Koji Murataの映画メモ

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邦画 2008年

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10月12日

 今夜は自宅で松山善三監督・脚本『名もなく貧しく美しく』(東宝、1961年)。
 秋子(高峰秀子)は聾唖者で、戦後すぐに夫(高橋昌也)に死なれて、実家に追い返されてしまう。そんな秋子が聾学校の同窓会で、片山道夫(小林桂樹)というまじめな青年と出会い、二人は結婚する。二人は赤ん坊に恵まれるが、耳が聞こえないため、夜中に赤ん坊を死なせてしまう。
 それでも、靴磨きをしながら、必死に働く二人。やがて、二人は一郎という男の子を再び授かる。秋子の母(原泉)も子育てを助ける。だが、大きくなるにつれて、一郎は聾唖者の両親、特に母親を厭うようになる。その上、秋子の弟(沼田曜一)は前科者のヤクザで秋子夫婦に迷惑をかけ続け、姉(草笛光子)は家出した上に香港人の妾になっている。
 一郎も小学校高学年になってくると、ようやく両親に思いやりを持ち始める。家計も少し楽になってきた。そんな折、秋子が昔助けた戦災孤児が立派な若者(加山雄三)に成長して、秋子の留守中に訪ねてくる。知らせを聞いて家に駆け戻る秋子。だが、その時、耳の聞こえない秋子はトラックに轢かれて死んでしまう。一郎はいつまでも母を忘れないと誓うのだった。
 秋子と道夫が手話で話すシーンには、字幕が付されている。
 一郎は「お富さん」や「芸者ワルツ」を口ずさんでいる。戦後の、私が生まれる少し前までの時期の風俗が、よくわかる。
 耳の聞こえない夫婦に景品でラジオが当たる皮肉。そこからはドラマ「赤銅鈴之助」が流れており、一郎だけがそれを楽しんでいる。
 重く悲しいストーリーだし、とりわけ、ラストは辛い。だが、感動と希望を与えてくれる。
 さすがは、木下恵介監督の愛弟子・松山善三である。因みに、本作は松山の監督第一作。松山は主演の高峰の夫でもある。作中の夫婦愛は、彼らの夫婦愛の投影でもあろう。
 原が善良で気丈な老母を好演しいる(いつもは、意地悪な役が多いのに)。高橋昌也は最初だけの登場だが、これも懐かしい。昔はテレビ・ドラマでダンディな初老の紳士をよく演じていたものだが。
 この作品を観たのは初めてだったが、子供の頃からタイトルだけは知っていた。昔は、それだけ知られた作品だったのでしょうね。 

閉じる コメント(3)

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戦災孤児だった若者が成長して高峰に会いに来るシーン、ラストにチョッとしか出ない加山雄三が印象的でした。ラストはトラックに轢かせなくてもよかったのに・・・と思ってしまいましたが。

2008/10/13(月) 午前 7:56 瀧野川日録

現代では死語に近い「清貧」を表現した、もの悲しいけれどとても美しい日本語のタイトルだと思います。

2008/10/13(月) 午後 9:56 [ mar*nba* ]

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小林桂樹さんのセリフはなく、全編の半分以上に字幕が付いていました。細かいところまでこだわって、丁寧に作られています。秋子の母親が耳の聞こえない夫婦を絶えず支え、そのおかげで子供をりっぱに育てていきます。ラストが悲しいですが、希望を持たせた終わり方で、ちょっぴりほっとしました。
このころの松山善三さん、写真で見るとかっこいいですね。高峰秀子さんが惹かれたのもわかる気がします。

2012/4/28(土) 午前 8:14 [ 金歯 ]


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