Koji Murataの映画メモ

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12月31日

 大晦日ですね。私もこのブログに書き込んだら、神戸の実家に帰ります。
 今日は新京極シネラリーベで佐藤嗣麻子監督・脚本『K-20 怪人二十面相・伝』(東宝、2008年)。原作は北村想(作中に登場してるそうです)。
 太平洋戦争が回避され、華族制度が温存されたまま階級格差が拡大した1949年の日本(いわゆるヴァーチャル・ヒストリーですね)。
 帝都では、華族の美術工芸品を盗む怪人二十面相が世を騒がせている。男爵で名探偵の明智小五郎(仲村トオル)は、何度も二十面相と対決してきた。その明智が羽柴財閥の令嬢・葉子(松たかこ)と婚約することに。その式場に不敵にも二十面相が現れ捕らえられるが、実は、サーカスの曲芸師・遠藤平吉(金城武)で、謎の男(鹿賀丈史)に騙されて、二十面相に仕立て上げられてしまったのだ。
 無実を証明するため脱獄した遠藤は、サーカス仲間で泥棒の源治(国村隼)らの強力をえて、自らも泥棒の技術を会得していく。そんな彼が、本物の二十面相に誘拐されかかっていた葉子を救出、二人の間にはほのかな恋心が芽生える。どうやら、二十面相が狙っているのは、葉子の亡くなった祖父・羽柴公爵(大滝秀治)が密かに開発した無線送電システムだった。遠藤と葉子、それに明智も協力して、二十面相よりも先にこのシステムを発見しなければならない。二十面相はこのシステムを利用して、世界のエネルギー供給源を破壊し、世界の大改造を目論んでいるのだった。
 そして、二十面相の意外な素顔とは。
 1949年なのに、すでにテレビがあり東京タワーもそびえている。
 レトロとモダンが合流して、不思議な雰囲気を醸成している。サーカスというのもいい。
 強固な階級社会(封建制)を打破して、能力本位の社会の実現を、二十面相はめざしている。その意味で、二十面相の正体はナチズムと同じである。ダースベーダーのような、ナチの親衛隊のような、あるいは、バットマンのようなコスチュームも、それを示唆していよう。
 だが、遠藤平吉はそれを阻止し、貧者への富の分配を謳い、葉子もそれに共鳴する。つまり、彼らは社会民主主義者であり、ニューディーラーなのである。
 封建主義とナチズムと社会民主主義の三つ巴の戦い――ちょっとインテリ風の映画解説。「なるほど」と思うこともあるけど、ほんとかなというのも多いですね。
 いずれにせよ、安易なラストシーンが、この作品をB級のバットマンかインディージョーンズにしてしまっているのは残念。二十面相の正体も、割と早い段階で推察がついてしまう。

 因みに、羽柴嬢が泥棒の家を見て、「すてきなお部屋ですね。で、ご本宅はどちらですか?」と問うが、『ローマの休日』で王女様が新聞記者のアパートで目を覚まして、「ここはエレベーターの中?」と聞く科白を思い出しました。

 皆さん、今年も1年間お付き合いいただき、まことにありがとうございました。
 どうぞよい年を。
 また来年もご一緒しましょう。

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