Koji Murataの映画メモ

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 さて、三本目はフランス映画。ENTRE LES MURS. 「教室」または「クラス」といった意味だそうです。
 監督はローラン・カンテで、原作と主演は元中学校教師のフランソワ・ベドガー。
 2008年のカンヌ映画祭グランプリ受賞作品です。ドキュメンタリーではないが、ドキュメンタリー・タッチに仕上がっています。
 主人公が様々な人種からなるクラスを一学期担当する苦労物語です。フランス人の他に、中国人、アフリカ人、中東系と、実に多様です。フランス語の授業の例文で、フランス人の名前しか使われないと、生徒たちは文句を言います。父母と面談しても、親がフランス語を理解できない場合もあります。
 また、学校の重要な会議に父母が出席したり、学級代表の子供たちまで出席しているのには、驚きました。
 子供たちは反抗的ですが、教師は彼と真剣に議論しています。子供達も実によく自己主張します。中には、プラトンの『国家』を読んだという生徒もいました。
 主人公が感情に任せて生徒を「あばずれ」と呼んでしまう一幕もありました。そこから騒動が起こり、日頃から反抗的だった黒人の男子生徒が退学処分になってしまうのです。
 教育は必ずしもハッピーエンドにはなりません。
 それにしても、子供たちの自己主張し議論する力は、恐るべきです。
 日本の若者が少々算数に長けていても、国際的な駆け引きで日本人が劣勢になるのも無理はありません。
 日本の中学校はどこまで多様化しているのでしょうか。
 果たして、日本人の大学生(中学生ではありません)でプラトンを自発的に読む者が、どれほどいるでしょうか。

 さて機内2本目は、マーク・ハーン監督『縞模様のパジャマの少年』(イギリス、2008年)原作はジョン・ボイン。
 第二次世界大戦下のドイツ。8歳になるブルーノ(エイサ・バターフィールド)は、ナチス親衛隊将校の父(デヴィッド・シューリスク)の転勤で、ベルリンを離れて田舎に移る。のどかな田園生活のはずだったが、実は父はユダヤ人強制収容所の所長であり、一家の住居の近くに収容所があった。しかし、何も知らないブルーノは、それを「農場」だと思い、そこで働いている縞模様のパジャマの人々に好奇心を抱く。
 姉のグレーテルは急速にナチスの思想に傾斜していくが、母(ヴェラ・ファーガ)は夫やその部下コトラー中尉(デヴィッド・ヘイマン)のユダヤ人への残酷な態度を嫌悪し、子供たちへの悪影響を恐れる。
 ブルーノは「農場」のフェンス越しに同い年のユダヤ人シュムエル(ジャック・スキャンロン)と出会い、友達になる。ある日、シュムエルがブルーノの家の掃除で動員されてきた。ブルーノは友達にパンを与えるが、それをコトラー中尉に見咎められる。「こんな子は知らない、勝手にパンを盗んで食べたんだ」と、ブルーノは嘘をつく。
 ブルーノは友を裏切った贖罪感に襲われる。母の意向で一家が引っ越しする当日、ブルーノはシュムエルへの謝罪のため、「農場」の中に入っていく。
 今公開中なので、ラストまでは申しません。
 この作品でも、子供たちが好演しています。
 優しい父が、同時に残酷な司令官です。ブルーノも友を裏切ってしまいます。
 また、父の母(ブルーノの祖母)はナチスを嫌悪しており、父は保身のためにそれを隠さなければなりません。コトラー中尉の父も、ナチスを嫌ってスイスに亡命しています。夕食時にうっかりそのことを漏らしたコトラーは最前線に送られてしまいます。しかし、この冷酷な中尉もブルーノやグレーテルには優しいのです。
 人間の弱さと優しさなど、様々な二面性を考えさせる作品です。
 『ライフ・イズ・ビューティフル』を思い起こしました。

 ワシントン行きの機内で洋画を3本。
 といっても、一本目のジム・シェリダン監督『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』(イギリス、アイルランド、2003年)は、2週間ほど前に大連行きの機内で途中まで観たもの(その時は、終わる前に到着してしまいました)。
 ジョニー(パディ・コンシダイン)とサラ(サマンサ・モートン)の夫婦は、幼いクリスティ(サラ・ボルジャー)とアリエル(エマ・ボルジャー)を連れて、アイルランドからカナダ、そしてアメリカに入国する。ジョニーがニューヨークで俳優の仕事を得るためだが、実は一家は2歳になるフランキーという男の子を事故死させており、その辛い記憶を断ち切るためでもある。
 しかし、ニューヨークでの生活は厳しい。ぼろアパートには、エレベーターもクーラーもない。ハロウィン夜、二人の娘は隣家を巡るが、相手にしてくれたのは黒人アーティストのマテオ(ジャイモン・ハンスゥ)だけ。マテオとの交流で、一家は心を癒されていく。
 やがて、サラが妊娠した。しかし、出産には母体の危険が伴った。ようやく生まれた未熟児が鳴き声を上げた頃、不治の病に冒されていたマテオが、静かに息を引き取る。
 シャリダンの自伝的作品で、ハンディカメラを手にした長女クリスティが語り部。
 クリスティは三つだけ願い事をする。一つ目は無事にアメリカに入国できること、二つ目は父が大金を賭けたゲームで商品がもらえること、そして三つ目は、赤ん坊の誕生で一家が本当にフランキーにさよならが言えることである。
 1980年代の時代設定で、家族は映画館で『ET』を観ている。
 19世紀には大量のアイルランド人がアメリカに移民しました。ケネディ家もそうです。80年代に大統領だったレーガンも、アイリッシュです。今ではアイルランド系アメリカ人は700万人とも言われ、アメリカの社会と政治に大きな影響力をもっています。
 特に、警察官や消防士にアイルランド系が多い。9.11の犠牲者の多くもアイルランド系でした。
 隣人とジョニーとの会話。「おまえは警官か?」「ただのアイルランド人だ」「アイルランド人はみな警官だ」。
 シェリダンは二人の娘と脚本を書いていますが、娘の一人の名前が「ナオミ」でした。もしかしたら、妻が日本人なのでしょうか。
 クリスティとアリエルを演じたボルジャー姉妹、愛らしい好演でした。

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