Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

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9月1日

 今日から京都駅ビルでフランス映画祭が始まりました。京都とパリは姉妹都市です。
 というわけで、フランソワ・トリフォー監督『突然炎のごとく』(1961年)。
 パリでオーストラリア人のジュール(オスカー・ヴェルナー)とフランス人のジム(アンリ・セール9が出会い意気投合、親友になる。二人とも文学青年である。さらに、この二人がカトリーヌ(ジャンヌ・モロー)という奔放な美女と出会う。幸せな三角関係が続く。やがて、ジュールはカトリーヌに求婚するが、第一次世界大戦が勃発し、ジュールとジムは敵味方になる。
 終戦後、ジュールとカトリーヌはオーストリアで結婚生活を送っており、娘もいる。そこに、ジムが訪ねていく。懐かしい再会。だが、ジュールとカトリーヌの関係は破綻していた。ジュールはジムに妻と結婚するよう求め、カトリーヌもそれを望んでいた。
 だが、カトリーヌには他にも愛人がいた。彼女はジムと関係をもち妊娠するが、流産してしまう。こうして、ジムとの関係も終わった。再び、三人はパリで再会、カトリーヌはジムをドライブに誘い無理心中してしまう。妻に無償の愛を捧げ続けたジュールだけが、残されたのだった。
 白黒の淡々とした映像とナレーションが重なって、一編のポエムのような作品に仕上がっている。
 愛とは何か、夫婦とは何かを考えさせる。
 ジュールがカトリーヌに言う科白。「君を見ていると、昔観た東洋の芝居を思い出すよ。最初に皇帝が出てきて、こう言うんだ。『余ほど不幸な人間はいない。妻を二人もっているのだから」。
 オスカー・ヴェルナーは、『刑事コロンボ』の犯人役ではじめて観たのだが、この作品の頃はさすがに若い。彼の頼りなさが実にいい。ドイツ語のみならず、フランス語や英語も駆使するのだから、ヨーロッパの俳優は大したものだ。

8月31日その2

 夕食後、学生諸君がやってきて新藤兼人監督・脚本『第五福竜丸』(近代映画協会、1959年)を観賞。1954年3月に静岡県焼津のマグロ漁船「第五福竜丸」がビキニ環礁でアメリカ海軍の水爆実験に被爆し、23人が被害に遭い、無線長の久保山愛吉が死亡した事件を、ドキュメンタリー風に冷静に丁寧に描いている。
 久保山夫妻を宇野重吉と乙羽信子が演じ、他に愛吉の母に毛利菊枝、焼津の助役に殿山泰司、静岡県知事に小沢栄太郎、新聞記者に中谷一郎、医師たちに千田是也や三島雅夫、浜田寅彦など。浜田は東京第一病院での久保山の主治医役で、珍しく大きな役を好演している。被爆した若い船員役に、田中邦衛や井川比佐志の顔も。
 前半の漁場のダイナミックな様子と後半の病院の静けさが対比的。
 重たいテーマだが、決して説教くさくなっていない。宇野と乙羽らの演技が抑制されていて、一層効果的。事件から5年後に、こういう作品をよく作ったものだ思う。「原爆の子」の事実上の続編でもあろう。
 「原爆マグロ」というグロテスクな言葉を、久しぶりに耳にした。
 今では日本史の教科書に一言触れられているかどうかだが、この「第五福竜丸」事件が、当時の日本で国民的大事件であったことがよくわかる。
 因みに、水着のビキニの語源も、このビキニ環礁での水爆実験ほど大胆で衝撃的だということらしい。

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