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今夜は自宅でビデオ。木下恵介監督・脚本『風花』(松竹、1959年)。切ない音楽は木下忠司(監督の弟)。
信州の田舎で、名家・名倉家から花嫁が嫁いでいく。一方、青年が家を飛び出して、川に身投げを図り、母親がそれを止める。ここから母親の19年前の回想となる。
春子(岸恵子)は身分の違いを超えて、名倉家の長男と愛し合い子供まで身ごもる。だが、男は出征を控えており、二人は心中を図って川に投身する。春子だけが助かる。実父も自殺したことから、名倉家に引き取られるが、当主夫妻(永田靖と東山千栄子)は春子親子を使用人として扱い、冷遇する。生まれてきた男の子には、なんと捨雄と名づけるのである。
戦後の農地改革で、名倉家も没落し、当主も不遇のうちに死んだ。未亡人(東山)は息子(細川俊夫)夫婦を相手にせず、美しい孫娘のさくら(久我美子)に良縁を見つけて、家名の再興を期している。このさくらだけが、春子と捨雄(川津裕介)親子に優しかった。捨雄は名倉家を憎んでいるが、さくらを密かに愛していた。さくらは長野一の資産家の家に嫁ぐことになる。女学校時代の友人(有馬稲子)との会話から、さくらは自分も捨雄が好きだったことに気づく。一夜、二人は川べりで抱擁する。
こうして、冒頭のシーンにつながる。さくらが嫁いだのち、春子親子は名倉家を出る。春を前に小雪が風に舞う。これが「風花」である。
封建的な因習が二代にわたって男女の恋を引き裂く。木下監督得意のテーマである。
その封建主義と因習の権化を、東山は見事に演じている。永田もなかなかの貫禄。
時代が複雑に前後しながら、物語が進展していく。実験的だが、主人公の岸の見た目がほとんど変わらないのが難点か。
今から50年前の作品ですが、岸、久我、有馬と女優陣はみなご健在ですね。
他に、笠智衆も名倉家の下男の役で、前半に登場している。
木下監督作品は49本あります。私が観たことのあるのは、これでようやく20本です。
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