Koji Murataの映画メモ

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10月19日 外国映画94

 東京のホテルで持参のDVD鑑賞。
 クリストファー・ノーラン監督『メメント』(2000年、アメリカ)。
 保険会社の調査員レナード(ガイ・ピアース)は、妻をレイプされた上殺され、自分も前向性健忘に陥る。事件後の出来事については、10分しか記憶が保てないのだ。そのため、彼はメモとポラロイド写真に頼り、重要なことは自分の体に入れ墨していく。
 レナードは復讐のため、妻を殺したジョン・Gという犯人を追っている。かつて、同じように前向性健忘を患ったサミーに保険金を払わず、その妻を死に追いやったことが、今となっては悔やまれてならない。「サミーを忘れるな」と、刺青にある。
 レナードはテディ(ジョー・パントリアーノ)という白人男性を殺す。なぜか。物語は、彼の記憶のように断片的に、しかも過去へと遡って進んでいく。テディの他にも、ナタリー(キャリー=アン・モス)という女性が登場し、レナードに協力する。どうやら、彼女も恋人を誰かに殺されたらしい。
 驚くべき結末が待っていた。映画の冒頭でレナードに殺されたテディは、レナードの妻の事件を担当した刑事だった。レナードの妻は九死に一生をえていた。だが、レナードは前向性健忘になり、糖尿病の妻にインシュリンを打ち続けて死なせてしまった。「サミーを忘れるな」。サミーには妻などおらず、レナードの記憶が自分の妻の死と混同してしまっていたのだ。
 しかも一年も前に、レナードはテディの助けを借りてジョン・Gを殺していた。それすら忘れたレナードはテディに利用され、麻薬の売人ジミーをジョン・Gと思い込んで殺した。ジミーこそナタリーの恋人だった。しかし、この第二の殺人すら、レナードはやがて忘れる。復讐を果たして自分の人生が目標を失うことを恐れ、レナードはテディが妻殺しの犯人であるかのメモを書きとめて、復讐劇を続けていたのだった。
 「メメント・モリ」はラテン語で「死を忘れるな」という意味だそうです。
 複雑なストーリーで、目が離せません。試されているのは、主人公の記憶というより、観客の記憶ですらあります。
 「記憶」(memory)と「記録」(record)のどちらが信用できるのか。これは歴史研究にとっても、興味深い問いかけです。
 主役のガイ・ピアース、たいへんな力演でした。

10月19日 外国映画93

 自宅でビデオ。
 フェデリコ・フェリーニ監督・脚本『81/2』(イタリア、1963年)。
 有名映画監督のグイド(マルチェロ・マストロヤンニ)は創作に行き詰まり、保養地に湯治に来ている。彼の少年時代の回想や幻想が、交差して物語は進む。現実の世界では、グイドは愛人とも妻ともうまくいっていない。彼の理想の女性クラウディア(クラウディア・カルディナーレ)も、現実と夢の双方に現れる。
 ついに、グイドは新作発表会で自殺するが、これも幻想。彼はようやく人々を愛することができるようになり、創作意欲を取り戻すのだった。
 折りに触れて、脚本家が登場し、グイドの作品と人生を酷評する。「自己しか慈しむことのできない人間は、やがて自分の感情に窒息して果てる」スタンダール『ローマ紀行』より。
 カトリックの枢機卿も登場する。彼曰く「人生に幸福はない」、「教会の外に救いなし」。グイドの科白、「幸福とは他人を傷つけることなく真実を語ることにある」。
 因みに、フェリーには『甘い生活』を製作して、カトリック教会から破門されています。
 創作できない芸術家と人を愛せず嘘を積み重ねる男の生活が、重複する。美しくも、不思議な前衛作品です。今観ても不思議ですから、発表当時のインパクトはさぞ大きかったでしょうね。

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