Koji Murataの映画メモ

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 京都シネマへ。
 ヤン・ヨン監督・脚本『かぞくのくに』(2011年)。
 1959年から四半世紀にわたって、9万人もの在日の朝鮮人が、「地上の楽園」北朝鮮へ帰還していった。赤十字も帰還運動に熱心でした。『キューポラのある街』でも、在日の帰還が扱われています。
 1997年の夏、ある在日朝鮮人一家のもとに、25年ぶりに長男のソンホ(井浦新)が帰ってきた。脳の病の治療のため、3か月だけ来日が許されたのだ。父(津嘉山正種)は同胞協会の幹部で、母(宮崎美子)は喫茶店を営んで家計を支えていた。妹のリエ(安藤サクラ)は日本語学校の教師をしている。
 束の間の再会と喜び。だが、平壌から同伴した責任者の監視の目が、いつも光っていた。兄は妹に工作員になることを提案する(そうするよう命じられていた)。妹はこれを峻拒する。兄の治療にはかなりの時間がかかりそうだった。ところが、突然帰国命令が発せられる。「こういうのは、ほんと、よくあるんだ」、「あの国じゃ理由なんて意味がない。思考停止だ」、「お前は自由に自分の人生を生きろ」−―兄は妹にそう言い残して、静かに帰国していく。若いころ愛唱したフォークソング「白いブランコ」を一瞬口ずさみながら。
 静かな音楽は岩代太郎。
 井浦の抑制された演技が、安藤の感情的なそれと、見事にマッチしています。
 重い重い人生の交差が、単純なストーリーに乗せられています。
 在日のゲイも登場して、「マイノリティ中のマイノリティ」と自称します。ジェンダー・マイノリティの人権が注目されるようになった頃ですから、このあたりも含めて、90年代の風俗も巧みに描かれています。
 今年公開された作品の中で、私にとってベストの一つです。
 井浦も三島由紀夫よりソンホのほうが、断然いい!
 
 
 
 新宿バルトへ。
 レン・ワイズマン監督『トータル・リコール』(2012年、アメリカ)。原作はフィリップ・ディックで、1990年にはアーノルド・シュワルツネッガー主演で一度映画化されています。
 21世紀末。化学兵器のため世界の大半が居住不可能になり、人類は富裕なブリテン連邦と貧しいコロニーに分かれ、前者が後者を搾取している。地球のコアを通じて両者をつなぐ輸送手段「フォール」は、支配の象徴だ。
 ダグラス(コリン・ファレル)は、コロニーに住みブリテン連邦に働きに出かける工場労働者だ。ある日、退屈な日常を忘れるため、彼は刺激的な架空の記憶を与えてくれるリコール社に出かける。ところが、そこで警察隊に襲われ、自分でも信じられない技量で彼らを殺してしまう。
 ダグラスは急いで自宅に逃げ帰り、妻のローリー(ケイト・ベッキンセール)に打ち明けると、突如妻からも襲われる。ダグラスは実はスパイで、偽の記憶を植えつけられていたのだ。結婚も嘘で、ローリーは政府の工作員だった。
 ダグラスの逃走を、メリーナ(ジェシカ・ビール)という謎の女性が助ける。いつも彼の夢に登場した女性だ。実は、メリーナはコロニーのレジスタンスで、ダグラスは本名をカール・ハウザーという政府の敏腕工作員だった。ハウザーはレジスタンス組織にスパイとして送り込まれたが、メリーナと出会い、レジスタンスの協力者になった。そのため、政府に捕えられ、偽の記憶を植えつけられたのだった。その背後には、コロニーの完全支配をもくろむブリテン連邦のコーヘイゲン首相(ブライアン・クランストン)の陰謀が潜んでいた。
 コロニーは「ブレイドランナー」的(こちらも、原作はディック)。ただし、和風ではなく中華風。
 地球のコアを貫徹する「フォール」を作るほどの技術があるのなら、汚染地帯も浄化できそうなものなのに。
 かつての列強の植民地支配を揶揄していますが、コーヘイゲンやらカール・ハウザーやら、悪い名前はドイツ風。しかも、首相はプライム・ミニスターではなくチャンセラーですから、これもドイツ風。
 ファレルとベッキンセールの死闘は見もの。
 東京に向かう車中でDVDを一本。
 ジョエル・コーエン監督、ジョエル&イーサン・コーエン脚本の『バートン・フィンク』(1991年、アメリカ)。
 劇作家のバートン・フィンク(ジョン・タトゥーロ)が、ハリウッドに招かれた。しかし、強引な社長から依頼されたレスリングのB級映画の脚本が、まったく書けない。著名な小説家メイヒューに教えを乞うが、彼もスランプに陥っておりひどいアルコール依存症になっている。
 バートンはメイヒューの秘書であり恋人であるオードリーに好意を抱き、やがては関係をもつ。一夜明けると、そのオードリーがベッドで死体になっている。錯乱したバートンは、チャーリー(ジョン・グッドマン)に助けを求める。二人は同じ安ホテルに宿泊しており、お互いに数少ない話し相手だった。チャーリーは死体を処理し、不思議な箱をバートンに預けてホテルを旅立った。
 数日後、バートンのもとに刑事がやって来る。実は、チャーリーは「狂人ムント」と呼ばれる連続殺人犯だったのだ。やがて、チャーリーはホテルに戻り、待ち受ける刑事を殺害、ホテルに火を放って自殺する。これを機に、バートンは一気に脚本を書き上げるのだが、社長はその内容に激怒するのだった。
 日米開戦直前という時代設定。
 メイヒューのモデルは、ウィリアム・フォークナーの由。
 幻想と現実が錯綜する、ミステリアスな作品です。
 カンヌ映画祭でパルムドール他を受賞しています。

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