Koji Murataの映画メモ

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 最後に、アラン・レネ監督『去年マリエンバートで』(1961年、フランス・イタリア)。
 バロック調の高級ホテルに、多くの男女が滞在している。幾何学的な庭園が広がる。ある男(ジョルジョ・アルタッツイ)が美しい女性(デルフィーヌ・セイリグ)に話かける。去年どこかで会い、二人は愛し合って駆け落ちを約束して1年後に再会したのだと。女は知らないという。女の夫と思われる男性(サシャ・ピトエフ)は男と賭けをやり、いつも勝つ。
 この二つのエピソードが繰り返され、他の登場人物はしばしば突然静止する。ついには、女は駆け落ちに同意し、二人はホテルを出るが、幾何学的な庭園が迷宮となって脱出できないことが示唆されて、終わる。
 映画史に残るミステリアスな作品。白黒の映像が美しい。
 迷宮のように出口のない現代社会を風刺した、不条理劇なのでしょうが、断定的な解説は野暮というもの。
 2時間ほど、三人の男女とともに迷宮に身を任せればよい。ただし、劇場を出ても迷宮かもしれないが。
 フランス版『砂の女』という印象をもちましたが、既存の映画の文法を否定している点では、こちらのほうがはるかにラディカルでしょう。
 
 どなたかも最近ご覧になったということでしたね。
 続いて、アラン・レネ監督『24時間の情事』(日仏、1959年)。日本側は大映。
 フランス人の女優(エマニュエル・リヴァ)が撮影のため広島を訪れ、日本人男性(岡田英次)と一日だけの恋に陥る。実は、彼女はドイツ占領時代にドイツ人男性と恋に落ち、恋人を殺された上、自身も戦後は利敵行為者として迫害され、地下室で隠れて暮らした経験があった。再び報われない恋である。忘れていた過去が蘇る。
 男女はいったん別れるが、男は夜の街で女を追う。再び抱擁しあう男女。女は男を「ヒロシマ」と呼び、男は女を「ヌヴェール」(彼女の郷里で、ドイツ人との悲恋の土地)と呼びあうのだった。
 記憶と忘却がテーマで、もちろんno more Hiroshimaがメッセージ。
 被爆者の記録映像は圧巻。
 広島の昔の街並みがフランスの街並みと重なり、男女のフランス語の会話に、懐メロが重なる。不思議な異文化体験である。ティールームどーむや新広島ホテルなど、今はどうなっているのだろうか。
 ほとんどが男女の会話で進行するが、岡田はフランス語を立派に話している。
 フランス語ではhを発音しないので、広島を男は「ヒロシマ」と、女は「イロシマ」と発音する。
 今日は十三にある第七芸術劇場で、映画を続けて3本観ました。
 まず最初は、千野皓司監督『密約 外務省機密漏洩事件』(テレビ朝日、1978年)。原作は澤地久枝。
 もともとテレビ映画だったが、1988年に劇場公開され、今回再び公開されました。
 沖縄返還をめぐって、石山(北村和夫)というベテラン新聞記者が、外務審議官(滝田裕介)の秘書(吉行和子)と肉体関係をもった上で、機密情報を入手した。二人は訴えられ、逮捕される。第一部は公判で、石山の回想を中心に話が進む。第二部は秘書の回想である。そして第三部では、原作者と思われる女性作家(大空真弓)の視点で描かれ、これに石山の部下(磯部勉)が絡む。
 全体として、密約を批判し、男女の肉体関係を問題にした裁判や報道を批判し、報道の自由を訴えている。
 もちろん、密約は望ましくはないが、どのような政治状況がそれを必要にしたのかを掘り下げなければ、一般論の奇麗事に終わる。男女関係はともかく、公務員に守秘義務があることも当然だ。
 私が保守的なのかもしれないが、反権力を強調するあまり一面的になっており、薄っぺらい。
 期待していただけに、がっかりした。ただし、秘書の人物像は多面的に描かれている。石山はどうなのか。
 検事役に横森久が。懐かしい脇役で、早くに亡くなってしましました。こうした懐かしい顔が見られたのは収穫。

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