Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

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8月13日

 今日は卒業生が何人か我が家に来てくれて、大掃除。その後、DVDを一本観賞。
 世がオリンピック一色だからというわけでもないが、カーク・ダグラスの出世作『チャンピオン』(1949年、アメリカ)である。監督はマーク・ロブソン、政策はスタンリー・クレイマー。
 貧しいミッジ(ダグラス)と兄コニー(アーサー・ケネディ)は、ヒッチハイクをしながらロサンジェルスに向かっている。そこで出合ったのが、プロボクシングのミドル級チャンピオンのダンとその愛人グレイス(マリリン・マクスウェル)である。やがて、ミッジは試合の代役に起用され、善戦する。そんな彼を辣腕マネージャーが発掘し、ミッジはみるみるうちにスターになっていく。ミッジはついにダンを破って、チャンピオンの座までを手に入れる。
 だがその間に、ミッジは妻を捨て、グレイスを踏み台にし、マネージャーを裏切り、新しいマネージャーの妻と不倫し、兄と決別する。母の死にも間に合わない。元チャンプのダンが復帰をかけて、ミッジに試合を挑む。ミッジは追い詰められながらも逆転勝利を果たすが、その直後に控え室で落命する。コメントを求められた兄のコニーは、「弟は本当のチャンピオンだった」と語り、その場を去って行く。
 よく言えば、藁しべ長者のような話で、周囲の人々の善意を踏み台にして、主人公は出世していく。「俺はミスターと呼ばれたい」と、貧しい若者は夢見ていた。だが、最後には何もかもを失ってしまう。
 兄のコニーは良心を代表しており、実はミッジが捨てた妻に心を寄せている。「愛はコートとはちがう。簡単には脱げないよ」と、ミッジへの思いを断ち切れない女に、コニーは優しい言葉をかけるのだった。
 カーク・ダグラスは今年の末で92歳になるようです。ベラルーシから移民したユダヤ人一家の出身とか。
 亀田兄弟の試合より、はるかに見応えのある作品だと思います。

8月12日その2

 今夜は自宅でDVD、成瀬巳喜男監督『銀座化粧』(東宝、1951年)。
 一人息子を育てるため銀座のバー「ベラミイ」で働く中年女給(田中絹代)が主人公。彼女のもとには、昔世話になったが今や零落した男(三島雅夫)が時々金を借りに来る。他方、バーの元同僚の一人(花井蘭子)は大坂の金持ちの愛人として、安定した生活を送っている。
 主人公は、この元同僚に頼まれて、元同僚が心を寄せる田舎の金持ちの若者(堀雄二)の東京見物に付き合うが、主人公までこの純真な若者に惹かれてしまう。だが、若者は主人公の妹分の女給(香川京子)と意気投合し、結婚の約束をする。
 結局、主人公は子育てこそ生きがいと悟り、また銀座に向かっていく。
 他に、下宿屋の主人に柳栄二郎、主人公を妾にしようとする実業家に東野英治郎、主人公に惚れている道楽息子に田中春男など、新派ベテラン陣のオンパレード。
 のちの『女が階段を上る時』をずっとアットホームにした感じの作品。田中絹代と堀雄二のコンビは、溝口監督『お遊さま』をも連想させる。
 東野演じる好色実業家は5000円を手付金にして、主人公を愛人にしようと、倉庫の中で迫る。「ベラミイ」のマダムは50万円の借金で店を手放しそうになる。「ベラミイ」とか「クレオパトラ」とか、いかにも昔風の店名がいい。
 戦後すぐの銀座の風物が描かれており、バーに子供が花を売りに来たり、バーで子供が歌を歌っているのには驚く。
 田中春男が長唄「越後獅子」を途方もなく下手に歌うシーンは、秀逸。

8月12日その1

 今日は大坂・九条のシネ・ヌーヴォに足を運んだ。目下市川崑監督特集をやっている。市川は幼少期を九条で過ごした由。
 今日観たのは、『プーサン』(東宝、1953年)。横山泰三の漫画が原作で、横山や音楽の黛敏郎も作中に登場するらしい(確認できなかった――黛はカン子の恋人役、横山は警官役らしい)。
 主人公のプーサン(伊藤雄之助)は、大学は出ているものの、一向にうだつの上がらない予備校の数学教師で、何気なくデモに参加したため逮捕され、予備校もクビになってしまう。下宿先の娘で銀行員のカン子(越路吹雪)に惚れているが、まったく相手にされない。ようやく臨時雇いの再就職が決まり、プーサンは早朝の街をとぼとぼと出社していくのだった。
 下宿先の夫妻に藤原鎌足と三好栄子。この三好演じる夫人が強烈。予備校生に小泉博。懐かしい!往年の『クイズ・グランプリ』の司会です。予備校生の叔父で元戦犯の政治家に菅井一郎。近所の交番の警官役に小林桂樹、若い医者に木村功、看護婦に八千草薫、結核を病む東大生に平田昭彦(平田は実際に東大卒)、予備校の院長に加東大介、他にトニー谷、杉葉子など、懐かしい顔ぶれのオンパレード。
 大卒でもまともな職につけず、結核病みの東大生がデパートの店員になろうとし、病院をクビになった医者が保安隊に再就職する。下宿先の主人は、中学校卒業なので税務署で出世できず、その妻は娘だけは大学出と結婚させようとしている。学歴が一つのテーマである。
 もう一つのテーマは戦争で、プーサンも従軍経験があり、彼の再就職先も機関銃の弾を作るミシン会社である。元戦犯も国会議員になってしまうのだ。何しろ、朝鮮戦争中の作品である。
 ラストでお堀端をとぼとぼ歩くプーサンの後姿は、チャップリンを彷彿させた。
 市川監督の遊び心とブラック・ユーモア、伊藤の怪演がマッチした佳作である。

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