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2010年10月12日 | 2010年10月14日
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出張から戻って、その足で駅前シネマに。 ビクトル・エリセ監督『ミツバチのささやき』(スペイン、1973年)。 スペイン内戦直後のカスティーリア地方。小さな町に移動映画がやって来る『フランケンシュタイン』だ。小学生のイザベルとアナ(アナ・トレント)も公民館に駆けつけた。姉はイタズラ好きで、妹は内省的で夢見がちだ。父(フェルデナンド・テリュア)は裕福な蜂蜜業者だ。 フランケンシュタインは精霊で野原の外れの廃屋に隠れている、と姉は妹に告げる。それ以来、アナはしばしば廃屋を訪ねる。ある真夜中に廃屋を訪ねたアナは、そこで逃亡中の兵士に出会う。映画の中のフランケンシュタインと少女のように、二人は仲良くなる。 だが、兵士は警察に殺されてしまう。ショックのあまり、アナは家出して夢の中でフランケンシュタインに出会うのだった。 アナの純朴な瞳と内戦後の大人たちの倦怠が対照的。 人間社会がミツバチの世界と重なり合う。
富士吉田への出張の途次にDVDを一本。 スパイク・リー監督・脚本・主演『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989年、アメリカ)。 連日猛暑のブルックリンの黒人街。ムーキー(リー)は無責任な若者で、イタリア系のサル(ダニ・アイエロ)の経営するピザ屋で出前の仕事をしている。ここに様々な黒人客がやって来る。サルの長男は黒人への人種差別剥き出しだ。だが、サルは「連中は俺のピザで育った。俺はそれに誇りを持っている」と語る。 長く暑かった一日の終わり、いよいよ店じまいという時に、3人の黒人客が闖入して文句を並べたため、サルと大喧嘩になる。警察が出動し、黒人の一人が殺された。これを機に暴動が起こり、サルに店は放火されてしまうのだった。しかも、店を最初に襲ったのはムーキーだった。 皆から「市長」と呼ばれている黒人の老人が「いつでも正しいことをしろ」と若者に説教する。これが題名の由来。 黒人と白人の対立以外にも、韓国人やプエルトリコも登場します。 多様なアメリカ社会の差別と偏見の衝突を、ダイナミックに描いた作品です。
次に、クリスチャン・カリオン監督・脚本『フェアウェル さらば、哀しきスパイ』(2009年、フランス)。 冷戦末期の実話に基づく作品です。 1981年のモスクワ。KGBのグリゴリエフ大佐(エミール・クストリッツァ)はフランス人技師ピエール(ギョーム・カネ)に接触し、機密情報をフランス情報組織に流す。民間人相手だから、かえって露見しにくい。大佐はソ連の体制に失望しており、自分の息子の世代が新しい体制で生きていけることを願っている。この機密流出行動の暗号名は「フェアウェル」。 大佐とピエール自分の家族にも秘密を守り、家族との摩擦を抱えながら、お互いに反発しつつも友情を感じ始める。だが、「フェアウェル」はレーガン大統領やCIA長官(ウィレム・デフォー)、ミッテラン大統領も関与する重大案件になっていく。 ソ連が西側に張り巡らしたスパイ組織の機密情報を、大佐はピエールに手渡す。だが、その直後に大佐はKGBに捕らえられてしまう。ピエールは家族を連れてフィンランド国境から脱出を図るのだった。 このスパイ網を失ったことで、ソ連は西側の技術を盗めなくなり、SDIその他のアメリカの攻勢に対応できず、崩壊していく――そういう契機になった事件の映画化。 グリゴリエフ大佐はフランスの文化を愛しており、その反抗的な息子は米英の音楽に惹かれている。 大佐は息子の欲しがっているソニーのウォークマンのことを「ジョニーのウォークマン」と呼んでいる。 作中のレーガン大統領はしばしば西部劇を楽しんでいる。フランスで社会党のミッテランが大統領に当選したと知らされて、怒りのため机を叩く。実際のレーガンは感情表現のきわめて抑制的な人でしたから、閣僚たちの前で怒りのあまり机を叩くなど、およそ考えられません。 アメリカとフランスの情報組織の微妙な摩擦も描かれています。というか、フランスのアメリカへの偏見を改めて感じた作品でもありました。
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