はつくば宇宙センターから遠隔操作で行われます。

私たち宇宙飛行士には、実験提案者の方々や地上の実験運用チームの皆さんの軌道上での「手」となって、実験の準備や実施を確実に行うことが要求されます。

これまで私が参加した「きぼうで」の実験のいくつかをご紹介しましょう。

「きぼう」の細胞培養装置を使った、生物の形態形成における重力影響(両生類培養細胞による細胞分化と形態形成の調節(Dome Gene))実験。
これは、組織形成と遺伝子の働きを重力環境と微小重力環境で比較することで、生物の組織形成における重力の影響について手がかりを得る事を目的としています。

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細胞培養装置

先端材料の結晶成長実験(ファセット的セル状結晶成長機構の研究)。
これは、酸化物など最先端材料に使われるファセット結晶(平らな面を持つ結晶)の界面の成長過程や形態を詳細に観察し、結晶成長メカニズムを解明することが目的で、「きぼう」の流体ラックに組み込まれている溶液結晶化観察装置を用いて実験が行われました。

氷結晶成長におけるパターン形成(Ice Crystal)実験は、微小重力下で氷の結晶を成長させ、なめらかな形をした円盤状結晶から凹凸ができる過程を解明する実験で、溶液結晶化観察装置(SCOF)を使用して行われました。

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溶液結晶化観察装置

宇宙放射線計測実験では、「きぼう」船内の宇宙放射線環境の計測と私自身の宇宙飛行時の放射線被ばく線量を計測しています。

先日ご紹介した、ビスフォスフォネート剤を用いた骨量減少・尿路結石予防対策に関する研究には、自ら被験者として参加しています。

また、軌道上遠隔医療の技術検証(軌道上における簡易型生体機能モニターの検証)では、ホルター心電計とハイビジョンカメラの実用性を検証し、軌道上の遠隔医療の充実を図る事を目的としており、私も被験者として参加しています。

これらの実験は、日常生活をより豊かにできる新しい技術に応用されたり、人間が宇宙での活動領域を拡大させていくために必要な新たなデータと知見を与えてくれるものです。

「きぼう」は世界に誇れる優れた実験能力を持つ宇宙の実験室であり、「きぼう」を利用した様々な実験への参加は宇宙飛行士として最もやりがいのある仕事の一つです。

宇宙滞在も120日目となり、ISSに搭載されているJAXA宇宙日本食28種類の私の分の残りが少なくなってきました。

さばやいわし、カレーやラーメン、お吸い物など美味しい和食を宇宙でも楽しんでいます。

閉鎖環境のISSで長期に渡って慌しいスケジュールの中で仕事を続けている毎日ですが、やはり幼い頃から慣れ親しんだ食事をいただける事は、心理サポートの点からもとても効果が高い事を実感します。

「宇宙(そら)の旅、帰還遅れも至福かな、僅かな和食の残り見つけし」 若田光一

(アメリカ上空にて)

七夕

2009年7月7日

今日7月7日は七夕ですね。

一緒に飛んでいるクルーと一緒に願い事を短冊に書いてみました。

国際宇宙ステーションは軌道高度約350kmの地球周回軌道を飛行していますが、船内の電気を暗くして窓の外を覗くと、そこから見える星空のきらめきには圧倒されます。

天の川をはさんできらめく牽牛星・織女星の物語は、いまから2000年以上昔の中国の伝説だそうですが、吸い込まれるような暗黒の宇宙に三次元的に奥深く広がっている星々を眺めていると、目の前にあるものが空間としての存在だけでなく、まさに時空の拡がりとして実感できるのと同時に宇宙へ畏怖を感じます。

また、今日はクールアース・デーで、地球温暖化の防止や自然との共生に向け、みんなで地球環境を考え行動し、それを世界に対して広く発信していくことを目指して設けられた日です。

今後、地球環境のモニターと世界に向けたメッセージの発信ステーションとしての役割も、「きぼう」日本実験棟は担っていけると思います。

クールアース・デーに天の川を見ながら、皆さんと一緒に地球環境の大切さを一緒に考えたいですね。

梅雨に入り、日本上空を飛行するときに雲が掛かって写真を全く撮れない日が続いています。

梅雨明け頃には地球に帰還する予定なので、それまでに日本の晴れの日に上空を飛行できるといいなと願っています。

「ふるさとの姿見たしや梅雨の空、今日も白雲日本を覆う」 若田光一

(中国上空にて)

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