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2009年7月3日 昨日は、ソユーズTMA14宇宙船のISSドッキング位置を変更するために、約25分間に渡って、ソユーズ宇宙船に乗り込んでISSから一旦離れ、再ドッキングを行いました。 このソユーズTMA14宇宙船は、ISS第20次長期滞在クルーのパダルカ飛行士(露)とバラット飛行士(米)が乗ってきた宇宙船で、スペースシャトルでISSに往復する私にとっては、緊急避難用の宇宙船の役目も持っています。 今回のソユーズ宇宙船のドッキング位置の変更は、この9月にISSにやってくる第21次ISS長期滞在クルーの船外活動の準備の一環として行われたもので、パダルカ飛行士、バラット飛行士と私がソユーズに乗り込んで行いました。 パダルカ船長の完璧な手動操縦で、再ドッキングはとてもスムーズでした。 ソユーズ宇宙船がISSから離れていく時、窓の外には、姿勢制御用のジェットから出る燃料が、宇宙空間を飛び回るホタルのようきらきら輝いて見えました。 ソユーズ帰還モジュールの中は、3人が着席すると身動きできないほど狭い船内ですが、そのシステムの隅々に至るまで、長年の運用経験を通して何度も改良が加えられてきた熟成度を感じます。 今回のISSでの長期滞在では、スペースシャトル・ディスカバリー号による打ち上げ、今回のソユーズTMA14による再ドッキング、今月末に予定されているスペースシャトル・エンデバー号による帰還と、3つの異なる宇宙船で飛行する機会が与えられたことに加え、それぞれの宇宙船の異なるクルーと、運用を支えてくれるそれぞれの宇宙船の地上管制チームの皆さんと一緒に仕事ができることは貴重な経験です。 ソユーズ宇宙船の窓から見えた月の光もとても印象的でした。 「闇に浮く青き地球に沈みゆく月の金色かぐやを想う」若田光一 (エジプト上空にて) |
若田光一 宇宙ブログ
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2009年7月1日 宇宙の生活も107日を越えました。 微小重力の環境下では、地上にいるときのように1G の重力の下で体を支えるための負荷が骨に掛かりません。 そのため健康体であっても、高齢者の骨粗鬆症患者の約10倍の速さで骨のカルシウム成分が骨から血中や尿の中に溶け出します。 これまでの長期滞在をした宇宙飛行士研究のデータによれば、大腿骨や腰椎の骨密度は1か月で平均して約1.0〜1.5%のペースで減少することが指摘されています。 また、カルシウム成分は尿路結石の原因にもなります。 軌道上で私たちは、トレッドミルや自転車漕ぎ装置、筋力訓練装置で毎日約2時間の運動を行っていますが、軌道上での運動だけでは骨密度の低下は防げません。 地上での骨粗鬆症に対する治療薬として使われているビスフォスフォネートと呼ばれる薬がありますが、私は今回のISS長期滞在で、ビスフォスフォネート剤を宇宙で定期的に服用して、飛行前後での骨密度の変化を調査し、宇宙での骨密度低下を予防するための日米共同の研究に被験者として参加しています。 ISSでの宇宙長期滞在や今後の火星有人飛行などに向けても、骨密度低下の予防や対策の研究はとても重要ですが、骨密度低下の抑制は、地上で骨粗鬆症に苦しむ多くの方々にとっても重要な研究テーマだと思います。 (ニューカレドニア上空にて) |
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2009年6月21日 ISSは現在約350kmの軌道高度を飛行中で、地球を約1時間半で一周するので、1日に地球を16周します。 ISSの軌道面は地球の赤道面に対し51.6度傾いているため、ISSが通過するのは北緯51.6度から南緯51.6度までの範囲です。 「きぼう」の窓から見える、暗黒の宇宙に浮かぶオアシスのような青い水惑星、地球。 その地球の昼と夜の光景から受ける印象は対照的です。 約45分おきにやってくる夜明けと日暮れ。 太陽の当たっている昼間側の地球には、コバルト色から深い藍色に至るまで鮮やかな色をした青い海、強い風が吹いていることを連想させる砂漠の筋や立ち昇る白い積乱雲、噴煙を巻き上げる火山など、大自然の力強い息吹がはっきりと感じられます。 一方、夜の側の地球の光景は、明るい豆電球をちりばめたような眩いばかりの都市の明かり、人間の科学技術力を象徴しているような光がとても印象的で、人間の地球環境に与える影響力の凄まじさを物語っているかのようです。 宇宙を飛行していると、思いがけない地球の光景に出会うことがあります。 この火山噴火の写真は、6月12日に千島列島上空で撮影した写真で、噴煙の頂上部に大量の水蒸気が立ち上っている様子が分かります。 こちら写真はエジプトのカイロで、写真中央にピラミッドが3つほど小さく見えます。 この写真からは、軌道上で大気層を通さずに直射する太陽が、ぎらぎらと輝く灼熱の白球のように見えることがお分かりいただけると思います。 こちらは南米の東側を通過した時に撮影したオーロラの様子です。 ISSからは見えるオーロラは薄い緑色のものがほとんどです。 地球はいつまで眺めていても決して飽きることのない様々な豊かな表情を見せてくれます。 「故郷(ふるさと)の水惑星を包み込み青き大気の光輝く」 若田光一 (イタリア上空にて)
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打上げが約1ヶ月延期されたSTS-127は、「きぼう」組み立ての締めくくりになる重要なミッションです。 微小重力に加え、宇宙空間の高いレベルの真空環境を利用した実験や、天文観測装置などが搭載できる船外実験プラットフォームや、実験装置と通信システムを搭載した船外パレットの取り付けなど、5回に渡る船外活動とロボティクスを駆使した複雑な組み立て作業が目白押しの飛行になります。 また、STS-127ミッションの打上げ時期の延期に伴い、ソユーズTMA18宇宙船のドッキング位置の変更のために、実際そのソユーズ宇宙船に乗り込んで、一旦ISSから離れ、再度別のドッキングポートにドッキングする作業にも参加することになりました。 ソユーズ宇宙船で飛行するのは初めての経験になるので、とても楽しみです。 ソユーズ宇宙船。大気層に包まれた地球が美しい |
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2009年6月20日 水素漏れのトラブルが原因で、スペースシャトル・エンデバー号によるSTS-127の打上げが約1ヶ月延期され、私の地球への帰還もさらに1ヵ月遅れることになりました。 食糧や水、酸素などの必要物資のストックは十分にあり、軌道上の作業は計画変更を行い順調に進んでいます。 打上げ延期の知らせは、17日朝起床後、ヒューストンのミッションコントロールセンターからの連絡で知りました。 STS-127での「きぼう」組み立てミッションに向けて綿密な最終準備を行ってきましたので、その打上げが遅れたことは残念ですが、与えられた軌道上での時間を有効に使い、ISSでの更に充実したシステムや実験の運用と、「きぼう」の最終組み立てに向けて気を引き締めて作業を行っていきたいと思います。 帰還が延びた分「きぼう」を利用した仕事がさらにできるので、とても幸運に感じています。 (スペイン上空にて) |







