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久々に自宅でDVD。しばらく軽量級の映画が多かったので、少し重みのある作品を。
吉田喜重監督『人間の約束』(1986年、キネマ東京他)。
東京郊外の閑静な住宅街。森本家は息子夫婦(河原崎長一郎と佐藤オリエ)、息子の老いた両親(三國連太郎と村瀬幸子)、それに子供たち(長男は杉本哲太)の三世代家族である。
その森本家で、長らく痴呆症を患っていた祖母が亡くなる。自然死ではない。自殺か他殺か。祖父は自分が妻を殺した、と告白する。しかし、彼も痴呆症である。息子は社内で不倫を続けており、妻は介護に疲れきっている。長男は「呆ければ、もう人間ではない」と断言する始末。父はこの息子を殴り、「人間には口に出してはならないことがある」と諭す。これが一つの「人間の約束」である。
実は、この家長が実の母を殺したのだった。老父の日記には「あいつが来てやった。あいつは死んだ」と記されていた。捜査に当たった刑事たち(若山富三郎と佐藤浩市)と課長(米倉)の会話。「尊属殺なら最高は死刑なのに、安楽死で情状酌量だと執行猶予になる」、「法律なんて所詮は人間が作った約束にすぎない」。ここでまた「人間の約束」である。
三國は当時まだ63歳だが、例によって見事な老け役。村瀬に頬ずりするシーンは感動的。村瀬も汚れ役を巧みにこなしている(呆けても、女であることを忘れない。それが時には美しく、しばしば醜い)。村瀬は1905年生まれだから、当時すでに81歳。93年に地方巡業中に88歳で亡くなったとか。なにしろ、築地小劇場に参加していた人です。
また、若山が老父役なら、どう老けるだろうとも想像してみる。
すでに若山も河原崎も逝った。三國(今年86歳)が去れば、戦後日本映画の一時代が確実に終わる。本当に、何度も書くが、なぜこの名優が文化勲章をもらわないのだろうか。三國と佐藤、親子共演ですね。
河原崎演じる長男の科白「男も50になれば先が見えてくる」。よく言われることですが、ふと思うと、私もあと5年で50歳です。さあ、どうしましょう。
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