Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

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2月3日

 節分ですね。
 先週、金沢の映画館で、山田洋次監督『小さいおうち』を観ました。瀟洒な赤い屋根の洋館は、私にとっては少しも「ちいさいおうち」ではありません。
 それでも、若い日のタキを演じた黒木華のかわいいこと!
 タキと出征前の板倉の間に何があったのか?戦後、二人は会っていたのか?ちょっとしたミステリーです。
 槁爪功演じる老作家や米倉斉加年(久しぶりに観ました)演じる晩年の恭一の口から、戦時下の世相風潮への批判が語られます。山田監督が現在の世相風潮に対して言いたいことなのでしょう。他方で、若者(妻夫木聡)が親戚の老人(晩年のタキ=倍賞千恵子)の過去をさぐるという構図は、『永遠のゼロ』と同じ懐古趣味で、ここでは山田監督も時代の風潮に身を委ねている感があります。
 タキは恭一より10歳は年上だと思いますが、倍賞と米倉では無理がありますね。
 
 京都文化博物館で、堀川弘通監督『あすなろ物語』(1955年、東宝)。原作は井上靖。
 祖母(三好栄子)の手で育てられた梶鮎太少年の成長の物語。三部構成で、それぞれ年上の個性的な美女との出会いと別れがある。岡田茉利子、根岸明美、久我美子である。「明日は檜になろう」とする翌檜の木に、少年の人生が仮託されている。典型的な教養小説の映画化である。脚本は黒澤明、音楽は早川文雄。

1月29日

 DVDを2本。
 まず、ロバート・アルドリッジ監督『合衆国最後の日』(1977年、アメリカ、西ドイツ)。
 設定は1981年、殺人罪で服役中の元将軍(バート・ランカスター)が囚人仲間と脱獄し、空軍の核ミサイル基地を占拠する。彼は政府にベトナム戦争に関する国家機密を国民に暴露するように迫る。軍部による基地奪還作戦も失敗し、ついに大統領(チャールズ・ダーニング)自身が人質として基地に赴くことに。
 他に、リチャード・ウィドマークやジョセフ。コットンら。ランカスターとウィドマークの対決は、『ニュールンベルグ裁判』でも迫力がありました。思えば、ファースト・レディをはじめ、女性のほとんど登場しない映画です。
 ベトナムとウォーターゲートで、政府への信頼が地に落ちていた時代の作品です。
 大統領は優柔不断ながら、最後には責務を果たそうとするのですが。
 
 次に、ジョージ・キューカー監督『ボーン・イエスタデイ』(1950年、アメリカ)。
 もともとはブロードウェーの舞台劇で、ジュディ・ホリディがアカデミー主演女優賞を獲得した作品です。
 横暴な成金(フレディック・クロフォード)が愛人(ホリディ)を連れてワシントンに赴き、政治家を買収しての立法工作に乗り出した。だが、愛人は無知無学。そこで、成金はインテリのジャーナリスト(ウィリアム・ホールデン)を雇って、愛人を教育しようとする。ところが、二人が愛し合うようになり、愛人は啓蒙されて成金の悪事を暴露することになる。
 『スミス都に行く』同様、ワシントンの名所を巡って、民主主義の偉大がアピールされる。成金はファシスト呼ばわりされるが、時期的には赤狩りが本格化する頃です。
 ホリディは人を喰った演技で、金切声の薄痴美を好演しています。 

12月31日

 いよいよ大晦日です。皆さん、1年間ありがとうございました。
 さて、新幹線の中でDVD。久しぶりにロバーテ・ゼメキス監督『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年、アメリカ)を観ました。主人公(マイケル・J・フォックス)はタイムマシーンンに乗って1985年から55年に戻るわけですが、その85年からそろそろ30年が経とうとしています。恐ろしや。しかし、古さを感じさせず、新しい発見も楽しめました。第三部まであるので、またトライしてみようと思います。
 先ほどムーヴィックス京都で、山崎貴監督『永遠のゼロ』を鑑賞。百田尚樹さんのベストセラーが原作ですね。
 祖母の死を契機に、孫が実の祖父の半生をたどる。祖父(岡田准一)は特攻で散っていったが、臆病者だったとの評判がもっぱら。しかし、取材を重ねるうちに、祖父が家族を愛し、多くの若者に勇気と希望を与えていたことが明らかになる。特撮はさすが!しかし、4人の老人の回想が描くのは、主人公の立派な姿のみで立体感がない。現代の若者の描写も皮相的。これが遺作となったが、夏八木勲さんは、さすがに存在感を示していました。
 皆さん、どうぞよい新年をお迎えください。来年もよろしくお願いします。

12月28日

 あっという間に年末になってしまいました。私にとっては、慌ただしい一年でした。
 まずDVD。ラズロ・ベネディク監督『乱暴者(あばれもの)』(1953年、アメリカ)。
 マーロン・ブランドが革ジャン姿の暴走族のリーダーで、とある田舎町に立ち寄り、地元住民とトラブルを引き起こす。リー・マーヴィン率いる別の暴走族との対立や、地元のウェイトレスとの恋も織り込まれている。
 ブランドの革ジャン姿は衝撃的で、ビートルズやプレスリーにも影響を与えたそうです。
 暴走族の若者と地元の老人との会話。「TVは観るのか?」「?」「テレビジョンだよ」「ああ、ピクチャーのことか」
 
 少し前にシネヌーヴォへ。森繁久彌の西端100周年特集でした。
 松林宗恵監督『連合艦隊』(1981年、東宝)。
 真珠湾開戦から戦艦大和の最期までの、連合艦隊の歴史を描く。山本五十六に小林桂樹ほか、丹波哲郎や鶴田浩二、三橋達也、藤田進など、日本映画の往年の大スターが顔を揃えています。
 他方、森繁は二人の息子(永島敏行と金田賢一)を戦死させるインテリの父親役。兄弟の恋人に古手川裕子。また、下士官の父親(財津一郎)は息子(中井貴一)の海軍兵学校入学に歓喜するが、息子は特攻を志願する。
 大きな歴史のうねりに、個人のドラマをうまく結び付けています。
 ただし、特撮はほとんど子供だまし。これがかえって時代を感じさせます。
 
 これも少し前に、京都シネマで、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督『ハンナ・アーレント』(2012年、ドイツ、ルクセンブルグ、フランス)。著名なユダヤ人哲学者アーレント(バルバラ・スコパ)が、イスラエルでのアイヒマン裁判を取材し、彼を鬼でも悪魔でもなく「悪の凡庸」と表現し、しかも、ユダヤ人指導者の中にもナチスへの協力者がいたことを指摘して、国際的な非難と論争を巻き起こした事件を、重厚に描いています。芸術家を主人公にした映画は少なくありませんが、哲学者が主人公というのは珍しい。ラストの講義で、アーレントは他者を「理解すること」の重要性を訴え続けます。
 
 公開直後に、田中光敏監督『利休にたずねよ』(2013年、東映)。
 市川海老蔵が千利休に扮して、茶の湯の確立、秀吉(大森南朋)との確執、そして、秘められた過去の恋を力演しています。黒楽の名物茶碗が登場するのも、茶の湯愛好家には必見。本物志向の美しい仕上がりですが、「押しつけがましい」感じもしました(失礼)。少し「遊び」があってもよかったのかもしれません。
 
 そして、最近新宿で、アルフォンソ・キュアロン監督・脚本『ゼロ・グラヴィティ』(2013年、アメリカ)。
 宇宙飛行士が事故に遭い、必死に地球に帰還するまでの物語。登場人物は二人だけ(サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニー)。宇宙を通じて人間の内面と克己心を描いた力作です。映像も美しい。SF映画の新境地ではないでしょうか。『2001年宇宙の旅』をも彷彿させます。

12月22日

 お久しぶりです。もうすぐクリスマスですね。
 まずは、最近観たDVDを2本。
 
 リー・タマホリ監督『デビルズ・ダブル』(2011年、ベルギー)。
 イラクの独裁者サダム・フセインの長男で残酷かつ凶暴な長男ウダイと、その影武者にされた男の物語。ドミニク・クーパーが二役で力演です。市川雷蔵主演で『第三の影武者』という映画を思い出しましたが、本作は実話に基づく由で、さすがに見応えがありました。「およそ権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する」ですね。
 フリッツ・ラング監督『マンハント』(1941年、アメリカ)。世界的に有名なイギリスのハンター(ウォルター・ピジョン)が、開戦の口実を求めるナチスのゲシュタポ(ジョージ・サンダース)に追いつめられる物語です。追う者(ハンター)が追われる逆説をスリリングに描いています。何しろ、ラングはヒッチコックにも影響を与えた監督です。アメリカ参戦前の、ハリウッドからのナチス批判でもあります。ラングもユダヤ系ドイツ人で、ハリウッドに渡ったのです。俳優たちが実に堂々としています。
 

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