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テアトル新宿で新藤兼人監督・脚本『一枚の手紙』(近代映画協会、2011年)。
戦争末期の海軍で、松山(豊川悦司)は戦友の森川(六平直政)に、妻からの一枚の手紙を見せられる。自分が戦死したら、確かに手紙はもらったと妻に伝えてくれ、と森川は松山に頼んだ。上官によるくじ引きで、松山は内地に留まり、森川はフィリピンで戦死した。
森川の妻・友子(大竹しのぶ)は夫の戦死後、貧しい家を守るために、夫の弟と再婚するが、弟も出征して戦死した。義父(榎本明)は病で亡くなり、義母(倍賞美津子)は自殺する。友子は戦争を呪いながら、一人生きていく。
松山が無事に復員してみると、妻(川上麻衣子)は父と肉体関係をもち、大阪に逃げていた。絶望した松山はブラジル移住を考えるが、森川の手紙を発見して、友子に会いにいく。
松山と友子は森川の思い出を語り明かすが、友子に思いを寄せる村の実力者(大杉漣)が松山に喧嘩をしかけるのだった。
他に、津川雅彦も。
『裸の島』を連想させるシーンもあり、新藤の映画人生の集大成として評価すべきなのだろう。
「影を慕いて」が効果的に用いられている。
しかし、後半はストーリーも大竹の演技もエキセントリックになっていく。
そもそも、昭和の初めの田舎の女性が、ペン習字のような字を書くことに、リアリティがない。
森川は妻を「彼女は」と呼んでいるが、百姓が妻を「彼女」と呼ぶはずはない。
最後に聖書の「一粒の麦」というのも、わざとらしい。
黒澤も木下恵介も市川崑も、残念ながら、巨匠の最後の作品が傑作だったためしはない。
ちょっと厳しすぎるかない、ごめんなさい。
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