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自宅でDVD。セルゲイ・エイゼンシュタイン監督・脚本『イワン雷帝』(ソ連、1944−46年)。
せっかくロシアに行ったものですから。
モスクワ大公イワン4世(ニコライ・チェルカーソフ)は、祖国の統一と領土の回復のため、ロシア皇帝として即位した。大貴族の間には抵抗が根強かったが、イワン皇帝は専制君主として振る舞い、タタール人の侵略を退けた。一時は病に冒され危篤となるも回復、皇帝は反抗的な貴族を処分していく。だが、これに反発した叔母が皇后アナスタシア(リュドミラ・ツェリコフスカヤ)を毒殺、皇帝は失意のあまり一時はモスクワを離れる。しかし、民衆は彼の復帰を願い、皇帝は民衆から親衛隊を創設して、モスクワに戻る。ここまでが第一部である。
第二部では、貴族の反抗が一層激しくなる。イワン皇帝は僧籍に入ったかつての親友に助力を求めるが、彼は皇帝の残虐行為を罵り、処刑されてしまう。やがて、皇帝の叔母はついにイワン暗殺を決意する。しかし、宮殿で刺客に殺されたのは、皇帝のマントを羽織ったイワンの凡庸な従兄弟ウラジミル(バーヴェル・カドチンコフ)だった。実の子を殺したと知り、叔母は発狂する。
志高い青年から狂信性を帯びた中年までのイワン雷帝を、チェルカーソフが渾身の演技で表現している。権力者の孤独がしみじみと伝わってくる。
「カリガリ博士」のような陰影に富んだ映像で、ラストの30分ほどでは赤を基調とした鮮明なカラーに変わる。
この作品は、歌舞伎の影響を強く受けた由。歌舞伎の初の海外公演は実はソ連で、1928年のことです。そこに、バレーやサーカスの要素も加わっている。
ロシアがまだまだ大国とはいえず、カザンやポーランドに侵略され翻弄されていた時代の壮大な叙事詩です。だが、スターリン批判ととられて(そりゃ、そうだろう)、12年も上映が禁止されていたそうです。
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