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大阪・千日目の映画館で篠崎誠監督『東京島』(2010年)。原作は桐野夏生。
清子(木村多江)と夫(鶴見辰吾)は世界一周のヨット旅行の途次に嵐で遭難し、無人島に漂着する。やがて、この島に16人の若い男も漂着してくる。彼らは島を東京島と呼び始めた。
清子の夫は崖から転落死し、彼女は腕力に優るカスカベの妻になる。カスカベは暴力で仲間たちを支配している。特権的な清子は、自分を「東京島のトキ」(希少な天然記念物)だと思い始める。
ところが、そのカスカベも転落死を遂げた。くじ引きでユタカ(福士誠治)が清子の夫に選ばれた。ユタカは記憶を失った温厚な青年だ。
東京島には6人の中国人も住んでいた。日本人だが単独行動のワタナベ(窪塚洋介)だけが彼らとコミュニケーションがとれる。中国人たちは船を作って脱出を図る。リーダー格のヤンは清子の肉体目当てで同乗を求める。清子も日本人の仲間たちを裏切り、脱出を図る。ワタナベさえ置き去りにされる。
しかし、船は潮流のため東京島に戻ってしまう。ユタカは記憶を取り戻して、力強いリーダーになっており、清子は皆から白眼視される。
ワタナベが消えた。彼だけが船に発見されたようなのだ。残された者たちに動揺が走り、島の秩序が揺らぐ。しかも、清子が妊娠した。再び、彼女とユタカの力関係が逆転するのだが。
ゴールディングの『蝿の王』を思い出しました。
小集団の中で主導権争いが繰り返され、対立や迫害が起こる。確かに、面白いテーマです。
先に観た『南極料理人』が極限状態での食の問題を扱っているのに対して、こちらは極限状態における性が重要なテーマです。
しかし、話の展開が少し欲張りに詰め込みすぎになっています。
とりわけ、10年後というラストシーンは、観客の想像力に任せて、なかったほうがはるかによかったと思います。
私は鶴見と同い年ですが、中年男は映画の中でもこういう扱いをされるのだ、少し寂しくなりました。
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