Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2008年

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9月7日―その2

 今夜は自宅でDVDをもう一本。市川崑監督『億万長者』(新東宝、1954年)。製作は青年俳優クラブ。音楽は団伊伊玖磨。安倍公房も脚本に協力している。
 主人公(木村功)は小心な税務署の徴収係。月給は手取りで9006円である。受け持ちの貧乏人たちから税金を徴収しようとしても、うまくいかない。彼らは実際に貧乏で、しかも18人とか23人とかの子沢山である。中には、広島で家族を亡くし、平和のために原爆を開発しようとしている日雇い労働の娘(久我美子)もいる。
 他方、税務署長(加藤嘉)や他の同僚は、政治家(伊藤雄之助)や実業家と汚職に明け暮れている。赤坂の芸者(山田五十鈴)に唆されて、主人公は同僚たちの汚職と脱税の資料を作成する。それが偶然、検察の手にわたって、政治問題にまで発展してしまう。
 全編、痛烈なブラック・コメディである。
 「そんなことを言うと共産党員だと思われるぞ」――こんな科白が溢れている。
 子沢山の失業写真屋(信励三)一家は、最後に拾ってきたマグロを食べて、皆死んでしまう。「原爆マグロ」だったのである。そう、この映画が作成されたのは、第五福竜丸が被爆した年である。
 このラストシーンを新東宝が削除しようとしたので、市川監督はクレジットから自分の名前を削ったというエピソードまでついている。
 他に、左幸子や岡田英次、北林谷栄など。原泉が老婆役で登場する。この人も昔から老け役だ。


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