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1月21日
久しぶりに京都ミナミ会館に足を運ぶ。溝口健二特集をやっているからだ。溝口の代表作は割合観ているので、今日は『夜の女たち』(1948年)を鑑賞した。敗戦直後の大阪を舞台に、田中絹代をはじめとする三人の姉妹が「夜の女」に身を堕していく物語である。
これまで観た溝口映画の中で、もっとも陰惨だった。類似のテーマを扱った遺作『赤線地帯』(1956年)には、どこかコミカルなところがあったが、この作品にはそんな節は微塵もない。「ワイは男という男に復讐したるんや」と、田中は怨嗟の言葉を繰り返す。「夜の女」によるリンチも壮絶。彼女たちの隠語では、リンチは「ご馳走」と言うようだ。映画のラストシーンで、そのリンチが教会の焼け跡のマリア像のステンドグラスの前で展開される。
一つの映画の中で、貞淑な妻にして母親の役から闇屋の社長の愛人、そして「夜の女」まで演じ分ける田中絹代というのは、すごい女優だなあと、改めて感心した。未亡人になった田中に売春を斡旋する古着屋の女将に毛利菊枝、“やり手婆あ”に浦辺粂子が扮している。この芸達者の二人はすでに故人だが、前者は1903年生まれ、後者は1902年生まれである(つまり日露戦争開戦前)。
この映画は1948年の作品だから、この「夜の女」たちが働いた青線地帯はもとより、合法の赤線地帯(1956年)も猖獗を極めていた。悲壮感は一層だったろう。
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実は私、「夜の女たち」と「赤線地帯」は溝口自身による「祇園の姉妹」のセルフリメイクではないのかと、にらんでおります。
2008/2/2(土) 午前 11:38 [ sim*7*050 ]