Koji Murataの映画メモ

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 自宅でビデオ。ジェーン・カンピオン監督・脚本『ピアノ・レッスン』(1993年、オーストラリア)。
 19世紀の半ばとのこと。エイダ(ホリー・ハンター)は9歳になる娘フロラを連れて、イギリスからニュージーランドに嫁ぐ。エイダは言葉が話せず、筆談とピアノがコミュニケーションの手段である。
 ところが、初対面の夫スチュアート(サム・ニール)は、エイダのピアノを浜辺に放置した上、未開の土地と交換にベインズ(ハーヴェイ・カイテル)という男に譲ってしまう。
 ベインズはエイダにピアノ・レッスンを求める。それだけではなかった。レッスンのたびに、ベインズはエイダに愛撫を与え、エイダもピアノを取り戻すために、これに耐えた。やがて、二人は本当に愛し合うようになる。
 スチュアートは妻に拒まれたままで、妻の不倫を知って激怒し、エイダの指を一本切り落としてしまう。翌日、エイダ親子とベインズは、島を小船で旅立っていく。エイダはピアノを捨てるよう求め、一度はピアノと一緒に海に転落するが、九死に一生をえて、ベインズとの新生活が始まるのだった。
 拒絶しながら燃え上がる女心の複雑さ。さすがは女性監督です。
 生身の人間への愛と言葉の回復努力によって、主人公はピアノへの執着から解放されます。
 叙情あふれる映像の美しさは、例えば近作『オーストラリ』などの比ではありません。
 主人公が言葉を発しないことも、一層彼女をセクシーにしているように思います。

 久々の邦画。東宝二条シネマで根岸吉太郎監督『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ』(東宝、2009年)。原作は今年で生誕100年を迎えた太宰治。モントリオール世界映画祭で最優秀監督賞を受賞した作品です。
 戦後ほどなく、作家の大谷譲治(浅野忠信)は酒に溺れ借金を重ねて、ついには行きつけの小料理屋・椿屋の夫婦(伊武雅刀と室井滋)から売上金を盗む。そのため、大谷の妻・佐知(松たか子)は椿屋で女給をすることになる。
 美しい佐知はたちまち店の人気者になった。純真な岡田青年(妻夫木聡)も佐知の虜になる。二人の仲を疑った大谷は、愛人(広末涼子)と心中未遂を引き起こす。新聞は大谷を「人非人」と書きたてた。さらに、大谷は殺人未遂の罪に問われ、佐知は旧知の弁護士・辻(堤真一)に助けを求める。辻は佐知の初恋の相手だった。
 弁護料を払えない佐知に、辻は肉体を求める。大谷は落胆するが、妻は「親子三人が生きていければいいじゃないですか、人非人でもいいじゃないですか」と、夫を励ます。
 もちろん、太宰自身が大谷のモデルで、ヴィヨンというのは破滅型のフランスの天才詩人の名前。
 副題の「桜桃とタンポポ」は主人公夫妻ことです。
 この夫婦の他人行儀な会話が、よくも悪しくも、作品から生活感を拭い去っている。これに対して、椿屋の初老の夫婦は生活実感の塊である。伊武は実に渋い。
 大谷が言う。「女は幸福でも不幸でもない。男は常に不幸だ」、「恐るべきことは、どこかに神がいるとうことだ」。
 大谷夫婦も、夫が虚無感と死を、妻が躍動感と生を体現している。
 松たか子の帯の位置が高すぎるのが、気になりました。
 

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