Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

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9月22日 邦画117

 今夜は自宅でもう一本ビデオを。これで邦画と外国映画を合わせて今年200本目の鑑賞です。
 成瀬巳喜男監督『薔薇合戦』(1950年、松竹)。原作は丹羽文雄。いわゆる「中間小説」の大家ですね。
 里見真砂(三宅邦子)は兄と勤務先の百合化粧品の乗っ取りを企てたが、背任に問われそうになり、兄は病死してしまう。真砂は財界の大物(新藤英太郎)に出資を頼って、ニゲラ化粧品を設立し、百合化粧品に対抗する。宣伝部長には辣腕の園池(鶴田浩二)をヘッドハンティングしてくる。
 真砂の次妹・雛子(若山セツ子)は大人しい性格で、園池に惹かれているのだが、姉の命じるままに社員の日夏(永田光男)と不幸な結婚をする。日夏は妻と園池の関係を勝手に嫉妬した上に、社内に愛人を作り、真砂社長によって札幌に左遷されてしまう。末妹の千鈴(桂木洋子)は自由奔放な性格で、アパート暮らしをして江島(大坂志郎)という冴えない雑誌記者と結婚を約束するが、実はこの男には妻子(妻は千石規子)があった。真砂は若い愛人の小島(仁科周芳=のちの岩井半四郎)を入社させ、会計主任に抜擢する。女社長と会計主任、それに財界大物との関係が、面白おかしく週刊誌を賑わす。江島の持ち込んだ記事だった。
 こうして、三姉妹それぞれが挫折を経験し、人生のやり直しを決意する。雛子と園池が結ばれる予感の中で、映画は終わる。
 占領下で製作された作品だが、会社乗っ取りや不倫、結婚詐欺など、刺激的な話題に富んでいる。およそ成瀬的ではない。いつもはお淑やかな三宅邦子が女実業家の役で意外性があるし、三姉妹はそれぞれ魅力的だ。だが、鶴田はやや単調な二枚目役にとどまる。大坂演じる情けない江島のほうが、印象が深い。
 そう言えば、若山セツ子は谷口千吉監督と離婚し、その後癌で闘病中に自殺しました。谷口の再婚相手が八千草薫です。事実は映画よりも奇なり、かもしれません。
 「ニゲラ」って、一体どういう意味でしょうか。

「ニゲラ」も花の名前だそうですね。「百合」に対抗して「薔薇合戦」なのか。三姉妹だから「薔薇合戦」なのか?

9月22日 外国映画83

 京都シネマへ。
 ヘルマ・サンダース=ブラームス監督・脚本『クララ・シューマン 愛の協奏曲』(2008年、ドイツ・フランス・ハンガリー)。ご想像通り、監督はブラームスの末裔との由です。
 映画が始まってすぐ、クララ・シューマン(マルティナ・ゲディク)のピアノ演奏会は成功のうちに終わる。クララの夫で著名な作曲家のロベルト・シューマン(パスカル・グレゴリー)はしかし、結婚指輪を落としてしまう。これを拾った若者が天才作曲家・ヨハネス・ブラームス(マリック・ジディ)である。すでに、三人の複雑な関係が提示されている。彼らの関係そのものが協奏曲になる。因みに、女優のゲディクはドイツ人だが、男優のグレゴリーもジディもフランス人のようだ。
 やがて、シューマンはデュッセルドルフの音楽監督に就任する。だが、「ライン」と題した交響曲の作曲に苦労し、中耳炎と幻聴に苦しめられる。シューマン夫妻のもとに、ブラームスが現れ、夫妻はこの若者の才能を愛し同居させる。ブラームスはクララを愛している。
 シューマンの交響曲は大成功を収めるが、彼の病は重くなる一方で、音楽監督も解任される。クララを経済的に支えたのは、今や著名になったブラームスだった。やがて、シューマンは精神病院に入院し、46歳で亡くなる。ブラームスはクララを抱擁しながら肉体関係は求めず、一生支えていくことを誓うのだった。
 実際、後年クララが亡くなると、ブラームスも後を追うようにして亡くなったそうです。
 シューマンは「ベートーベンの後継者」と紹介されていますが、天才が幸せに天寿を全うすることは、至難の業のようです。
 主演のゲディクは決して美人ではなく、若くもないのですが、落ち着いた魅力のあるクララを好演しています。
 クラシック好きの方にはお勧めの作品だと思います。
 

9月21日 邦画116

 撮影監督・宮島義勇の生誕100年記念とのことで、大阪・九条のシネヌーヴォに。「西の宮川(一夫)、東の宮島」と称され、「宮島天皇」とも呼ばれた人です。本人は共産党の活動家でしたから、このニックネームは皮肉ですね。しかし、左派や「リベラル」に実は権威主義者が多いことは、否定できない事実でしょう。
 吉村公三郎監督、新藤兼人脚本、宮島撮影『夜明け前』(近代映画協会、民藝、1953年)。原作はもちろん、島崎藤村。
 「木曽路はみな山の中である」という宇野重吉のナレーションと木曽路の風景で始まる。確かに、見事なカメラワーク。民藝総動員の作品でもある。
 幕末の馬込の宿。本陣と庄屋を兼ねる青山家の跡取り息子・半蔵(滝沢修)は、平田篤胤の国学に傾倒している。幕末・明治の時代の激動の中で、この街道と宿場を大名や新撰組、倒幕勢力、官軍など、多くの人々が通過していく。強欲な問屋に馬方(殿山泰司ら)が反抗する。この僻村でも時代の変化は避けられなくなっていた。
 青山家の当主となった半蔵は、明治維新で農民の生活が改善されると願うが、新政府も農民たちには冷たかった。役所に陳情にいった半蔵は、逆に戸長(村長)を解任されてしまう。国学の衰退も著しい。父を敬愛する娘のお粂(乙羽信子)は、嫁入り前でありながら、父に同情のあまり自殺未遂事件を引き起こす。半蔵も東京で天皇に直訴を企てるなど、行動が過激になってくる。やがて、長男(山内明)に家督を無理やり奪われ、座敷牢の中で、寂しい生涯を終えるのだった。
 時代の激動の中で、田舎の因習に雁字搦めにされた理想主義者の悲劇である。
 半蔵の父役には、伊達信。他に、細川ちか子、芦田伸介、菅井一郎、清水将夫、佐野浅夫、北林谷栄などなど。
 
 

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