Koji Murataの映画メモ

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2015年08月

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8月26日

 先日観た、大統領と首相に関する映画。
 ヤルマリ・ヘランダー監督・脚本『ビッグ・ゲーム』(2014年、フィンランド、イギリス、ドイツ)。
 人気下降中の米大統領(サミュエル・ジャクソン)を乗せたエアフォースワンが、フィンランド上空でテロリストに撃墜され、生き残った大統領がテロリストの「狩り」の対象になる。偶然出合ったフィンランド人の狩人の少年だけが、大統領の味方だ。CIA長官が女性というのは面白いし、人気下降の黒人大統領は、明らかにオバマを意識している。しかし、背後にある陰謀に具体性が欠けるし、アクションとしても中途半端。フィンランド人の少年が突然流暢に英語を話すのもご都合主義。むしろ、二人に言葉のコミュニケーションが欠けていたほうが面白かったかも。
 小林恒夫監督『2.26事件 脱出』(1962年、東映)。
 2.26事件で九死に一生を得た岡部首相(柳永二郎)を官邸から脱出させようと、首相秘書官(三国連太郎)と憲兵の小隊長(高倉健)が奔走する物語。スリリングな仕上がりで、この時代の日本映画の底力を示している。他に、千葉真、江原真二郎、中原ひとみ、織本順吉ら。確かに、岡田首相がその後、どうやって官邸を脱出したのか、史実を知りません。改めて調べてみようと思います。
 本日、京都シネマで、ロイ・アンダーソン監督『さよなら、人類』(2014年、スウェーデン、ノルウェー、フランス、ドイツ)。ヴェネチア映画祭グランプリ受賞。面白グッズを売る冴えない中年セールスマン二人を軸に、多くのエピソードが重なっていく。1943年に戻ったり、18世紀の王様が登場したり。平凡な日常の繰り返しと人生の孤独、しかし、生きる喜びを淡々と描いたポエムのような作品。セットは周密をきわめる。アフリカからの奴隷をローストしてオルガンのように音楽を楽しむシーンは、実にグロテスク。

8月26日

 お盆に実家で母とDVDを。
 木村恵吾・吉村廉監督、菊池寛原作『心の日月』(1954年、大映)。
 岡山から初めて上京してきた主人公(若尾文子)が、恋人(菅原謙二)と飯田橋で待ち合わせるが、二人とも改札が二つあると知らず、すれちがう。以後、二人が再会できるまでの、典型的なすれちがいメロドラマ。今ではありえない設定が、時代を感じさせる。他に、船越英二や水戸光子ら。
 最近観たSFを2本。
 コリン・トレボロウ監督『ジュラッシック・ワールド』(2015年、アメリカ)。映像技術は向上しているのでしょうが、基本的に旧来と同じパターンの踏襲という印象。しかし、生命科学の発達は瞠目に値しますね。「君はモンスターを作った」と言われて、科学者が答える。「カナリアから見れば、猫もモンスターだ。視点によるね」。
 樋口真嗣監督、諌山創原作『進撃の巨人』(2015年)。人が喰われる、喰われる。残酷な映像が続きます。生態系の頂点に立つ人類にとって、単に殺されるより喰われることの恐怖は絶大でしょう。ゾンビの変形版か。主演の三浦春馬がもう少し立体的な演技をしてくれていれば。全体に、人物造形が浅薄と感じました。

8月25日

 先日、京都シネマで観た作品を2本。
 『人生スイッチ』(2014年、アルゼンチン・スペイン)。2時間ほどで6本のエピソードからなる、オムニバス映画。皆それぞれオチがあり、サキの短編を読んでいるような感じ。アルゼンチン社会の様子もうかがえます。
 パフマン・ゴバディ監督『サイの季節』(2012年、イラク・トルコ)。イラン革命で投獄された詩人が30年ぶりに釈放され、生き別れになった妻をイスタンブールに捜す。過去と現在が交差し、詩的な映像が挿入される。マーティン・スコセッシが制作。イラン革命の暗い影が浮き彫りになる。

8月13日

 リメイクされた日本映画を2本。
 まず、原田眞人監督『日本のいちばん長い日』。役所広司が阿南陸相、山崎務が鈴木首相、本木雅弘が昭和天皇で、それぞれ力演でした。ただ、国家存亡の政治ドラマと家族の物語を絡ませるのに成功したかどうかは、微妙。迫水内閣書記官長ら脇役もよいが、叛乱将校側が個性に乏しい。いずれにせよ、十分一見に値する。
 塚本晋也監督・脚本・主演『野火』。大岡昇平原作で、かつては市川崑監督が手がけた。リリー・フランキーや森優作もよく、力強い作品だが、映像と音響で観客を驚かせようとしている印象が拭えない。市川作品の白黒の乾燥した虚無感には欠ける。名作のリメイクは勇気のいることです。

8月12日

 ワシントンの映画館で観た作品を2本。
 ビル・コンドン監督『ミスター・ホームズ』(2015年、米英)。晩年のシャーロック・ホームズ(イアン・マッケラン)の物語。過去の事件の記憶も曖昧になりつつあり、ミツバチの世話が日課になっている。マッケランは力演、真田広之も登場するが、日本の描写は時代錯誤そのもの。イギリス英語はわかりにくい!
 Kyle Patrick Alvarez監督"Stanford Prison Experiment"2015年、アメリカ。
 1971年に実施されたスタンフォード監獄実験(実話)の映画化。心理学の実験のために、学生たちが看守と囚人に別れて実験監獄に入れられるが、看守は徐々にサディスティックになり、囚人たちは恐怖に怯え精神を病んでいく。本当に怖い話です。囚人役の学生にアジア人は一人いたが、黒人はいなかったように思う。70年代のエリート大学なら、こういうものか?

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