Koji Murataの映画メモ

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 引き続き、シネヌーヴォで、桝田利雄監督『二百三高地』(1980年、東映)。3時間の大作です。
 日露戦争の203高地攻略の物語。
 伊藤博文(森繁久弥)や児玉源太郎(丹波哲郎)、乃木将軍(仲代達矢)、それに明治天皇(三船敏郎)らの政戦略の物語と、民間から徴用された金沢・第九師団の兵士たち(新沼謙治や佐藤允、長谷川明男、湯原昌幸ら)の戦場での辛酸、それにロシアを愛する元小学校教師の中隊長・古賀(あおい輝彦)と恋人(夏目雅子)との愛が、重層的に描かれている。
 古賀は部下たちを次々に失って、ロシア人を心から憎むようになる。
 終戦後、乃木は皇居に参内して復命書の朗読中に泣き崩れる。彼も二人の息子を戦死させている。
 70年代後半によく見られた大型映画の一つだが、戦場のシーンはさすがに迫力がある。
 仲代と三船は黒澤映画で、仲代と丹波は『切腹』で対峙した間柄です。
 森繁の伊藤博文もうまい。そして、夏目が実に美しい。
 当時は戦争中に24時間の休戦があり、双方がプレゼントを交換したりしています。
 「愛は死にますか」というさだまさしの主題歌が懐かしい。
 大阪・九条のシネヌーヴォへ。森繁久弥特集です。
 川島雄三監督『暖簾』(東宝、1958年)。原作は山崎豊子。
 浪花屋は大阪で昆布を扱う老舗だ。奉公人の吾平(森繁)は若くして暖簾わけしてもらえることになった。小さいながらも自分の店を構えた吾平は、奉公人仲間だったお松(乙羽信子)と結婚しようと考えていたが、本家筋の勝気な娘・千代(山田五十鈴)を押し付けられてしまう。それでも、夫婦は二男一女に恵まれ、商売に打ち込んでいった。
 しかし、戦争で二人の息子は従軍し、店は空襲で焼かれてしまう。吾平が頼りにしていた長男は戦死し、そりの合わない次男孝平(森繁の二役)が戻ってくる。大卒の孝平は父の昔気質の商売を批判し、次々に近代的な手法を取り入れていく。父も負けじと働く。ようやく新店舗がオープンした日に、父は昆布の倉庫の中で亡くなるのだった。
 森繁得意のコメディ・タッチで、特に後半は親子の二役を巧みに演じている。山田も達者なもの。
 他に中村鴈治郎や浪花千栄子ら。
 本家から分家、そして息子の活躍と、商家の三世代が描かれており、特に、戦後の関西の世相が伝わってくる。
 終戦記念日に京都シネマで、若松孝二監督『キャタピラー』(2010年)。
 主演の寺島しのぶがベルリン映画祭で最優秀女優賞を受賞した作品。
 ある農村でのこと。日中戦争に出征した夫の黒川久蔵(大西信満)が、両手両足を失い、言葉を失った「芋虫」(キャタピラー)のような姿で戻ってくる。軍部は彼を「軍神」と呼び、村人たちも「軍神さま」と崇拝するが、妻のシゲ子(寺島)がすべての面倒を見る仕儀に。夫は食べて寝て、そして、唯一の楽しみとして、妻にセックスを求める。だが、彼は戦地で中国人女性を強姦した記憶に苦しんでいた。
 やがて、昭和20年8月15日の玉音放送で、黒川夫妻はじめ日本人は敗戦を知るのだが。
 寺島も大西も渾身の演技です。
 観客に不快感を与える映画を作らせたら、大島渚と並んで若松孝二は見事な手腕を発揮します。
 戦争だけではなく、男と女の関係をも深く考えさせる作品です。
 ただ、戦争の歴史について、少し説明的なところが気になりました。

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